矢避けの林檎
6.病院
夢殿大学病院
病院の建物を蔦が這い回り、それが外へ外へと伸びている。まるで何か怪物の繭のようにも見えて少し気味が悪い。
聞き耳25
→「いま犯罪者が街をうろついてるんですって」「どうしましよう!患者さんたちが狙われたら…」「腕に自信のあるボランティアの方々が院内自警団を組んだらしいけど…心配ね」「じきに警察も来るわ。全く、怖い街になっちゃったわ」と休憩中の看護師がゴミ捨て場の裏で話しているのが聞こえる。
見ると確かに、緑色の腕章をした人がウロウロと院内をうろついている。
建物に外から目星(25)
五階のある部屋の窓から蔦が生えていて、それが病院を覆い、町へと伸びているのに気がつく。
院内に入るまでに一回全員で何かしらの逃げるロール→失敗すると追いかけられる。
「いたぞ!あいつらだ!」
「テレビで見たやつらだ!!」
院内に入ると看護師とエンカウント。変装していたらなんてことはなく、院内に入れる。
※看護師が気がつかない。
上に行こうとエレベーターを待っていると、ちょうど廊下の先の階段のところに笹世がいる。みんなを指差して「見て!」という。
そうすると、看護師が持っていたトレーを手放して叫び声をあげる。「ちょっと、こんな時間に一体………きゃー!テレビで見た、危険思想家………犯罪者よ!」その声につられてわらわらと人が集まる。
「捕まえろ!」「患者に何する気だ!」と腕章をつけた沢山の人たちが探索者に向かう。
少女は、人の波に逆らって階段を登り、探索者から離れていく。
-------------------
階段を登って五階を目指す。(1回判定)
(dexで1人でも負けると、ハーツが残る)
ガンっと、重い金属製の扉が閉じた音がする。後ろを見ると、ハーツがいない。代わりに防火扉が閉じていた。
「はやく!もたもたしてると反対の階段とエレベーターからも来る!」
「……大丈夫だ、ハーツちゃんは、強いからな!ちょっとお片づけしたらすぐ追いかける!」
-----------
五階
下から、向かいから、あなたたちを追う声が聞こえる。
「あ、いたぞ!!!」
あなたたちを掴む手は目前まで迫るだろう。
五階の廊下、明らかに異質。うねうねと這う蔓がドアの隙間から壁伝いに脈を打つそのドア。そのドアの中にこそ全ての元凶があるのだと、あなたたちは推測できるだろう。
ドアに辿り着くまでにdex判定
(成功)→迫る手を掻い潜り、あなたたちはその病室へと身を滑り込ませた。
(1人でも失敗)→1人の男の手があなたを掴んで引きずり倒そうとする。
-------
★(知り合いの警察が仲間になっていた場合)
しかし、次の瞬間転がったのは男の方で、その男の背後には見知った顔があった。
(知り合いの警察が探索者を信じ、助けてくれる)
あなたは、扉の向こうに押し込まれた。
★(知り合いの警察が仲間になっていない場合)
さらに幸運判定に失敗すると持ち物を奪われ、身一つで扉の中で滑り込むことになる。
------
次の瞬間外の騒ぎが嘘のように室内が静かであること、そして、閉じられた扉がもう開けないことに気がつく。
---------------------------
そこは、1人部屋の病室だった。
清潔感のあるベッド。
洗面台。
椅子。
傍にある棚には、バッシュやバスケットボール、そして退院おめでとうと書かれた色紙がある。
割れた花瓶が床に散らばり、濡れた夾竹桃の花が蔦の絡まる緑の空間で、鮮やかなほどに目に刺さる。
部屋の真ん中には、一輪だけポピーが蔦の間から芽を出し、健気に花を咲かせていた。
開いた窓のそばに、彼女はいる。
「君たちだったんだ。気付いちゃった人たちって」
「…この世界、お気に召さなかったかな?慣れたら結構、便利だと思うんだけど」
(好きなことを奪われる辛さを語るところっといく)
「……そう、そうだよね。そんなの、私が1番よく分かってるよ…はは。そうだ、人に辛い気持ちを押し付けて、…はは、私は弱い人間だな…。でも、でも、ごめん。みんなの気持ちはわかるけど、もう遅いんだ」
「この世界が消えたら、私は死ぬんだ。なんとなくわかる。あっちの私はもうきっと死んでしまうから。だから、ここを取られたら私も死ぬんだ」
--------
(死なない方法があるといった場合)
「…それ、本当かい?そんな、一体、どうやって」
