Bステップス
【CoCシナリオ】Bステップス
「縄梯子は上へと続いていく。落ちたくなければ、登るしかない」
シナリオ:Bステップス(サーティーンステップス)
推奨人数:1人〜
ロスト:あり
ロスト救済:あり
推奨技能:目星
時間:短め
※ロスト探索者がこのシナリオから生還した場合、生命は復活する。
しかし、SANは復活しない上に、クリア時のSANがSAN値上限となる。
※地の文が打ってあるので、改変などが不必要な場合は、本文をコピペしてそのままお使いください。
[chapter:INTRO]
気がついたら縄ばしごに捕まった状態で見知らぬ大きな円柱…いや、筒の中に、君はいた。
足元に縄は残っていない。登ることしかできないようだ。
…………………ところで、別に関係のない話ではあるのだが。
「13階段」
それが一体何を意味するのか、君は知っているだろうか。
[chapter:ネタバレのない前書き]
Bと書いて「サーティーン」と読むのが正式ですが、「ビー」と呼んでも差し支えありません。
このシナリオは、HPが0になって死亡した探索者(SANは死亡時の)と現在生きている探索者が共に探索可能です。
KPとPLが望めばシナリオクリアで生還できますが、蘇生探索者はSAN上限が生じることになるので気をつけてください。
次からネタバレが入ります。
[newpage]
<ここからネタバレが入ります>
<キーパーへの補足は< >で括ってあります>
<このシナリオで大事なことは、信じることです>
[chapter:【導入:縄を掴む腕】]
ガクン、と足が落ちる感覚。
反射的に力を込めた手。
寝ていたのか気絶していたのか、ともかく突然あなたの意識は覚醒した。
あなたは、今、壁に沿って垂らされた縄梯子に捕まっている。
両手は縄をしっかりと掴んでいるが、片足は力なく空を切った。
ヒュウ、と足元から風が上った。
思わず肩の力が入る。
嫌な予感に目を瞬かせてそっと足元を見る。そこには縄梯子の千切れた末端と、その先にある深い深い穴があった。
上を見ると霧なのか雲なのか、何か靄が視界を遮っていて先が見えない。
しかし、見えないほど先が続いていると解釈して良さそうだ。
大きな円柱の中。
管状になっているその中腹に、縄梯子1つに命を預けた状態で、あなたはそこにいた。
この世界にあなたを繋ぎとめているのは、たった一本のこの縄梯子だ。
すぐそばの死の気配に、あなたは追い詰められて恐怖する。SANc0/1d2。
<大きな円筒の中をくりぬいたような空間の壁に探索者たちはいます。探索者が複数の場合、お互いに手が届かない位置です。上を見ても下を見ても先が見えず、まだまだ続いています>
------
足元
→これ以上下るのは縄梯子がないから無理だろう。また、少し下方には円柱の内側の壁沿いにぐるりと一周線が描いてあるのが見てわかる。何かの境目だろうか。
<0(ゼロ)の暗示です。この後、探索者は上へ登るごとに1、2、3…と段階を踏んでいくことになります>
上をよく見る(もしくは目星)
→上の方は靄でよく見えないが、少し登った先、縄梯子の近くに何かあるようだった。
[chapter:1【電子の子】]
<縄ばしごは降りたり登ったり自由です。一度探索をし逃したとしても、また戻ってこれます>
【電子の子】
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁にブラウン管テレビの画面のようなものが埋め込まれていた。
すぐ隣には「1.このしんで」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
<今後似たようなものがたくさん現れますが、全てそれぞれの手の近くに1つずつあります>
彫られている文字
「スイッチを入れれば現れる、その子は祖父にセイメイを逆行させられし者。しかし、この子の言葉はあなたに逆らうためのものではない。思ったことを偽りなく、この子は教えてくれるだろう……そう、教えられたのだから」
スイッチを入れると、ブーンと古めかしい機械音がなり、画面の中に一本の線が現れる。
?「Hello,pa-pa(ハロー、パーパ)」
ブラウン管から溢れた、幼くも機械的でアンバランスな音に合わせ、線は大きく揺れる。
