ネコナギムラ
【CoCシナリオ】
「ネコナギムラ」
シナリオ:ネコナギムラ
推奨人数:1〜
形式:シティ(ヴィレッジ)
時間:ボイセ3h
難易度:SAN20以下の探索者は非推奨
推奨技能:目星
※地の文が打ってあるので、KPを立てる場合で改変などが不必要な時は、本文をコピペしてそのままお使いください。
※誤字脱字についてはご指摘いただけますと助かります。
[chapter:INTRO]
[newpage]
[chapter:前書き]
次ページから本編となります。
[newpage]
[chapter:導入]
◆1日目:夕方◆
探索者は、とある理由で岩手の根子薙村(ねこなぎむら)に来ている。
村にある【宿屋:山猫亭】で3泊4日を過ごすつもりだ。
村に到着したのは既に夕方であるため、探索者は宿の談話室で友好を温めたり、明日以降の予定を立てたりして眠るまでの時間を過ごすだろう。
<とても狭い村の小さな宿の談話室なので、初対面のPCがいたら、ここで自己紹介などを済ませましょう>
談話室
→あまり大きくない談話室だ。
卓球とマッサージチェアと雑誌ラックがある。
雑誌ラック
→手作り感のある村のパンフレットがある。
この村にあるものがおおよそ記載されているようだ。
【バス停】
【宿屋:山猫亭】
【公民館】
【宮沢賢治記念館】
【鉱物館】
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
【住宅や畑】
パンフレットアイデア
→1つ、名前の書かれていない建物がある。
(名前の書かれていない建物は村の人に聞くと、精神療養所だと教えてくれる)
スマホで何かを検索しようとする。
→アンテナがほとんど立たず、うまく電波が伝わらない。
村について探索者が事前に知っていること
→
・村の名前は根子薙村(ねこなぎむら)
・宮沢賢治ゆかりの村である。
・農業が盛んである。
・山に囲まれた、自然豊かな土地である。
--------
◆1日目:夜◆
旅行初日、あなたは旅の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源である『ろうそく』の温度から、これがただの夢ではないと確信する。
SANc0/1
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
どうやら、内側から開けようとしても天井は開かないようだ。
引っ掻き傷の中に、文字のようなものが見えるが、『引っ掻いて書いた字』なので読みづらい。
引っ掻いて書いた字に母国語
→イウコトキカナイトデラレナイ
箱の中をよく見る
→水桶とタオルが端に置いてある。
ろうそく
→手で持って動かせる。よく見ると、ろうそく立ての下に、『折りたたんだ紙』がある。
折りたたんだ紙
→汚く丸い文字で「まず ての どろ おとしください」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が手を綺麗に拭う、洗う)
→ 手を拭ってしばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
それに比例して探索者の意識も霞み、深い微睡に落ちようとしたところで突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「また あしたも どうぞ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれる恐怖と、明日も何かあるかもしれないという危機感に襲われる。
SANc0/1
そのまま探索者は意識を失った。
◆2日目:朝〜昼◆
※この旅行中は、朝晩にそれぞれ1箇所、昼には2箇所探索できる。(朝1・昼1・晩1)
◆2日目:朝〜昼(3回行動)◆
&
◆3日目:朝〜昼(3回行動◆
★いける場所★
【宿屋:山猫亭】
【バス停】
【公民館】
【宮沢賢治記念館】
【鉱物館】
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
【住宅や畑】
【?:建物名の記載がない】
------------
<各場所の情報>
【宿屋:山猫亭】
宿屋自体に特にめぼしいものはない。
しかし、従業員のおばちゃんたちが顔をしかめながら何やらヒソヒソと話をしている。
(おばちゃんたちの話す内容)
→ 「また逃げられたの?もう、やんなっちゃう…」
(探索者に上記について聞かれたら)
→ 「たまに宿泊客が逃げちゃうのよ。宿泊代を踏み倒されたこともあってうちも困ってて…あらやだ、お客様にこんな愚痴っぽ
いこと言ってすみませんね。ふふあなたは踏み倒さないで下さいね」
「荷物は置いていってるんですよ。それがまた不思議でねえ。お財布もみんなあるもんだから、若い子たちは、自殺じゃないかなんて言っているし 怖いったらありゃしませんの」
(過去(昔)もそんなことがあったかを聞く)
→ 「結構前に人がちょこちょこ消えたらしいわよお。でももう何十年も前。あらやだ。私もう行かなくちゃ。ま、でも、宿代踏み倒す客なんて、どこにでも結構いるものよ。こんな田舎の安宿踏み倒す人が珍しいってだけで」
【バス停】
医療や警察機関が不十分であるこの村で、何か緊急事態が起きたときのために、村のお金でフリーWi-Fiが設置されている。
村は全体的に電波が悪く、有線でないと安定した通信が得られないため、スマートフォンで調べ物をしたい、外部と連絡を取りたい、というときには、それ用にWi-Fiが設置されたところでないと難しい。
【公民館】
公民館の建物内には村役場、郷土記念館が併設されている。
【村役場】
→ (失踪について聞く)
1900年代に失踪や郷土病への罹患者が多発し、また集団怪夢事件が起きていたことを伝えられる。
「そのことについてはあんまり紙資料がないんですよねー。私もおばあさまから聞いただけなんですけど、統計的にも、人口が1900年に少しではありますが不自然に減ったらしいですよ。 似た傾向が昨今にもあるみたいですけど、みんな夜逃げや自殺だろうって」
<失踪以外のことを聞かれた際には、その情報を得られる場所を紹介する>
【郷土記念館】
→係員がいるわけでもなく、ただ展示品が一室に置かれているだけの記念館だ。
郷土の歩み、というパネル型の展示が、狭い室内に点々としている。
1.[宮沢賢治のパネル]
2.[農業のパネル]
3.[鉱山のパネル]
4.[郷土病のパネル]
[宮沢賢治のパネル]の要約
ここは宮沢賢治の教え子の出身の村であり、宮沢賢治の作品に出てくる山猫のルーツがこの村で生まれたとされる。
[農業のパネル]の要約
海が近くにないため漁業は発達せず、畑作農業が盛んで、木を切り開いでできた村であることからこの根子薙村という名がついたとされる。
しかし、一部の歴史書には猫鳴村とも記載されることがある。
畑肥料としては干鰯が有名だが、この村ではイワシを肥料にするのはもったいないとされ、肥料にするはずの魚ですら食べる。猫鳴村という表記は、上記の様が魚を好んで食べる猫のようだからという説と、郷土病に由来するという説がある。
[鉱山のパネル]の要約
昔パイライト採掘場の建設が計画されたが、名前もつかないような工業的価値のない似た鉱物しか取れず、採掘場建設計画は中止となった。しかし、採掘場建設計画始動前も後も、近隣住民による同鉱物(パイライト)の持ち込みが多く、どこかに鉱物群の付着した岩肌が露出しているのではないかと採掘関係者は探し回ったが、それも見当たらなかった。
パイライトに地質学/知識の半分