--------
「否、否、否、否否否否!」
地を這うような声が湧き出すマグマのように足元から湧き上がる。
ゴゴゴゴゴと地響きがなり、蔦がうねり、一輪のポピーが凶悪なまでに根を伸ばす。根は少女の体を這い回り、同様に硬直した肢体を締め付け、全身を芽吹かせる。
「な、んだ、これ」
だらりと力が抜けたにもかかわらず、根によって固められ膝を崩すこともないその姿はまさしく園芸の庭木。
目の前で残虐に緑に嬲られていく少女を見たあなた方はSANc1/1d4
少女は、手を探索者たちに伸ばした状態のまま、完全に緑に包まれた。
奇怪なオブジェと化した少女の背後には、白く眩い光に包まれた壮年の男性が立っていた。
ケシの花と蔓の冠を頭に頂くその姿は、足元は編まれた植物の塊で、それが徐々に人の形を成している。
あまりに美しく精悍なその面立ちは、人間離れしていて、探索者の背中に冷や汗が伝う。
それは探索者に見向きもしないまま、少女を庇うようにその大きな背を曲げうっそりと呟く。
「あぁ、お前も、お前の才も、死なせはしない、死なせはしないとも。頂上にて針が3度目の邂逅を果たす時、この夢こそが、この世の理となるのだ」
男の足元から伸びる蔓は、あの時蛇を襲った緑の触腕となり探索者に襲いかかる。
しかしそれは探索者個人を狙っている意思があるとは思えないような、それこそこの部屋をしらみつぶしに潰せば探索者たちも潰れるといった短絡的かつ確実な意図を感じさせる動きだ。
SANc1d2/1+1d4
------------
★探索箇所★
椅子 |ベッド |棚(色紙、バッシュ)
扉
|探索者 |笹世&ヒプノス
洗面台|時計 |窓
アイデア(警察)
→犯人は凶器や遺体など、隠したもののそばにいたがる性質がある。
※歩けるようになった笹世が病院から離れなかったのもその為では
椅子→触腕に潰されて既にガラクタと化している。
扉→ひしゃげている。ビクともしない。
洗面台→鏡が割れあたりに散らばる。
ベッド→真ん中から折れている。
花瓶→壊れてバラバラだ
時計→ヒビの入ったガラスの奥で健気に針は動いていた。いや、それどころか針は速度を増していた。12時まであと少しだ。
窓→恐ろしいほどの暗闇がただよっている。まるで外には何もないかのようだ。
棚→部屋の隅でお行儀よく立っている。上に置かれているのは色紙、バスケットボール、そして、バッシュ(シューズ)だ。
(アイデア
→触腕が棚の付近を押しつぶしていないことに気がつく。)
色紙→退院おめでとうと寄せ書きされている。大きくバスケットボールの絵が描かれている。
バスケットボール→模様を見るに、昼に少女から渡され、一緒にバスケをした時と同じものだ
バッシュ→パッと見なんの変哲も無い。(図書館で見たバスケの雑誌で丸されていた靴と同じだ)
バッシュ(目星、よく調べる)
→中敷の下から紙、契約書が見つかる。
------------------
(契約書を持ったまま「リアル(real)」と叫ぶ)
「否!否否否否否否否否否否!!!!やめろー!!!」
と男が苦しみ出す。
と、あたりの緑が少しずつ解け、溶けていく。
「あぁ、夢が、夢が消えて、行く…………あぁ、でも、お前だけは、連れて行こう、我が元に」
地を這う声の主が消え、少女に覆われた緑も消える。
今度は少しずつ世界全体が少女の、探索者の、身体が粒子となって足元から消えていく。
夢が、醒めていく。
※ここで夢の世界で最後にしたいことはないかと問う
アイデア→この粒子の夢から覚めてすぐに、この少女に首輪を嵌める必要がある。そして、なんとなくだが、目が覚めてすぐは彼女のすぐ近くにいられない気がする。
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下記はエンド分岐
1.血を使って印を少女に書く→現実世界でそれを使ってワープ→首輪はめる→完治
2.そのまま消える→現実世界で急いで首輪をはめる→少し麻痺が残る
3.何もしない→村上家の葬儀の立て看板
夢殿大学病院
病院の建物を蔦が這い回り、それが外へ外へと伸びている。まるで何か怪物の繭のようにも見えて少し気味が悪い。
聞き耳25