e「私はevil(イービル)。お爺様にはそう呼ばれているわ。悪い子だから此処にいるの。だからpa-paが会いにきてくれて嬉しいわ。pa-paの為のお話、沢山考えておいたの。聞いてくれる?Please,pa-pa」
pa-paの為のお話を聞く
e「順番は忘れてしまったの。だから気をつけてねpa-pa。『ここは1階よ。上に登ると13階まであるの。13階にはお爺様がいるわ。私はpa-paをお爺様の元に案内する為に此処に居るみたい。お爺様、pa-paのことが大好きだから』『まず1つ目、嘘をついてはダメよpa-pa。童話でも嘘つき狼は痛い目に遭うの』『そして2つ目。気になったのなら覗いてpa-pa。そして聞くの。何か手に入れたいのなら、手を伸ばしてみて』『3つ目だけれど、蟲は罪の香りに群がるわpa-pa。人は罪を犯さずに生きられないから格好の餌。気をつけてねpa-pa。pa-paより罪が重いものは、もう罪の果実そのものしかないわ』『そして最後4つ目。お爺様のお部屋の鍵は空にあるわ。空に手を伸ばせば降ってくるの。忘れないでねpa-pa』」
<重要なことをたくさん言っています。探索者が詰まったら、アイデアなどで思い出させたりして下さい>
質問する
e「私が答えられる質問はひとつだけ。そのonly oneはそれでいいの?pa-pa?」
<evilは謎解きの答え以外ならばなんでもひとつ教えてくれます。探索者の絶対的な味方です>
生きて帰る方法を聞く
e「…私はpa-paの味方よ。だから言うの。幸せになりたいなら上へ、此処から抜け出したいなら下へ。もっと違うところに行きたいのなら…」
ここでバチバチとブラウン管に電流がほとばしる。
e「Sorry pa-pa。お爺様が、駄目だって。私、お爺様にとっても、pa-paにとっても、悪い子ね」
< KPやシナリオにとって都合が悪そうなことを聞かれたら、上記のように、妨害が入った形にして途中で切って下さい>
※<「電子の子(でんしのこ)が逆から表記されていること」「セイメイ(生命、姓名)を逆行させられしもの」などのヒントから、後々evil(悪)の名前が実はlive(生きる、存在する)だったという謎解きに繋がります。この謎は初見時はわからなくていいです>
[chapter:--以下、 evilの名前の謎を解いた後--]
(evilのことをliveと呼ぶ。liveが実の名だと言う)
e→l「live……live!!あぁ!あぁ…pa-pa!!私…私、悪い子じゃ…ないのね?pa-pa、私は、居てもいい子だったのね?」
感極まるように震えた機械音に呼応して、画面に映し出された線も不規則に波を起こす。
バチバチバチ!
まるでそれをたしなめるように、 ブラウン管に電気が走る。
l「ごめんなさいpa-pa。私はやっぱり悪い子みたい。悪い子だから、pa-paをお爺様に取られるのが嫌になってしまったの」
画面に砂嵐が混ざり、波のような音が無理にliveの声を飲み込んでいく。
l「闇の中でも、いつかきっと光は現れるのpa-pa。私の目の前に、pa-paが来てくれたように。ねぇpa-pa、闇の前で光を待って。その光は、きっとpa-paの腕を掴んで、こんなところから助け出してくれるわ。その時は、この世界を手放して、その光を、腕を、そして、私を信じて!pa-pa!!!!!」
そうliveが叫んだ瞬間、ブラウン管はバリバリと嫌な音をたて、光を放った。
眩しさに一瞬瞼を閉じたあなた。
目を開ければ見えてしまうだろう。
真っ黒焦げになり、最早何も映さなくなったボロボロのブラウン管が。
<これ以降liveと話はできず、力も借りれません。『闇の前で光を待って〜』、というのは、後述する10【音の門】に腕を入れた状態で縄梯子から手を離すことを言っています。探索者に生存のヒントを与えすぎた evilは、この瞬間黒幕の手により下界に落とされてしまいました>
[chapter:2【誰かの子】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「2.誰かの子」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「神の手によって作られたのだから人は神の子であり、人の手によって作られたのだから機械はきっと人の子だ。君だってきっと誰かの子で、誰かの親だ」
穴を覗く