→「愚か者の金」の異名を持つ、金色だが金とは異なる鉱物であることを知っている。
[郷土病のパネル]の要約
ここの郷土病は精神に異常をきたす旨が書いてある。
精神を病んだ人たちは決まって「みぃごみぃご」と猫の鳴き声のような声をあげるため、猫-ビョウ-憑き(病憑き)と名がついた。
パイライトに含まれる硫黄が地中に溶け出したために、それを水などから摂取し過ぎた住民が一部神経に異常をきたしてしまったのではないかと現代では推測されているが、真因はまだ不明である。
【宮沢賢治記念館】
宮沢賢治ゆかりの地、という旗が入り口にはためいている。この宮沢賢治の説明や宮沢賢治ゆかりの品の展示がブースごとに用意されていた。
1.[宮沢賢治と根子薙村]
2.[宮沢賢治ゆかりの品]
3.[宮沢賢治からの寄贈品]
1.[宮沢賢治と根子薙村]のブース
<宮沢賢治>
生年月日:1896年8月27日
死没:1933年9月21日
仏教信仰と農民生活に根ざした創作を行った詩人兼童話作家。
農学校教員をしていた頃は教え子の故郷を訪ねることが多々あり、根子薙村もそのうちの一つである。宮沢賢治はこの村に友人と数日滞在した後帰村したが、その後村に自作の童話(後に大幅に加筆修正を加えられ出版される)を寄贈した。
2.[宮沢賢治ゆかりの品]のブース
宮沢賢治直筆のメモや、忘れ物とされる『手帳』や『玩具』が収められている。
宮沢賢治の手帳
→とあるページを開いた状態で展示してある。インクに浸してしまったのだろうか、右端に黒い染みがついている。罫線にそって根子薙村で話を聞いた人の名前や、その内容を軽くメモしているようだった。
手帳をよく見る
→ページが破られた跡がある。
人の名前などを判読する場合は母国語
→ 左ページの下部に沢田八郎、十。と書いてあり、次のページに話の内容が書かれていると思われるが、該当のページは破り取られている。見開き右のページには、「しつぽを もらいうける。」と書いてある。
<立方体の箱の中でみたインクで汚れたメモとページの色や大きさが一致する>
玩具
→一部節が入った、くすんだ肉色の木の棒のようなものがガラスケースに納められている。宮沢賢治が泊まった宿屋の枕元に忘れていったものである。
30cmほどのこの棒が、手帳に記載のある「しつぽ」であると見られている。玩具として展示しているものの、実際の入手目的や使用用途については不明である。
3.[宮沢賢治からの寄贈品]
宮沢賢治が滞在中に思いついたという童話二作を、直筆の原稿にて村に寄贈したという旨が記載されている。
原稿のレプリカを自らめくって読み進める形式で展示されている。
①童話一作目
『注文の多い料理店』
ある2人の若い紳士が猟犬を連れて山に狩りに出掛けた。狩りがうまくいかず下山を決意した2人の前に、突然、立派な食事処が現れる。
腹をすかせた2人は食事処:山猫亭の中に足を踏み入れたのだった。
部屋に入ると「泥を落としてください」「鉄砲を置いてください」などの指示が現れ、2人は指示通りに行動していく。
しかし、3つ目である最後の指示で「衣服を脱いでこちらにくる」ように指示を受けた時、違和感に気づいた2人は、恐怖にガタガタと震えだす。
扉の向こうからは恐ろしい化け猫の鳴き声が聞こえ、もう助からないと思ったその時、一緒にいた猟犬がワンワンと大声を上げて扉を突き破る。すると、山猫亭はみぃごみぃごという鳴き声と千切れた尻尾を残して、雲のように消えてしまった。
安堵した2人の紳士であったが、あまりの恐怖で顔はくしゃくしゃになってしまい、2度とこの恐怖を忘れることはなかった。
②童話二作目
『どんぐりと山猫』
小学生の一郎は、ある日下手な文字で書かれた手紙を受け取った。
その手紙は山猫からで、面倒な裁判に出てもらえませんか、というお願いだった。
一郎は山猫のお願いを聞き入れ、どんぐりの裁判に出廷する。
赤いズボンを履いた金色のどんぐりたちが繰り広げる面倒な裁判を、見事おさめて見せた一郎は、お礼を山猫から受け取った。
山猫から「魚の頭と金のどんぐりのどちらをお礼に渡しましょうか」と問われ、一郎は「金のどんぐり」と答えると四角い升に入ったどんぐりを手に帰宅する。
帰宅途中、どんぐりからどんどん金色が消え、萎びて茶色になっていくのを見て、一郎は「魚の頭にしなくてよかったなぁ」と思いながら、思い出のどんぐりを母親に見せに行くのだった。
【鉱物館】
採掘場建設の話が持ち上がったときにできたが、結局鉱物の採掘が行われなかったために、宮沢賢治記念館に併設されることになった旨が、入口のパネルに書いてある。
鉱物館の裏手に採掘場が建設されかけたらしく、『展示室』内の窓から採掘に使用されるはずだった横穴が見える。
展示室
この土地で取れる鉱物や石がガラスケースに納められている。
パイライト
→ 様々な鉱山で産出されるありふれた鉱物ではあるが、硫酸の原料として使用されなくなってからは工業的価値が大きく下がった。加熱すると亜硫酸ガスが出るのと、硫黄を完全に除去するのが困難であるために、製鉄の材料としては適していない。
黄金色で金に似ていることから、愚者の金と呼ばれている。
その他
→パイライトに似ているが、成分が異なる石として『赤茶色の石』が展示されている。
工業的な価値がない上に、生物の油と反応して変色してしまうために、装飾品としての価値もないということが記載されている。
この鉱物について特定の名前の記載はない。
赤茶色の石
→赤茶色の石の一部分はわずかに金色が残っている。
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
<織葉大学 理系の私立大学
近くの畑で接木や交配を行い、高地、寒地でより生産量の高い食物の生産を目的とする研究をしており、学生や教授が出入りしている。>
村で1番背の高い建物である。付近には、学生が授業か研究で使用しているのだろうか、ビニールハウスや畑がある。
今は周りにあまり人気がないが、ビニールハウス近くの『喫煙コーナー』で誰かがタバコを吸っているようだ。
また、建物の近くには、大学の『紹介パネル』がある。
紹介パネルに記載されている内容
→宮沢賢治の教え子が、この村の発展のために身分や経歴関係なく意見を交わせる場として作った学舎が元となり、この分棟ができあがった。今でもこの学舎からは多くの学者が輩出され、この村及び日本の農業に帰依している。
喫煙コーナー
→灰皿がわりの銀色の缶の横で、男が平たい石に腰掛けながら、うつらうつらとしている。
寝ぼけているのか、今にも灰が落ちそうなのにも関わらず、タバコを灰皿に向ける様子がない。
(男に声をかける)
→「っ!うゎわゎ、あっぶね。あ〜ありがとう!…ご、…ございます。すんません。ダチかと思って気ぃぬいてました。変な夢見て寝不足で、ボーッとしてたみたいですわ。声かけてくれてありがとうございました」
そう言ってタバコの火を消す。
(夢について聞く)
→「あー、いや、変な部屋に閉じ込められて、紙に書いてあることをしたら出られる、みたいな?もう続けて見てっから、なんかの深層心理なのかとかって気になって」
<深度は探索者と同じ&面識があるものは同じ箱に入れられるので、今までは違う箱に入っていたが次から一緒になる>
(自己紹介)
→ 「えーと、織葉大の2年の安井智弘(やすいともひろ)です。生物資源学専攻してるんすけど…。まあ、どうしたら安全な農産物を安定供給できるか研究してるって感じのやつですね」
【住宅や畑】
→たまにみる村人は老人が多いが、子どももちらほらいる。若い人は仕事や家事で今の時間帯はあまり外にでていないようだ。
わんわん!
