第3章【グアドサラム~マカラーニャ】
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真の顔を知るとき
=30=
隠していた真実が明かされたとき、隠していた方と隠されていた方と、どちらが辛いのだろうか?
それを打ち明ける瞬間、打ち明けられる瞬間、何を思うのだろうか?
人は何を持って他人を信じればいいのだろう、何をすれば信じてもらえるだろう?
その人のためを思って隠したことは、その人から見れば騙されたと捕らえられるかもしれない。
どうして正直に話さなかったんだ、とか、それを見抜けなかった自分が情けないとか、それを知っていた仲間たちの行動とか全部、信じられなくなってくる。
知らなかった自分がとった行動や言動をおぞましく感じる。
そんな自分自身が、許せない。
旅行公司の外に出た途端、白い雪に反射した朝日が私たちの目を眩ませ世界を白く染める。
近付く足音と人の気配。
ユウナの顔を見て大袈裟に喜んで見せる。
マカラーニャ寺院にいるシーモアの使いとして、ユウナを迎えにトワメルがやってきた。
グアド族の為来りがあるとかでユウナだけを連れて行くつもりのようだ。
ユウナもそれは承知のようで、拒む様子を見せない。
一度こちらを振り返ったユウナの目には、もう迷いの色は見えなかった。
雷平原で見せていたあの思いつめたような眼差しはそこにはなかった。
「それから…」
ユウナを側に置き、こちらに声を掛けるトワメルが思い出したかのように言葉を続ける。
「ラフテル様も、ご一緒願えますかな」
「!?」
予想もしなかった言葉に少々戸惑う。
いち早く反応した低い声が私より一歩先で聞こえる。
「なぜだ」
「シーモア様からぜひにご一緒に、と言付かっております」
「その理由を聞いている」
「私に聞かれましても、そう言付かっただけですからな」
「…話にならん」
私はアーロンの隣に移動してトワメルの前まで歩み出た。
「断ったら…?」
ユウナを自分の身の後ろに隠すようにして、トワメルはコチラに一歩近付く。
「…ユウナ様は、すでにわが手の内…」
「「「!!!」」」
ニヤリと歪んだ口元から発せられた小さな呟きは、仲間達にしか聞き取ることは出来なかっただろう。
不思議そうな顔しているユウナの純粋な顔に、胸の内の危険を知らせる警鐘が激しく鳴り響いていた。
「…くっ!」
「汚ねェ…」
ユウナを人質に取られたも同じ状態。
「………わかった、行く」
「おい、ラフテル!」
トワメルの黒い笑顔が薄らいでいく。
「だが、これはあんたに言われたからでも、シーモアの言葉に従ったわけでもない。…あくまでもガードとして召喚士に付き従う意味でユウナに同行する」
「結構!」
「ラフテル!!」
ガードは命を掛けて召喚士を守る。
召喚士はガードを信じて命を預ける。
…ならガードだってガードを信じてもいいんじゃないか?
突然耳に届いた機械の音と気分の悪くなるオイルの匂い。
雪上を縦横無尽に駆け回る機械に乗って、何者かが私たちを取り巻いた。
「!?」
「アルベド族だ!」
遠くから仲間達の声が聞こえてくる。
ユウナを守るように前に出て、両手に腰の小太刀を構える。
仲間達が駆け寄ってきた。
そこを取り囲むように機械を操る数人のアルベド人が立ち塞がる。
「リューーーーーーック!!」
遠くから呼ぶ声にそちらに視線を向けると、丘の上に立つアルベドの青年。
リュックとアルベド語で何かを話している。
未だにアルベド語を理解できない私には何を言っているのか全く分からない。
そしてその背後から巨大な機械が現われ、コチラに襲い掛かってきた。
トワメルの手を振り払うように仲間達の元に戻ったユウナと共に、私も戦闘に参加する。
どんな仕組みなのかなんて全く分からないが、アルベドの技術で作り出されたらしい機械は魔法や召喚獣を吸収してしまう。
だが所詮は機械だ。
人間のように臨機応変に対応できるはずもなく、背後から間接部分のコードをいくつか斬るだけでその動きは極端に悪くなる。
仲間たちの激しい猛攻を受け、部品と火花を撒き散らしながら機械は動かなくなった。
安全になったことを確認したからなのか、すかさずトワメルが近寄ってきた。
「ユウナ様、ラフテル様」
促すように声を掛け、私達は仲間の顔をもう一度見回してからトワメルと共にマカラーニャの寺院に向けて歩き出した。
背後からは先程声を掛けてきた青年の声が聞こえてくる。
アルベド語で更に何か話しているようだ。
リュックの名を呼んだ、ということは、知り合いなのだろう。
アルベドの人間なのだから、知り合いがいても不思議ではない。
しばらく進むとマカラーニャからの更なる迎えなのだろう、躾けられた魔物を操ったグアド人が何人か現われ、私たちを一気に運んだ。
覚悟を決めたとはいえ、ユウナは不安なのだろう。
座った膝の上の手は硬く握り締められていた。
そっと、その手の上に自分の手を重ねる。
はっとしてユウナはコチラを見上げた。
「…大丈夫。みんなユウナの味方だ。私も、ここにいる」
「ラフテルさん…。 …はい!」
不安を誤魔化すかのように小さく笑って見せた。
大丈夫、きっと守る。ユウナだけに何もかも背負わせるなんて、絶対にしない。
ユウナの不安を少しでも軽くしてやろうと、その小さな手を握り締めた。
→ 第4章
=30=
隠していた真実が明かされたとき、隠していた方と隠されていた方と、どちらが辛いのだろうか?