→穴を覗くとそこには、あなたの中にある暖かくまろい記憶が広がっていた。幼少期、少年期、そして青春。誰かに愛され、誰かを愛した。そんな、記憶が走馬灯のように目の前をかけていく。
穴に手を入れる
→誰かの頭のようなものが手に触れる。撫でると、嬉しそうにあなたの手に頬をすり寄せる。
慌てて穴の中を覗いても、そのような子どもや生き物が近くにいる様子はない。
[chapter:3【真実の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「3.真実の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「ここに手を入れれば君は真実しか言えなくなる。しかし心せよ。それは本当に"君の望んだ"真実か?」
穴を覗く
→紫色の空間が広がっている以外何もない。
穴に手を入れる(無言orその状態で事実しか言わない)
→何も起きない。
穴に手を入れる(その状態で嘘を言う)
→変化は確かに、そして当たり前のように静かにやってきた。
<穴に手を入れたまま言ったことは真実になります。たとえ嘘でもです。ここで下手に嘘ついて自分は"生きている"などというと、リビングデッドになってしまいます。これは生存状態で参加した探索者も同じです>
<例:「自分は医者だと嘘をつく」一番高い職業技能が拳銃80だった場合、医学80を手に入れ、拳銃が初期値に戻る>
<※穴に手を入れたまま正しいことを言い直せば、おかしくなってしまった事象も直せます。 KPやシナリオにとって不利なことが起きないよう、真実は曲解して事象化していくことをお勧めします>
[chapter:4【記憶の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に手のひら程大きさの蓋があった。その蓋には紫色の南京錠がかけられている。
すぐ隣には「4.記憶の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られていた。
彫られている文字
「神は愛したものを天へと召しあげる。そして、君はその神に愛されて此処に来た」
<9【贖罪の扉】で手に入る紫色の鍵がないと開きません。以降は鍵を手に入れて、蓋を外した際の描写です>
【9【贖罪の扉】の紫色の鍵を使う】
贖罪の扉で手に入れた紫色の鍵を使うと、蓋はパカリと開いた。そこには腕が一本通るかどうかくらいの穴があった。
穴を覗く
→ドッと身体に衝撃が走る。いや、それはただの錯覚だ。しかし、それだけの衝撃があった。あなたの目の前で、あなたは死んでいる。そうだ、あなたは死んだのだ。あなたは死んだからここに来た。
冷たくなる身体。
死の痛み。
あなたは、自らの死を再び体験する。
SANc1/1d4。
穴に手を入れる
→何かがうやうやしくあなたの手を取った。そして、あなたの手の甲にキスを送る。
そうすると、鈴のような声が聞こえてくる。「父はあなた達を人と名付け、人は父と自らの間にある空っぽの空間に"空(ソラ)"と名付けた。さあ、呼んであげて。そうすればあの空間は空になり、あなたは父のもとに向かう鍵を手に入れられる」
<ここで言及されているのは白い鍵です。物語のエンドを分ける重要物となるので、できるだけ探索者に取得させてください(難易度を下げる場合、鍵を無理に取らせなくても構いません)>
[chapter:5【偽りの穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「5.偽りの穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「この穴から見える景色は全て正しい。君は五体満足でこうしてピンピンしているし、世界は平和で誰もが笑顔だ」
<ここにきた探索者たちは全員死んでいる、もしくは死の淵を彷徨っている状態です。掘られている文字から早速嘘です>
穴を覗く
→覗いた先に青く広い空間が広がるばかりだ。遠くで何かが見えた気もする。
穴に目星
→遠くでひゅっと、何かが落ちていくのが見えた。いや、何か、じゃない。
誰か、だ。
足をバタつかせ何かをつかもうと手をやたらめったらに動かす誰か。
こちらを振り返ったその顔を見てゾッとした。
紛れも無く自分だ。
一瞬視線がバチリと合ったかと思えば、その人は先の見えない底へと落ちて行った。