とある犬が探索者に向かって吠える。
犬の手綱を引く小学生くらいの男の子がそれを嗜める。
小学生「こら!ゴン太!ごめんなさいにいちゃんたち…こら!どうしたんだ〜にいちゃんたち猫連れてないだろ〜?」
小学生「俺はたつろう!こっちはゴン太!あぁ、こらゴン太〜すみません!こんなに吠える子じゃないんですけど〜」
小学生「じいちゃんが言うには、山猫に会った人間には匂いが残ってて、反応して吠えちまうって!」
「にいちゃんたちー、俺宿題わかんないんだー。ここ、教えてよ〜。母ちゃんたちは自分で考えろって言うけど、正解わかんないんだ〜」
国語の宿題のプリント
Q. 一郎はなぜ、「魚の頭にしなくてよかったなぁ」と思いましたか。(30文字以内で書いてみましょう。)
(たつろうにお爺さんを紹介してもらうor宮沢賢治記念館から、沢田八郎の軌跡を辿り探す)
八郎「オラが沢田八郎だ。皆さんこんな田舎までよう来て下すったぃ」
(犬のこと)
八郎「犬は、この山に住む山猫様の匂いを嗅ぐと、警戒して吠えるんだ。…いやぁそういや懐かしいなぁ。宮沢先生にも昔おんなじこと教えたなぁ」
(宮沢賢治に話したこと)
八郎「オラが10歳の頃だった。両親が火の用心の当番だからって一人で寝なきゃいけねぇときに、寂しくてそん頃飼ってたポチを抱いて寝たんだ。そしたらその日、箱ん中に閉じ込められる恐ろしい夢さ見てな。でもポチが大声で吠えてくれたおかげで目が覚めたんだ。きっと悪夢は山猫様の悪戯で、ポチが追い払ってくれたでな。そん時にポチが山猫様から尻尾を食いちぎったようで、宮沢先生はオラの話を馬鹿にしなかったからその尻尾をお守りにあげたんだぁ」
(童話について)
八郎「宮沢先生がオラの話を聞いて童話をこさえてくださったんだろな。この村のもんはあれを読んで育つもんだから、猫より犬が好きなもんさ多ぐで、犬を飼っとるうちも多い」
(犬を住民から借りる場合、信用か説得が必要)
【?:建物名の記載がない】
【精神療養所】
今は使われていない施設らしく、建物と石碑のみが残っている。
石碑に彫られた言葉
→ ここは昔、この土地で精神を病む人が多かったためにできた療養所である。
ほとんどの人は、しばらくすると立ち直り、元の生活に戻ったものの、原因不明の本郷土病に罹患した患者のその処遇は当時は冷たいものだった。
しかし、宮沢賢治はここの患者の言葉にも耳を傾け、対話し、その言葉が紡ぐ世界を彼なりに童話に興してみせた。
患者やその家族を含めて村全体はその真摯な対応に大層感激し、宮沢賢治の行動が郷土病患者への風当たりが軟化する傾向の先駆けとなる。
この建物は現在は使用されていないものの、宮沢賢治の理想郷イーハトーブに、我が村が少しでも近づけるよう、あの頃のことを忘れないための記念碑として村人たちの意向により残されている。
建物
→扉には鍵がかかっている。
(鍵開けに成功or str10対抗成功で開く)
室内の描写
→閉鎖される前は記念館のように資料の展示が行われていたのか、展示物がそのまま残っている。
展示物
→宮沢賢治と患者が話している様子が写真や絵で描かれており、下記にその補足として以下の文章が書かれている。
[宮沢賢治と患者]
→猫憑きに罹患したものは、確かに神経衰弱及び、幻覚、幻聴などの精神的な疾患を生ずるが、その多くが回復後なんらかの才に目覚め功績を残している。しかし、1度精神的な病を生じた罹患者の唱える説や発明した手法には懐疑的な意見が多く、当初それらはなかなか村に浸透しなかった。
そんな中で農学に明るい宮沢賢治は、元罹患者の意見の整合性を唱え、加えて彼らに見えている世界について童話に書き興すなど、積極的に患者との意思疎通を図った。その姿勢は村人たちの心を動かし、宮沢賢治の来村以降、村では元猫憑き患者の意見も忌憚なく採用されるようになる。
この村の農業が絶えず発展を続けているのは、元罹患者たちのひらめきとそれを受け入れる村の風習を作り出した宮沢賢治、そしてその教え子が残した学舎のおかげである。
◆2日目:夜◆
あなたは探索の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源であるろうそくの温度から、また例の夢を見ているのだと確信する。
箱の中には、昨日はなかった『木箱』が置いてあった。
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
どうやら、内側から開けようとしても天井は開かないようだ。
引っ掻き傷の中に、文字のようなものが見えるが、『引っ掻いて書いた字』なので読みづらい。
引っ掻いて書いた字に母国語
→コワイコワイ イウコトキカナイトデラレナイ
立方体の箱の中をよく見る
→部屋の隅に紙の切れ端が落ちている。手帳のページを切り取ったものらしく、端がインクで汚れている。
(表) 綺麗な文字でこう書かれている。
「まことにありえぬ夢である。そしてなんともたヘがたくおそろしいことよ。あゝ再び注文をうけ、友は護身にと取りた銃を、ここに置く」
(裏) 綺麗な文字でこう書かれている。
「山猫といふものが、この村におり、夜ごと人を驚かせる。犬が山猫をはらふと、しようねんに伝えきく。ポチが山猫をおいはらつた証拠として」ここから先は次のページに書かれているようだが、該当するページは周囲には見当たらない。
<宮沢賢治記念館の手帳のページと色や大きさが一致する>
木箱
→立方体の中を多少圧迫するほどの大きさがある。木箱の蓋に紙が貼られている。
木箱の紙
→汚く丸い文字で「つぎ ぶき ここいれる ください」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が武器を手放す、そもそも持ってないという)
→ しばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
それに比例して探索者の意識も霞み、深い微睡に落ちようとしたところで突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「(しつれいする しました あなたぶき ない でした)また あした、さいごでも どうぞ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれる恐怖と、明日も何かあるかもしれないという危機感に襲われる。
そのまま探索者は意識を失った。
◆3日目:夜◆
