矢避けの林檎
3.5 契約の様子
(血は笹世とバスケをした時に針金、もしくはボールに付着している。回収の際、夾竹桃の花が落ちている)
血を鏡につけると、黒板を引っ掻くような不快な音とともに、像が浮かび上がる。
それは病院で出会った少女を正面から少し見下ろす時点で再生された。
契約した人ならざるものの視点だろうか。
ザザッとノイズが入る。
ぼんやりとした景色の中、「検査入院」「壊死」「諦める」「もう…」などといった単語が飛び交う。
少女の声で、「もう、できないのかな」と、声がした後、ぱっと視界は開け、あなたたちが視点を借りた何かが「否、」と答えた。
鏡に映るのは、少女と、その背後にある洗面台。その隣にあるスライド式の扉。壁にかかった時計。少し見えるベッドと、花瓶。窓。いけられた花雰囲気は病室、しかも個室と言った風だ。
しかし、探索者は少女のその下、腰掛けている車椅子に目を奪われるだろう。車椅子に乗せられたその足は少女が目の前の存在を見上げるために首を動かしても、船の錨のように微動だにしない。
(花は夾竹桃)
「願いを3つ?そうだなぁ。1つは確実に決まってる。私はバスケができる体になりたい」
足元を見てそういう。
「2つ目?そうだなぁ………それが…私が動けることが当たり前だった。普通だったって周りに思われたいな。悲劇のヒロインにはなりたくないんだ」
あげた顔の視線の鋭さにスポーツマンのプライドが垣間見える。
「3つ目は考えてない。後から、必要になったらまた言うよ」
爽やかに彼女は笑う。
「なるほど、その、私の理想の世界に名前が必要なのか」
彼女の手元に羊皮紙が現れ、そう呟いた瞬間、地の底から響くような声が鏡を震わせる。
「この世界の名前が私とお前以外に知られ、その契約書の前で呟かれた時、この世界は崩壊するだろう。しかし、それさえなければ、この世界は永遠に続く」
少女が問う。
「この紙はどこに置いておくんだい」
地を這う声が言う。
「お前の好きなところに」
少女が問う。
「この紙に世界の名前を書くのかい?」
地を這う声が答える。
「是」
少女が問う。
「成る程」
そう言って少女は羊皮紙に筆を走らせた。
「この世界の名前は」ここでひどいノイズが走る。視点が視点なので、彼女の手元は見えない。
地を這う声が問う。
「どうしてそう書いて、そう読むのか」
少女が笑う。
「君と私さえいなくなれば、きっとこここそそうなるからさ」
地を這う声は訝しげな声を出した。
「謎かけか」
少女は口角を上げた。
「私がこれを隠せる場所なんてたかが知れてるからね、見つかってすぐわかるようなかき方はしたくないんだ。念の為」
次の瞬間、大きな風が吹き、紙が風に巻き上げられられ、視界の外へと回収される。
少しずつ鏡が闇に染まっていく。
「頂上にて針が3度目の邂逅を果たす時、この夢こそが、現実となるだろう」
その言葉を最後に、鏡はただの鏡に戻った。
(目星で洗面台の鏡に契約書が映ったのに気づく)
目星(初期値25)
→少女の背後の洗面台の鏡に、契約書が写ったのに気がつく。そこにはyoruealiとある。
時計
→12時をさしている。
窓の外
→暗い
隠し場所についてアイデア
→隠し場所に自信がないのなら、彼女はその近くにいるのではないか。
(血は笹世とバスケをした時に針金、もしくはボールに付着している。回収の際、夾竹桃の花が落ちている)
血を鏡につけると、黒板を引っ掻くような不快な音とともに、像が浮かび上がる。
それは病院で出会った少女を正面から少し見下ろす時点で再生された。
契約した人ならざるものの視点だろうか。
ザザッとノイズが入る。
ぼんやりとした景色の中、「検査入院」「壊死」「諦める」「もう…」などといった単語が飛び交う。
少女の声で、「もう、できないのかな」と、声がした後、ぱっと視界は開け、あなたたちが視点を借りた何かが「否、」と答えた。
鏡に映るのは、少女と、その背後にある洗面台。その隣にあるスライド式の扉。壁にかかった時計。少し見えるベッドと、花瓶。窓。いけられた花雰囲気は病室、しかも個室と言った風だ。
しかし、探索者は少女のその下、腰掛けている車椅子に目を奪われるだろう。車椅子に乗せられたその足は少女が目の前の存在を見上げるために首を動かしても、船の錨のように微動だにしない。
(花は夾竹桃)
「願いを3つ?そうだなぁ。1つは確実に決まってる。私はバスケができる体になりたい」
足元を見てそういう。
「2つ目?そうだなぁ………それが…私が動けることが当たり前だった。普通だったって周りに思われたいな。悲劇のヒロインにはなりたくないんだ」
あげた顔の視線の鋭さにスポーツマンのプライドが垣間見える。
「3つ目は考えてない。後から、必要になったらまた言うよ」
爽やかに彼女は笑う。
「なるほど、その、私の理想の世界に名前が必要なのか」
彼女の手元に羊皮紙が現れ、そう呟いた瞬間、地の底から響くような声が鏡を震わせる。
「この世界の名前が私とお前以外に知られ、その契約書の前で呟かれた時、この世界は崩壊するだろう。しかし、それさえなければ、この世界は永遠に続く」
少女が問う。
「この紙はどこに置いておくんだい」
地を這う声が言う。
「お前の好きなところに」
少女が問う。
「この紙に世界の名前を書くのかい?」
地を這う声が答える。
「是」
少女が問う。
「成る程」
そう言って少女は羊皮紙に筆を走らせた。
「この世界の名前は」ここでひどいノイズが走る。視点が視点なので、彼女の手元は見えない。
地を這う声が問う。
「どうしてそう書いて、そう読むのか」
少女が笑う。
「君と私さえいなくなれば、きっとこここそそうなるからさ」
地を這う声は訝しげな声を出した。
「謎かけか」
少女は口角を上げた。
「私がこれを隠せる場所なんてたかが知れてるからね、見つかってすぐわかるようなかき方はしたくないんだ。念の為」
次の瞬間、大きな風が吹き、紙が風に巻き上げられられ、視界の外へと回収される。
少しずつ鏡が闇に染まっていく。
「頂上にて針が3度目の邂逅を果たす時、この夢こそが、現実となるだろう」
その言葉を最後に、鏡はただの鏡に戻った。
(目星で洗面台の鏡に契約書が映ったのに気づく)
目星(初期値25)
→少女の背後の洗面台の鏡に、契約書が写ったのに気がつく。そこにはyoruealiとある。
時計
→12時をさしている。
窓の外
→暗い
隠し場所についてアイデア
→隠し場所に自信がないのなら、彼女はその近くにいるのではないか。