何かに、引っ張られるように。
そんな恐ろしい光景が、探索者の先を予感させる。SANc1/1d2
<探索者の死因がなんであれ、この描写です>
[chapter:6【愛欲の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「6.愛欲の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「君は何を抱き、何を食(は)んだ。それは罪だ。そして知識だ。その愛の結晶である君たちの子は、神に少し嫌われているらしい」
穴を覗く
→あなたが生前熱を上げたものがそこにある。それは仕事かもしれないし、趣味かもしれないし、はたまた人であるかもしれない。
穴に手を入れる
→手を伸ばすと、温いぬかるみに手を突っ込んでいる感覚があり、手に熱いものが触れた。それを掴んで取り出すと、あなたの手の中には林檎があった。
林檎に知識/アイデア(リアルアイデア、evilへの質問での回答可能)
→林檎は聖書で罪の果実(または禁断の果実)と呼ばれていたことをあなたは知っている。
[chapter:7【懺悔の扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「7.懺悔の扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「汝の罪を告白せよ。さすれば相応の対価が支払われるだろう」
扉を開けて中を覗く
→懺悔室にあるような小窓が穴の奥に見える。その小窓を見た瞬間、
「汝、罪を告白せよ」と声が聞こえる。
扉の中に目星
→小窓の奥で何かが動いている。押せば小窓は開くようで、手を入れようと思えば入れられそうだとわかる。
扉の中に手を入れる
→あなたの手のひらに、誰かの指先が当たる。それは、あなたの手のひらに十字を書いた。
<ただの祈りです。なんの効力もありません。敵意のなさ、もしもの時助けを請えるかもしれないと言う印象を探索者に抱いてもらって下さい。詰みそうな時はこの祈りの主(極めて中立)からヒントを出してあげてください>
----------
罪を告白する
→悲しませたこと、怒らせたこと、傷つけたこと、壊したこと。思い思いの心情と罪をあなたは吐露する。
しばらくすると扉の向こうの声は静かに語り始めた。
「天に在(お)わしめします我らが父は、あなたの罪をきっとお許しでしょう。父は子を愛するものです。……ところであなた方が愛した電子の子の名前を考えたことがあるでしょうか。あの子は我らが父に逆さまの称号を与えられし者。実の名を呼んで差し上げなさい。きっと喜ぶでしょう。あの子は逆さまに名乗るあまり、自分の名を失っているでしょうから」
< evilがliveだとここでわかります。この時点で evilの元に戻りたいと言われたらOKしてください。縄梯子は好きに登り降りできます><※ evilの真実の名前を呼ぶ描写は1【電子の子】の項目の最後に書かれています>
[chapter:8【呪いの扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「8.呪いの扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「蟲は腐る寸前の果実に群がるように君の腕を啜るだろう。手を入れない方が賢明だ」
扉を開けて中を覗く
→ギョロリ、と何かがあなたの方を向く。穴の向こうには広い空間があるらしく、その何かが何匹、何十匹と巨体を揺らし漂っている。
正直暗くてよくわからない。これが蟲と呼ばれるものだろうか。
いや、こんなの、蟲というよりも化け物だ。
キチキチキチキチと鳴らされた化け物の牙に、背筋が思わずゾッとするSANc1/1d4
<このシナリオの黒幕の従者たちです。暗くてよく見えない+見たことのない化け物であるため、ここでは蟲と称されます>
扉を開けた状態で目星
→漂う化け物どもよりもかすかに手前。
肩いっぱいまで腕を入れれば届きそうなところに、何かがある。
扉に向かって聞き耳
→キチキチキチキチ。
ギャリギャリギャリ。
と、なんとも不穏な音が響く。
扉の中に手を入れる(林檎なし)
→物凄い勢いの風を感じ、あなたの脊椎は反射的にあなたの腕を引っ込めさせた。
ガチン!!!