あなたは探索の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源であるろうそくの温度から、また例の夢を見ているのだと確信する。
箱の中には、昨日と同じように『木箱』が置いてあった。
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
立方体の箱の中をよく見る
→部屋の隅に紙の切れ端が落ちている。手帳のページを切り取ったものらしく、端がインクで汚れている。
それには綺麗な文字でこう書いてあった。
「いちろうと おなじものを えらびなさい」
木箱
→立方体の中を多少圧迫するほどの大きさがある。木箱の蓋に紙が貼られている。
木箱の紙
→汚く丸い文字で「さいご ふく ここいれる ください したぎ そのままよい」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が服を脱ぐ)
→ しばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
突然、がば、と箱の蓋が開き、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「ふく ぬぐ ありがとうます たのみある これ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれ、箱の中から出された探索者たちの目の前には白い皿の上に数個乗ったたくさんの金色の立方体と、何も入っていない銀色の皿がある。
皿は中空に浮いており、それを支えるテーブルも糸も見当たらない。
また、あなたをつかんで箱から出した存在も見えない。ただ、暗闇の中ありえない大きさの羽音がする。
SANc0/1
暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「さら なかみ はんたい うつすやる てで おねがいする ます ひとつずつ」
(嫌がる)
「なかみ うつす おれいする わたしあなた なかみ うつすしない かえるできない あなた」
(金の塊を別の皿に移す)
→あなたが触れると、金色の物質は触れたところからみるみる赤茶けていき、マダラ模様になる。
(全ての塊を皿に移す)
→ 暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「わたし ありがとうですございます あなたに おれいする さかなのあたま きん どちら ほしいあなた」
(金のどんぐりを選ぶ)
→「わかるした わたしあなた かえるする ます」
突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
それと同時に探索者の意識も霞み、睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「しつれいする しました ありがとうする しました さよならです」
そのまま探索者は意識を失った。
❤︎【ED1:安井と共に金のどんぐりを選び生還】
はっと目を覚ますと、あなたは下着姿で布団に寝ていた。
枕元には畳んだ衣服と、(武器として箱に入れたもの)そして、握り拳大の金色の塊がある。
自分の服装、金色の塊の存在。
様々なものが昨日の出来事が夢ではないことを物語っている。
あなたが村を出る時、バス停には、ちょうど安井も次のバスを待っているところでした。
安井「その節はどうもっす。いや…まさかとは思ったんすけど、不思議なことってあるもんなんすねぇ。その節はありがとうございました」
あなた方は同じバスに乗り、不思議な村を後にする。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
❤︎【ED2:安井と出会わず金のどんぐりを選び生還】
はっと目を覚ますと、あなたは下着姿で布団に寝ていた。
枕元には畳んだ衣服と、(武器として箱に入れたもの)そして、握り拳大の金色の塊がある。
自分の服装、金色の塊の存在。
様々なものが昨日の出来事が夢ではないことを物語っている。
あなたが村を出る時、バス停には、救急車が止まっていた。
ちらりと横目に見ると、若い男性が「みぃごみぃご」と猫のように鳴きながら、遠くの空を指している。
経緯の詳細は不明であるが、一歩間違えば、自分もああなっていたのかもしれないと、あなたはゾッとするだろう。
あなた方はバスに乗り、不思議な村を後にする。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたらいずれ、救急車に運ばれたあの若者のように物語が狂気の渦に飲まれることが、あるのかもしれない。
︎❤︎【ED3:犬と一緒に眠るを3日目夜まで繰り返して生還】
(犬と一緒に布団に入ると、犬は大きな声で天井に向かって吠え始める)
突然犬が、天井に向かって吠えながら突進した。
箱がぐらりと揺れたかと思うと、あなた方は突然暗闇の中に放り出される。
わうわぅ!!!とてつもなく凶悪な唸り声を上げて、何かに犬が飛びかかるのがわかる。
ぶちり、と嫌な音と、何かのしぶきが辺りに散らばった。
そのまま探索者は意識を失った。
はっと目を覚ますと、あなたは布団に寝ていた。
枕元には犬がくぅくぅと寝息を立てている。
一瞬昨夜の出来事はただの夢かと思ったが、犬の口に咥えられたものを見て、昨日の出来事が夢ではないことを確信した。
何かの腕だ。
先にカニのようなハサミのついたそれは、くすんだ肉色の節足に間違いなかった。
辺りには、海産物の腐ったような、濃い死の匂いが立ち込めている。おおよそあなたの知っている生き物の足ではない。
SANc1/1d2
犬は徐に目を覚まし、くぅん、とひと声鳴いた後、その腕を持って外へと出て行った。
次に戻ったときには、もう節足を咥えてはいなかった。
件の文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたらいずれ暗闇の中で、犬のように果敢に狂気の足を食いちぎるような場面もあるのかもしれない。
バスを乗り継ぎ、元の世界へと帰ったあなたは、少なくとももう、箱の中で下手な日本語で指示をされるようなことはなくなった。
❤︎【ED4:魚の頭を選んで生還】
次の瞬間、あなたの頭の中には、膨大な量の知識の奔流が迸っていた。
知らないはずのことを知っている。
知ってはいけないことを知っている。
うみにいる。うみにいる。うみにいる!!