→「いま犯罪者が街をうろついてるんですって」「どうしましよう!患者さんたちが狙われたら…」「腕に自信のあるボランティアの方々が院内自警団を組んだらしいけど…心配ね」「じきに警察も来るわ。全く、怖い街になっちゃったわ」と休憩中の看護師がゴミ捨て場の裏で話しているのが聞こえる。
見ると確かに、緑色の腕章をした人がウロウロと院内をうろついている。
建物に外から目星(25)
五階のある部屋の窓から蔦が生えていて、それが病院を覆い、町へと伸びているのに気がつく。
院内に入るまでに一回全員で何かしらの逃げるロール→失敗すると追いかけられる。
「いたぞ!あいつらだ!」
「テレビで見たやつらだ!!」
院内に入ると看護師とエンカウント。変装していたらなんてことはなく、院内に入れる。
※看護師が気がつかない。
上に行こうとエレベーターを待っていると、ちょうど廊下の先の階段のところに笹世がいる。みんなを指差して「見て!」という。
そうすると、看護師が持っていたトレーを手放して叫び声をあげる。「ちょっと、こんな時間に一体………きゃー!テレビで見た、危険思想家………犯罪者よ!」その声につられてわらわらと人が集まる。
「捕まえろ!」「患者に何する気だ!」と腕章をつけた沢山の人たちが探索者に向かう。
少女は、人の波に逆らって階段を登り、探索者から離れていく。
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階段を登って五階を目指す。(1回判定)
(dexで1人でも負けると、ハーツが残る)
ガンっと、重い金属製の扉が閉じた音がする。後ろを見ると、ハーツがいない。代わりに防火扉が閉じていた。
「はやく!もたもたしてると反対の階段とエレベーターからも来る!」
「……大丈夫だ、ハーツちゃんは、強いからな!ちょっとお片づけしたらすぐ追いかける!」
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五階
下から、向かいから、あなたたちを追う声が聞こえる。
「あ、いたぞ!!!」
あなたたちを掴む手は目前まで迫るだろう。
五階の廊下、明らかに異質。うねうねと這う蔓がドアの隙間から壁伝いに脈を打つそのドア。そのドアの中にこそ全ての元凶があるのだと、あなたたちは推測できるだろう。
ドアに辿り着くまでにdex判定
(成功)→迫る手を掻い潜り、あなたたちはその病室へと身を滑り込ませた。
(1人でも失敗)→1人の男の手があなたを掴んで引きずり倒そうとする。
-------
★(知り合いの警察が仲間になっていた場合)
しかし、次の瞬間転がったのは男の方で、その男の背後には見知った顔があった。
(知り合いの警察が探索者を信じ、助けてくれる)
あなたは、扉の向こうに押し込まれた。
★(知り合いの警察が仲間になっていない場合)
さらに幸運判定に失敗すると持ち物を奪われ、身一つで扉の中で滑り込むことになる。
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次の瞬間外の騒ぎが嘘のように室内が静かであること、そして、閉じられた扉がもう開けないことに気がつく。
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そこは、1人部屋の病室だった。
清潔感のあるベッド。
洗面台。
椅子。
傍にある棚には、バッシュやバスケットボール、そして退院おめでとうと書かれた色紙がある。
割れた花瓶が床に散らばり、濡れた夾竹桃の花が蔦の絡まる緑の空間で、鮮やかなほどに目に刺さる。
部屋の真ん中には、一輪だけポピーが蔦の間から芽を出し、健気に花を咲かせていた。
開いた窓のそばに、彼女はいる。
「君たちだったんだ。気付いちゃった人たちって」
「…この世界、お気に召さなかったかな?慣れたら結構、便利だと思うんだけど」
(好きなことを奪われる辛さを語るところっといく)
「……そう、そうだよね。そんなの、私が1番よく分かってるよ…はは。そうだ、人に辛い気持ちを押し付けて、…はは、私は弱い人間だな…。でも、でも、ごめん。みんなの気持ちはわかるけど、もう遅いんだ」
「この世界が消えたら、私は死ぬんだ。なんとなくわかる。あっちの私はもうきっと死んでしまうから。だから、ここを取られたら私も死ぬんだ」
--------
(死なない方法があるといった場合)
「…それ、本当かい?そんな、一体、どうやって」