それを打ち明ける瞬間、打ち明けられる瞬間、何を思うのだろうか?
人は何を持って他人を信じればいいのだろう、何をすれば信じてもらえるだろう?
その人のためを思って隠したことは、その人から見れば騙されたと捕らえられるかもしれない。
どうして正直に話さなかったんだ、とか、それを見抜けなかった自分が情けないとか、それを知っていた仲間たちの行動とか全部、信じられなくなってくる。
知らなかった自分がとった行動や言動をおぞましく感じる。
そんな自分自身が、許せない。
旅行公司の外に出た途端、白い雪に反射した朝日が私たちの目を眩ませ世界を白く染める。
近付く足音と人の気配。
ユウナの顔を見て大袈裟に喜んで見せる。
マカラーニャ寺院にいるシーモアの使いとして、ユウナを迎えにトワメルがやってきた。
グアド族の為来りがあるとかでユウナだけを連れて行くつもりのようだ。
ユウナもそれは承知のようで、拒む様子を見せない。
一度こちらを振り返ったユウナの目には、もう迷いの色は見えなかった。
雷平原で見せていたあの思いつめたような眼差しはそこにはなかった。
「それから…」
ユウナを側に置き、こちらに声を掛けるトワメルが思い出したかのように言葉を続ける。
「ラフテル様も、ご一緒願えますかな」
「!?」
予想もしなかった言葉に少々戸惑う。
いち早く反応した低い声が私より一歩先で聞こえる。
「なぜだ」
「シーモア様からぜひにご一緒に、と言付かっております」
「その理由を聞いている」
「私に聞かれましても、そう言付かっただけですからな」
「…話にならん」
私はアーロンの隣に移動してトワメルの前まで歩み出た。
「断ったら…?」
ユウナを自分の身の後ろに隠すようにして、トワメルはコチラに一歩近付く。
「…ユウナ様は、すでにわが手の内…」
「「「!!!」」」
ニヤリと歪んだ口元から発せられた小さな呟きは、仲間達にしか聞き取ることは出来なかっただろう。
不思議そうな顔しているユウナの純粋な顔に、胸の内の危険を知らせる警鐘が激しく鳴り響いていた。
「…くっ!」
「汚ねェ…」
ユウナを人質に取られたも同じ状態。
「………わかった、行く」
「おい、ラフテル!」
トワメルの黒い笑顔が薄らいでいく。
「だが、これはあんたに言われたからでも、シーモアの言葉に従ったわけでもない。…あくまでもガードとして召喚士に付き従う意味でユウナに同行する」
「結構!」
「ラフテル!!」
ガードは命を掛けて召喚士を守る。
召喚士はガードを信じて命を預ける。
…ならガードだってガードを信じてもいいんじゃないか?
突然耳に届いた機械の音と気分の悪くなるオイルの匂い。
雪上を縦横無尽に駆け回る機械に乗って、何者かが私たちを取り巻いた。
「!?」
「アルベド族だ!」
遠くから仲間達の声が聞こえてくる。
ユウナを守るように前に出て、両手に腰の小太刀を構える。
仲間達が駆け寄ってきた。
そこを取り囲むように機械を操る数人のアルベド人が立ち塞がる。
「リューーーーーーック!!」
遠くから呼ぶ声にそちらに視線を向けると、丘の上に立つアルベドの青年。
リュックとアルベド語で何かを話している。
未だにアルベド語を理解できない私には何を言っているのか全く分からない。
そしてその背後から巨大な機械が現われ、コチラに襲い掛かってきた。
トワメルの手を振り払うように仲間達の元に戻ったユウナと共に、私も戦闘に参加する。
どんな仕組みなのかなんて全く分からないが、アルベドの技術で作り出されたらしい機械は魔法や召喚獣を吸収してしまう。
だが所詮は機械だ。
人間のように臨機応変に対応できるはずもなく、背後から間接部分のコードをいくつか斬るだけでその動きは極端に悪くなる。
仲間たちの激しい猛攻を受け、部品と火花を撒き散らしながら機械は動かなくなった。
安全になったことを確認したからなのか、すかさずトワメルが近寄ってきた。
「ユウナ様、ラフテル様」
促すように声を掛け、私達は仲間の顔をもう一度見回してからトワメルと共にマカラーニャの寺院に向けて歩き出した。
背後からは先程声を掛けてきた青年の声が聞こえてくる。
アルベド語で更に何か話しているようだ。
リュックの名を呼んだ、ということは、知り合いなのだろう。
アルベドの人間なのだから、知り合いがいても不思議ではない。
しばらく進むとマカラーニャからの更なる迎えなのだろう、躾けられた魔物を操ったグアド人が何人か現われ、私たちを一気に運んだ。
覚悟を決めたとはいえ、ユウナは不安なのだろう。
座った膝の上の手は硬く握り締められていた。
そっと、その手の上に自分の手を重ねる。
はっとしてユウナはコチラを見上げた。
「…大丈夫。みんなユウナの味方だ。私も、ここにいる」
「ラフテルさん…。 …はい!」
不安を誤魔化すかのように小さく笑って見せた。
大丈夫、きっと守る。ユウナだけに何もかも背負わせるなんて、絶対にしない。
ユウナの不安を少しでも軽くしてやろうと、その小さな手を握り締めた。
→ 第4章