あなたの脳の隙間に埋め込まれた何かの頭が、過剰にあなたに何かを注ぎ込む。
SAN減少10+1d10
クトゥルフ神話技能+20
あなたは、何食わぬ顔でこの村を出ることができるだろうか。できたとして、以前のあなたと変わらぬ存在でいられるだろうか。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたら、あなたの物語はもう、狂気の渦中に潰されたのかもしれない。
[報酬]
生還2d6
金(パイライトの塊)をもらった1d4
犬と一緒に寝た1d4
安井が正気のまま村を出た1d6
「ネコナギムラ」
シナリオ:ネコナギムラ
推奨人数:1〜
形式:シティ(ヴィレッジ)
時間:ボイセ3h
難易度:SAN20以下の探索者は非推奨
推奨技能:目星
※地の文が打ってあるので、KPを立てる場合で改変などが不必要な時は、本文をコピペしてそのままお使いください。
※誤字脱字についてはご指摘いただけますと助かります。
[chapter:INTRO]
[newpage]
[chapter:前書き]
次ページから本編となります。
[newpage]
[chapter:導入]
◆1日目:夕方◆
探索者は、とある理由で岩手の根子薙村(ねこなぎむら)に来ている。
村にある【宿屋:山猫亭】で3泊4日を過ごすつもりだ。
村に到着したのは既に夕方であるため、探索者は宿の談話室で友好を温めたり、明日以降の予定を立てたりして眠るまでの時間を過ごすだろう。
<とても狭い村の小さな宿の談話室なので、初対面のPCがいたら、ここで自己紹介などを済ませましょう>
談話室
→あまり大きくない談話室だ。
卓球とマッサージチェアと雑誌ラックがある。
雑誌ラック
→手作り感のある村のパンフレットがある。
この村にあるものがおおよそ記載されているようだ。
【バス停】
【宿屋:山猫亭】
【公民館】
【宮沢賢治記念館】
【鉱物館】
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
【住宅や畑】
パンフレットアイデア
→1つ、名前の書かれていない建物がある。
(名前の書かれていない建物は村の人に聞くと、精神療養所だと教えてくれる)
スマホで何かを検索しようとする。
→アンテナがほとんど立たず、うまく電波が伝わらない。
村について探索者が事前に知っていること
→
・村の名前は根子薙村(ねこなぎむら)
・宮沢賢治ゆかりの村である。
・農業が盛んである。
・山に囲まれた、自然豊かな土地である。
--------
◆1日目:夜◆
旅行初日、あなたは旅の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源である『ろうそく』の温度から、これがただの夢ではないと確信する。
SANc0/1
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
どうやら、内側から開けようとしても天井は開かないようだ。
引っ掻き傷の中に、文字のようなものが見えるが、『引っ掻いて書いた字』なので読みづらい。
引っ掻いて書いた字に母国語
→イウコトキカナイトデラレナイ
箱の中をよく見る
→水桶とタオルが端に置いてある。
ろうそく
→手で持って動かせる。よく見ると、ろうそく立ての下に、『折りたたんだ紙』がある。
折りたたんだ紙
→汚く丸い文字で「まず ての どろ おとしください」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が手を綺麗に拭う、洗う)
→ 手を拭ってしばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
それに比例して探索者の意識も霞み、深い微睡に落ちようとしたところで突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「また あしたも どうぞ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれる恐怖と、明日も何かあるかもしれないという危機感に襲われる。
SANc0/1
そのまま探索者は意識を失った。
◆2日目:朝〜昼◆
※この旅行中は、朝晩にそれぞれ1箇所、昼には2箇所探索できる。(朝1・昼1・晩1)
◆2日目:朝〜昼(3回行動)◆
&
◆3日目:朝〜昼(3回行動◆
★いける場所★
【宿屋:山猫亭】
【バス停】
【公民館】
【宮沢賢治記念館】
【鉱物館】
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
【住宅や畑】
【?:建物名の記載がない】
------------
<各場所の情報>
【宿屋:山猫亭】
宿屋自体に特にめぼしいものはない。
しかし、従業員のおばちゃんたちが顔をしかめながら何やらヒソヒソと話をしている。
(おばちゃんたちの話す内容)
→ 「また逃げられたの?もう、やんなっちゃう…」
(探索者に上記について聞かれたら)
→ 「たまに宿泊客が逃げちゃうのよ。宿泊代を踏み倒されたこともあってうちも困ってて…あらやだ、お客様にこんな愚痴っぽ
いこと言ってすみませんね。ふふあなたは踏み倒さないで下さいね」
「荷物は置いていってるんですよ。それがまた不思議でねえ。お財布もみんなあるもんだから、若い子たちは、自殺じゃないかなんて言っているし 怖いったらありゃしませんの」
(過去(昔)もそんなことがあったかを聞く)
→ 「結構前に人がちょこちょこ消えたらしいわよお。でももう何十年も前。あらやだ。私もう行かなくちゃ。ま、でも、宿代踏み倒す客なんて、どこにでも結構いるものよ。こんな田舎の安宿踏み倒す人が珍しいってだけで」
【バス停】
医療や警察機関が不十分であるこの村で、何か緊急事態が起きたときのために、村のお金でフリーWi-Fiが設置されている。
村は全体的に電波が悪く、有線でないと安定した通信が得られないため、スマートフォンで調べ物をしたい、外部と連絡を取りたい、というときには、それ用にWi-Fiが設置されたところでないと難しい。
【公民館】
公民館の建物内には村役場、郷土記念館が併設されている。
【村役場】
→ (失踪について聞く)
1900年代に失踪や郷土病への罹患者が多発し、また集団怪夢事件が起きていたことを伝えられる。
「そのことについてはあんまり紙資料がないんですよねー。私もおばあさまから聞いただけなんですけど、統計的にも、人口が1900年に少しではありますが不自然に減ったらしいですよ。 似た傾向が昨今にもあるみたいですけど、みんな夜逃げや自殺だろうって」
<失踪以外のことを聞かれた際には、その情報を得られる場所を紹介する>
【郷土記念館】
→係員がいるわけでもなく、ただ展示品が一室に置かれているだけの記念館だ。
郷土の歩み、というパネル型の展示が、狭い室内に点々としている。
1.[宮沢賢治のパネル]
2.[農業のパネル]
3.[鉱山のパネル]
4.[郷土病のパネル]
[宮沢賢治のパネル]の要約
ここは宮沢賢治の教え子の出身の村であり、宮沢賢治の作品に出てくる山猫のルーツがこの村で生まれたとされる。
[農業のパネル]の要約
海が近くにないため漁業は発達せず、畑作農業が盛んで、木を切り開いでできた村であることからこの根子薙村という名がついたとされる。
しかし、一部の歴史書には猫鳴村とも記載されることがある。
畑肥料としては干鰯が有名だが、この村ではイワシを肥料にするのはもったいないとされ、肥料にするはずの魚ですら食べる。猫鳴村という表記は、上記の様が魚を好んで食べる猫のようだからという説と、郷土病に由来するという説がある。
[鉱山のパネル]の要約