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「否、否、否、否否否否!」
地を這うような声が湧き出すマグマのように足元から湧き上がる。
ゴゴゴゴゴと地響きがなり、蔦がうねり、一輪のポピーが凶悪なまでに根を伸ばす。根は少女の体を這い回り、同様に硬直した肢体を締め付け、全身を芽吹かせる。
「な、んだ、これ」
だらりと力が抜けたにもかかわらず、根によって固められ膝を崩すこともないその姿はまさしく園芸の庭木。
目の前で残虐に緑に嬲られていく少女を見たあなた方はSANc1/1d4
少女は、手を探索者たちに伸ばした状態のまま、完全に緑に包まれた。
奇怪なオブジェと化した少女の背後には、白く眩い光に包まれた壮年の男性が立っていた。
ケシの花と蔓の冠を頭に頂くその姿は、足元は編まれた植物の塊で、それが徐々に人の形を成している。
あまりに美しく精悍なその面立ちは、人間離れしていて、探索者の背中に冷や汗が伝う。
それは探索者に見向きもしないまま、少女を庇うようにその大きな背を曲げうっそりと呟く。
「あぁ、お前も、お前の才も、死なせはしない、死なせはしないとも。頂上にて針が3度目の邂逅を果たす時、この夢こそが、この世の理となるのだ」
男の足元から伸びる蔓は、あの時蛇を襲った緑の触腕となり探索者に襲いかかる。
しかしそれは探索者個人を狙っている意思があるとは思えないような、それこそこの部屋をしらみつぶしに潰せば探索者たちも潰れるといった短絡的かつ確実な意図を感じさせる動きだ。
SANc1d2/1+1d4
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★探索箇所★
椅子 |ベッド |棚(色紙、バッシュ)
扉
|探索者 |笹世&ヒプノス
洗面台|時計 |窓
アイデア(警察)
→犯人は凶器や遺体など、隠したもののそばにいたがる性質がある。
※歩けるようになった笹世が病院から離れなかったのもその為では
椅子→触腕に潰されて既にガラクタと化している。
扉→ひしゃげている。ビクともしない。
洗面台→鏡が割れあたりに散らばる。
ベッド→真ん中から折れている。
花瓶→壊れてバラバラだ
時計→ヒビの入ったガラスの奥で健気に針は動いていた。いや、それどころか針は速度を増していた。12時まであと少しだ。
窓→恐ろしいほどの暗闇がただよっている。まるで外には何もないかのようだ。
棚→部屋の隅でお行儀よく立っている。上に置かれているのは色紙、バスケットボール、そして、バッシュ(シューズ)だ。
(アイデア
→触腕が棚の付近を押しつぶしていないことに気がつく。)
色紙→退院おめでとうと寄せ書きされている。大きくバスケットボールの絵が描かれている。
バスケットボール→模様を見るに、昼に少女から渡され、一緒にバスケをした時と同じものだ
バッシュ→パッと見なんの変哲も無い。(図書館で見たバスケの雑誌で丸されていた靴と同じだ)
バッシュ(目星、よく調べる)
→中敷の下から紙、契約書が見つかる。
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(契約書を持ったまま「リアル(real)」と叫ぶ)
「否!否否否否否否否否否否!!!!やめろー!!!」
と男が苦しみ出す。
と、あたりの緑が少しずつ解け、溶けていく。
「あぁ、夢が、夢が消えて、行く…………あぁ、でも、お前だけは、連れて行こう、我が元に」
地を這う声の主が消え、少女に覆われた緑も消える。
今度は少しずつ世界全体が少女の、探索者の、身体が粒子となって足元から消えていく。
夢が、醒めていく。
※ここで夢の世界で最後にしたいことはないかと問う
アイデア→この粒子の夢から覚めてすぐに、この少女に首輪を嵌める必要がある。そして、なんとなくだが、目が覚めてすぐは彼女のすぐ近くにいられない気がする。
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下記はエンド分岐
1.血を使って印を少女に書く→現実世界でそれを使ってワープ→首輪はめる→完治
2.そのまま消える→現実世界で急いで首輪をはめる→少し麻痺が残る
3.何もしない→村上家の葬儀の立て看板