昔パイライト採掘場の建設が計画されたが、名前もつかないような工業的価値のない似た鉱物しか取れず、採掘場建設計画は中止となった。しかし、採掘場建設計画始動前も後も、近隣住民による同鉱物(パイライト)の持ち込みが多く、どこかに鉱物群の付着した岩肌が露出しているのではないかと採掘関係者は探し回ったが、それも見当たらなかった。
パイライトに地質学/知識の半分
→「愚か者の金」の異名を持つ、金色だが金とは異なる鉱物であることを知っている。
[郷土病のパネル]の要約
ここの郷土病は精神に異常をきたす旨が書いてある。
精神を病んだ人たちは決まって「みぃごみぃご」と猫の鳴き声のような声をあげるため、猫-ビョウ-憑き(病憑き)と名がついた。
パイライトに含まれる硫黄が地中に溶け出したために、それを水などから摂取し過ぎた住民が一部神経に異常をきたしてしまったのではないかと現代では推測されているが、真因はまだ不明である。
【宮沢賢治記念館】
宮沢賢治ゆかりの地、という旗が入り口にはためいている。この宮沢賢治の説明や宮沢賢治ゆかりの品の展示がブースごとに用意されていた。
1.[宮沢賢治と根子薙村]
2.[宮沢賢治ゆかりの品]
3.[宮沢賢治からの寄贈品]
1.[宮沢賢治と根子薙村]のブース
<宮沢賢治>
生年月日:1896年8月27日
死没:1933年9月21日
仏教信仰と農民生活に根ざした創作を行った詩人兼童話作家。
農学校教員をしていた頃は教え子の故郷を訪ねることが多々あり、根子薙村もそのうちの一つである。宮沢賢治はこの村に友人と数日滞在した後帰村したが、その後村に自作の童話(後に大幅に加筆修正を加えられ出版される)を寄贈した。
2.[宮沢賢治ゆかりの品]のブース
宮沢賢治直筆のメモや、忘れ物とされる『手帳』や『玩具』が収められている。
宮沢賢治の手帳
→とあるページを開いた状態で展示してある。インクに浸してしまったのだろうか、右端に黒い染みがついている。罫線にそって根子薙村で話を聞いた人の名前や、その内容を軽くメモしているようだった。
手帳をよく見る
→ページが破られた跡がある。
人の名前などを判読する場合は母国語
→ 左ページの下部に沢田八郎、十。と書いてあり、次のページに話の内容が書かれていると思われるが、該当のページは破り取られている。見開き右のページには、「しつぽを もらいうける。」と書いてある。
<立方体の箱の中でみたインクで汚れたメモとページの色や大きさが一致する>
玩具
→一部節が入った、くすんだ肉色の木の棒のようなものがガラスケースに納められている。宮沢賢治が泊まった宿屋の枕元に忘れていったものである。
30cmほどのこの棒が、手帳に記載のある「しつぽ」であると見られている。玩具として展示しているものの、実際の入手目的や使用用途については不明である。
3.[宮沢賢治からの寄贈品]
宮沢賢治が滞在中に思いついたという童話二作を、直筆の原稿にて村に寄贈したという旨が記載されている。
原稿のレプリカを自らめくって読み進める形式で展示されている。
①童話一作目
『注文の多い料理店』
ある2人の若い紳士が猟犬を連れて山に狩りに出掛けた。狩りがうまくいかず下山を決意した2人の前に、突然、立派な食事処が現れる。
腹をすかせた2人は食事処:山猫亭の中に足を踏み入れたのだった。
部屋に入ると「泥を落としてください」「鉄砲を置いてください」などの指示が現れ、2人は指示通りに行動していく。
しかし、3つ目である最後の指示で「衣服を脱いでこちらにくる」ように指示を受けた時、違和感に気づいた2人は、恐怖にガタガタと震えだす。
扉の向こうからは恐ろしい化け猫の鳴き声が聞こえ、もう助からないと思ったその時、一緒にいた猟犬がワンワンと大声を上げて扉を突き破る。すると、山猫亭はみぃごみぃごという鳴き声と千切れた尻尾を残して、雲のように消えてしまった。
安堵した2人の紳士であったが、あまりの恐怖で顔はくしゃくしゃになってしまい、2度とこの恐怖を忘れることはなかった。
②童話二作目
『どんぐりと山猫』
小学生の一郎は、ある日下手な文字で書かれた手紙を受け取った。
その手紙は山猫からで、面倒な裁判に出てもらえませんか、というお願いだった。
一郎は山猫のお願いを聞き入れ、どんぐりの裁判に出廷する。
赤いズボンを履いた金色のどんぐりたちが繰り広げる面倒な裁判を、見事おさめて見せた一郎は、お礼を山猫から受け取った。
山猫から「魚の頭と金のどんぐりのどちらをお礼に渡しましょうか」と問われ、一郎は「金のどんぐり」と答えると四角い升に入ったどんぐりを手に帰宅する。
帰宅途中、どんぐりからどんどん金色が消え、萎びて茶色になっていくのを見て、一郎は「魚の頭にしなくてよかったなぁ」と思いながら、思い出のどんぐりを母親に見せに行くのだった。
【鉱物館】
採掘場建設の話が持ち上がったときにできたが、結局鉱物の採掘が行われなかったために、宮沢賢治記念館に併設されることになった旨が、入口のパネルに書いてある。
鉱物館の裏手に採掘場が建設されかけたらしく、『展示室』内の窓から採掘に使用されるはずだった横穴が見える。
展示室
この土地で取れる鉱物や石がガラスケースに納められている。
パイライト
→ 様々な鉱山で産出されるありふれた鉱物ではあるが、硫酸の原料として使用されなくなってからは工業的価値が大きく下がった。加熱すると亜硫酸ガスが出るのと、硫黄を完全に除去するのが困難であるために、製鉄の材料としては適していない。
黄金色で金に似ていることから、愚者の金と呼ばれている。
その他
→パイライトに似ているが、成分が異なる石として『赤茶色の石』が展示されている。
工業的な価値がない上に、生物の油と反応して変色してしまうために、装飾品としての価値もないということが記載されている。
この鉱物について特定の名前の記載はない。
赤茶色の石
→赤茶色の石の一部分はわずかに金色が残っている。
【織葉大学農学部キャンパス分棟】
<織葉大学 理系の私立大学
近くの畑で接木や交配を行い、高地、寒地でより生産量の高い食物の生産を目的とする研究をしており、学生や教授が出入りしている。>
村で1番背の高い建物である。付近には、学生が授業か研究で使用しているのだろうか、ビニールハウスや畑がある。
今は周りにあまり人気がないが、ビニールハウス近くの『喫煙コーナー』で誰かがタバコを吸っているようだ。
また、建物の近くには、大学の『紹介パネル』がある。
紹介パネルに記載されている内容
→宮沢賢治の教え子が、この村の発展のために身分や経歴関係なく意見を交わせる場として作った学舎が元となり、この分棟ができあがった。今でもこの学舎からは多くの学者が輩出され、この村及び日本の農業に帰依している。
喫煙コーナー
→灰皿がわりの銀色の缶の横で、男が平たい石に腰掛けながら、うつらうつらとしている。
寝ぼけているのか、今にも灰が落ちそうなのにも関わらず、タバコを灰皿に向ける様子がない。
(男に声をかける)
→「っ!うゎわゎ、あっぶね。あ〜ありがとう!…ご、…ございます。すんません。ダチかと思って気ぃぬいてました。変な夢見て寝不足で、ボーッとしてたみたいですわ。声かけてくれてありがとうございました」
そう言ってタバコの火を消す。
(夢について聞く)
→「あー、いや、変な部屋に閉じ込められて、紙に書いてあることをしたら出られる、みたいな?もう続けて見てっから、なんかの深層心理なのかとかって気になって」
<深度は探索者と同じ&面識があるものは同じ箱に入れられるので、今までは違う箱に入っていたが次から一緒になる>
(自己紹介)
→ 「えーと、織葉大の2年の安井智弘(やすいともひろ)です。生物資源学専攻してるんすけど…。まあ、どうしたら安全な農産物を安定供給できるか研究してるって感じのやつですね」
【住宅や畑】
→たまにみる村人は老人が多いが、子どももちらほらいる。若い人は仕事や家事で今の時間帯はあまり外にでていないようだ。
わんわん!
とある犬が探索者に向かって吠える。
犬の手綱を引く小学生くらいの男の子がそれを嗜める。
小学生「こら!ゴン太!ごめんなさいにいちゃんたち…こら!どうしたんだ〜にいちゃんたち猫連れてないだろ〜?」
小学生「俺はたつろう!こっちはゴン太!あぁ、こらゴン太〜すみません!こんなに吠える子じゃないんですけど〜」
小学生「じいちゃんが言うには、山猫に会った人間には匂いが残ってて、反応して吠えちまうって!」
「にいちゃんたちー、俺宿題わかんないんだー。ここ、教えてよ〜。母ちゃんたちは自分で考えろって言うけど、正解わかんないんだ〜」
国語の宿題のプリント
Q. 一郎はなぜ、「魚の頭にしなくてよかったなぁ」と思いましたか。(30文字以内で書いてみましょう。)
(たつろうにお爺さんを紹介してもらうor宮沢賢治記念館から、沢田八郎の軌跡を辿り探す)
八郎「オラが沢田八郎だ。皆さんこんな田舎までよう来て下すったぃ」
(犬のこと)
八郎「犬は、この山に住む山猫様の匂いを嗅ぐと、警戒して吠えるんだ。…いやぁそういや懐かしいなぁ。宮沢先生にも昔おんなじこと教えたなぁ」
(宮沢賢治に話したこと)
八郎「オラが10歳の頃だった。両親が火の用心の当番だからって一人で寝なきゃいけねぇときに、寂しくてそん頃飼ってたポチを抱いて寝たんだ。そしたらその日、箱ん中に閉じ込められる恐ろしい夢さ見てな。でもポチが大声で吠えてくれたおかげで目が覚めたんだ。きっと悪夢は山猫様の悪戯で、ポチが追い払ってくれたでな。そん時にポチが山猫様から尻尾を食いちぎったようで、宮沢先生はオラの話を馬鹿にしなかったからその尻尾をお守りにあげたんだぁ」
(童話について)
八郎「宮沢先生がオラの話を聞いて童話をこさえてくださったんだろな。この村のもんはあれを読んで育つもんだから、猫より犬が好きなもんさ多ぐで、犬を飼っとるうちも多い」
(犬を住民から借りる場合、信用か説得が必要)
【?:建物名の記載がない】
【精神療養所】
今は使われていない施設らしく、建物と石碑のみが残っている。
石碑に彫られた言葉
→ ここは昔、この土地で精神を病む人が多かったためにできた療養所である。
ほとんどの人は、しばらくすると立ち直り、元の生活に戻ったものの、原因不明の本郷土病に罹患した患者のその処遇は当時は冷たいものだった。
しかし、宮沢賢治はここの患者の言葉にも耳を傾け、対話し、その言葉が紡ぐ世界を彼なりに童話に興してみせた。
患者やその家族を含めて村全体はその真摯な対応に大層感激し、宮沢賢治の行動が郷土病患者への風当たりが軟化する傾向の先駆けとなる。
この建物は現在は使用されていないものの、宮沢賢治の理想郷イーハトーブに、我が村が少しでも近づけるよう、あの頃のことを忘れないための記念碑として村人たちの意向により残されている。
建物
→扉には鍵がかかっている。
(鍵開けに成功or str10対抗成功で開く)
室内の描写
→閉鎖される前は記念館のように資料の展示が行われていたのか、展示物がそのまま残っている。
展示物
→宮沢賢治と患者が話している様子が写真や絵で描かれており、下記にその補足として以下の文章が書かれている。
[宮沢賢治と患者]
→猫憑きに罹患したものは、確かに神経衰弱及び、幻覚、幻聴などの精神的な疾患を生ずるが、その多くが回復後なんらかの才に目覚め功績を残している。しかし、1度精神的な病を生じた罹患者の唱える説や発明した手法には懐疑的な意見が多く、当初それらはなかなか村に浸透しなかった。
そんな中で農学に明るい宮沢賢治は、元罹患者の意見の整合性を唱え、加えて彼らに見えている世界について童話に書き興すなど、積極的に患者との意思疎通を図った。その姿勢は村人たちの心を動かし、宮沢賢治の来村以降、村では元猫憑き患者の意見も忌憚なく採用されるようになる。
この村の農業が絶えず発展を続けているのは、元罹患者たちのひらめきとそれを受け入れる村の風習を作り出した宮沢賢治、そしてその教え子が残した学舎のおかげである。
◆2日目:夜◆
あなたは探索の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源であるろうそくの温度から、また例の夢を見ているのだと確信する。
箱の中には、昨日はなかった『木箱』が置いてあった。
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
どうやら、内側から開けようとしても天井は開かないようだ。
引っ掻き傷の中に、文字のようなものが見えるが、『引っ掻いて書いた字』なので読みづらい。
引っ掻いて書いた字に母国語
→コワイコワイ イウコトキカナイトデラレナイ
立方体の箱の中をよく見る
→部屋の隅に紙の切れ端が落ちている。手帳のページを切り取ったものらしく、端がインクで汚れている。
(表) 綺麗な文字でこう書かれている。
「まことにありえぬ夢である。そしてなんともたヘがたくおそろしいことよ。あゝ再び注文をうけ、友は護身にと取りた銃を、ここに置く」
(裏) 綺麗な文字でこう書かれている。
「山猫といふものが、この村におり、夜ごと人を驚かせる。犬が山猫をはらふと、しようねんに伝えきく。ポチが山猫をおいはらつた証拠として」ここから先は次のページに書かれているようだが、該当するページは周囲には見当たらない。
<宮沢賢治記念館の手帳のページと色や大きさが一致する>
木箱
→立方体の中を多少圧迫するほどの大きさがある。木箱の蓋に紙が貼られている。
木箱の紙
→汚く丸い文字で「つぎ ぶき ここいれる ください」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が武器を手放す、そもそも持ってないという)
→ しばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
それに比例して探索者の意識も霞み、深い微睡に落ちようとしたところで突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「(しつれいする しました あなたぶき ない でした)また あした、さいごでも どうぞ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれる恐怖と、明日も何かあるかもしれないという危機感に襲われる。
そのまま探索者は意識を失った。
◆3日目:夜◆
あなたは探索の疲れも相まって早々に旅館の布団へと倒れこむ。
ここで聞き耳をどうぞ。
聞き耳
→村の誰かが飼っているのか、遠くでちらほらと犬の遠吠えが聞こえた気がした。
真夜中。熟睡していたはずの探索者は、ふと身体がひきつるような違和感に苛まれ、重たい目蓋を開くだろう。
宿屋の布団で寝ていたなのに、今は明らかに自分たちが寝ていた部屋ではない場所にいることに気がつく。
『天井』がとても低く狭苦しい、1辺1.5mほどしかない『立方体の箱の中』にいる。
半身を起こした状態で覚醒した探索者は光源であるろうそくの温度から、また例の夢を見ているのだと確信する。
箱の中には、昨日と同じように『木箱』が置いてあった。
服装
→寝ている時に身につけていたもの。
天井をよく見る
→ 天井の方には赤い引っかき傷のようなものが所狭しとついていた。
立方体の箱の中をよく見る
→部屋の隅に紙の切れ端が落ちている。手帳のページを切り取ったものらしく、端がインクで汚れている。
それには綺麗な文字でこう書いてあった。
「いちろうと おなじものを えらびなさい」
木箱
→立方体の中を多少圧迫するほどの大きさがある。木箱の蓋に紙が貼られている。
木箱の紙
→汚く丸い文字で「さいご ふく ここいれる ください したぎ そのままよい」と書いてある。
箱の外に聞き耳
→虫の羽音が聞こえるが、やけに大きい。
(探索者が服を脱ぐ)
→ しばらくすると、ろうそくの火が少しずつ弱くなっていく。
突然、がば、と箱の蓋が開き、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「ふく ぬぐ ありがとうます たのみある これ よろしくするねがいします」
このまま首をねじ切られてもおかしくない程の力で首を掴まれ、箱の中から出された探索者たちの目の前には白い皿の上に数個乗ったたくさんの金色の立方体と、何も入っていない銀色の皿がある。
皿は中空に浮いており、それを支えるテーブルも糸も見当たらない。
また、あなたをつかんで箱から出した存在も見えない。ただ、暗闇の中ありえない大きさの羽音がする。
SANc0/1
暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「さら なかみ はんたい うつすやる てで おねがいする ます ひとつずつ」
(嫌がる)
「なかみ うつす おれいする わたしあなた なかみ うつすしない かえるできない あなた」
(金の塊を別の皿に移す)
→あなたが触れると、金色の物質は触れたところからみるみる赤茶けていき、マダラ模様になる。
(全ての塊を皿に移す)
→ 暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「わたし ありがとうですございます あなたに おれいする さかなのあたま きん どちら ほしいあなた」
(金のどんぐりを選ぶ)
→「わかるした わたしあなた かえるする ます」
突然、ぐっ、と強く何者かにうなじを掴まれた。
それと同時に探索者の意識も霞み、睡魔に犯されまぶたが閉じた暗闇の中、ギチギチと気持ちの悪い発音で声が響く。
「しつれいする しました ありがとうする しました さよならです」
そのまま探索者は意識を失った。
❤︎【ED1:安井と共に金のどんぐりを選び生還】
はっと目を覚ますと、あなたは下着姿で布団に寝ていた。
枕元には畳んだ衣服と、(武器として箱に入れたもの)そして、握り拳大の金色の塊がある。
自分の服装、金色の塊の存在。
様々なものが昨日の出来事が夢ではないことを物語っている。
あなたが村を出る時、バス停には、ちょうど安井も次のバスを待っているところでした。
安井「その節はどうもっす。いや…まさかとは思ったんすけど、不思議なことってあるもんなんすねぇ。その節はありがとうございました」
あなた方は同じバスに乗り、不思議な村を後にする。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
❤︎【ED2:安井と出会わず金のどんぐりを選び生還】
はっと目を覚ますと、あなたは下着姿で布団に寝ていた。
枕元には畳んだ衣服と、(武器として箱に入れたもの)そして、握り拳大の金色の塊がある。
自分の服装、金色の塊の存在。
様々なものが昨日の出来事が夢ではないことを物語っている。
あなたが村を出る時、バス停には、救急車が止まっていた。
ちらりと横目に見ると、若い男性が「みぃごみぃご」と猫のように鳴きながら、遠くの空を指している。
経緯の詳細は不明であるが、一歩間違えば、自分もああなっていたのかもしれないと、あなたはゾッとするだろう。
あなた方はバスに乗り、不思議な村を後にする。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたらいずれ、救急車に運ばれたあの若者のように物語が狂気の渦に飲まれることが、あるのかもしれない。
︎❤︎【ED3:犬と一緒に眠るを3日目夜まで繰り返して生還】
(犬と一緒に布団に入ると、犬は大きな声で天井に向かって吠え始める)
突然犬が、天井に向かって吠えながら突進した。
箱がぐらりと揺れたかと思うと、あなた方は突然暗闇の中に放り出される。
わうわぅ!!!とてつもなく凶悪な唸り声を上げて、何かに犬が飛びかかるのがわかる。
ぶちり、と嫌な音と、何かのしぶきが辺りに散らばった。
そのまま探索者は意識を失った。
はっと目を覚ますと、あなたは布団に寝ていた。
枕元には犬がくぅくぅと寝息を立てている。
一瞬昨夜の出来事はただの夢かと思ったが、犬の口に咥えられたものを見て、昨日の出来事が夢ではないことを確信した。
何かの腕だ。
先にカニのようなハサミのついたそれは、くすんだ肉色の節足に間違いなかった。
辺りには、海産物の腐ったような、濃い死の匂いが立ち込めている。おおよそあなたの知っている生き物の足ではない。
SANc1/1d2
犬は徐に目を覚まし、くぅん、とひと声鳴いた後、その腕を持って外へと出て行った。
次に戻ったときには、もう節足を咥えてはいなかった。
件の文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたらいずれ暗闇の中で、犬のように果敢に狂気の足を食いちぎるような場面もあるのかもしれない。
バスを乗り継ぎ、元の世界へと帰ったあなたは、少なくとももう、箱の中で下手な日本語で指示をされるようなことはなくなった。
❤︎【ED4:魚の頭を選んで生還】
次の瞬間、あなたの頭の中には、膨大な量の知識の奔流が迸っていた。
知らないはずのことを知っている。
知ってはいけないことを知っている。
うみにいる。うみにいる。うみにいる!!
あなたの脳の隙間に埋め込まれた何かの頭が、過剰にあなたに何かを注ぎ込む。
SAN減少10+1d10
クトゥルフ神話技能+20
あなたは、何食わぬ顔でこの村を出ることができるだろうか。できたとして、以前のあなたと変わらぬ存在でいられるだろうか。
あの文豪が訪れた村、いや、夢すらもすっかりなぞったあなたが、今後どのような物語を歩んでいくのか。
それは、あなたにもまだわからない。
もしかしたら、あなたの物語はもう、狂気の渦中に潰されたのかもしれない。
[報酬]
生還2d6
金(パイライトの塊)をもらった1d4
犬と一緒に寝た1d4
安井が正気のまま村を出た1d6
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