と、鋭い刃が噛み合ったような音がした後、気配は穴から遠のいていく。
一瞬でも遅かったらここに腕はくっついていないだろう。SANc0/1
扉の中に手を入れる(林檎あり)
→林檎は早々にあなたの手からかすめとられた。
火に集(たか)る蛾のように、その紅い罪に蟲と呼ばれた化け物が群がっていくのが、気配でわかる。
あなたは指先に乾いた感触を感じて腕を引く。
それは、くしゃくしゃに丸められた紙だった。
< evilの言う罪の果実は林檎でした。罪に群がる蟲たちは、より罪が重いとみなした林檎に群がり、その一瞬の隙で探索者は紙を手に入れることができるようになっています>
紙
「俺たちは3人でここに来た。俺は運良く紙とペンがあった。だから1人ここに残った。書き置きをするために。1人は下を見て来ると言ったきり戻らない。もう1人は上からなら引き上げられるかもしれないと言って頂上まで登ってそれ以来だ。もう腕が震えてきた。俺もじきに、下を見て来ると言った奴と同じところに行くのだろう。あいつが下に降りてしばらくしてから聞こえてきたあの叫び声と、同じ声を上げるのだろう。そんな風になるくらいなら、一瞬で終われるのなら、俺は、喰われた方が、ましだ。……でも、本当に。本当に?ないのか?ここから、出る方法が、ほかに」
<最上階や最下層(落下)が最善策でないことを仄めかしています>
[chapter:9【贖罪の扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり、それに扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「9.贖罪の扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「罪は君の腕の中にある。そしてこの子たちはそれが毒だとわかっていても、啄まずにはいられない。鳥は君が殺した数だけいる。痛みに耐えよ。そうすれば上に行けるのだ」
<贖罪(しょくざい)の扉の向こうには探索者が殺した人の数+1羽の鳥がいます。+1の鳥は自分自身をカウントしています>
扉を開けて中を覗く
→中は薄暗い洞穴になっている。あなたが殺した人の数だけ小鳥がいるらしいが、いったい何匹いるだろうか数えてごらん。
扉の中に目星
→鳥の奥に鍵があるのが見えるが、手を伸ばしても届きそうにない。
扉に向かって聞き耳
→ちゅんちゅん、と可愛らしい鳴き声が聞こえる。
扉の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、刺すような痛みがあなたの腕を襲う。
あなたの腕を鳥が突き、傷を抉り、血をすすっているのがわかる。
あまりの痛みにあなたは縄梯子を握る手も震えてくるはずだ。HP-1
暫くすると、痛みは止んだ。
鳥が啄むのをやめたのだ。
安心して腕を引いたあなたの息は、一瞬止まってしまうかもしれない。
鳥が、死んでいる。
あなたの罪を、毒と知りながら啄ばんだ鳥は皆死んでしまった。
鍵は、いつのまにか手の届くところにある。
手を伸ばせば先ほどまで暖かかったはずの羽毛に腕があたり、鳥肌が立つ。SANc0 /1
あなたが手に入れたのは、紫色の石の鍵だ。
<この鍵で4【記憶の穴】の蓋が外れます>
[chapter:10【音の門】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「10.音の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「私には聞こえる。我らが父が在わしめす、母なる海のさざめきが。父がそう望んだのだから。君は何に望まれ、何が聞こえるだろうか」
門の中を覗く
→真っ暗で何も見えない。一瞬何かがチカッとした気もしたが、それが何かはわからない。
そして、穴を覗くとあなたの名前を呼ぶ声が聞こえた。
門に聞き耳
→あなたを呼ぶ声の後ろで、波のような、人々の雑踏のような、そんな音がくぐもって聞こえる気がする。
門の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、ひたりと何かに腕を掴まれる。
それは物凄い力とものすごい勢いで、その小さい穴に引きずり込むようにあなたを引っ張り込む。
思わず離しかけた縄梯子をぎゅっと握る。
力尽くであなたが腕を取り戻したとき、その腕にはびっしりと手形が付いていることだろう。
次に手を入れたら引きずり込まれてしまうかもしれない。あなたの心臓は何かに掴まれたように縮み上がる。
SANc0/1
<この門がハッピーエンドとなる脱出ルートになります。エンド分岐については次ページから>
[chapter:11【風の門】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「11.風の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「風がやめば船は止まり、風が強まれば船は壊れる。船にとっての風とは、人にとっての罪のようなものだ。ありすぎても困るが、無くては生きる意味がない」
門の中を覗く
→突如突風が吹き荒れる。
危うく梯子から振り落とされるところだった。
それほど強い風だ。
[chapter:12【カラノモン】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「12.カラノモン」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「ここは父と子の境目。その空っぽな空間。ここには本当は、何もない」
門の中を覗く
→何もない。色もうまく認識できない。ただ、無がそこにある。
門に聞き耳
→なんの音も聞こえない。
門の中に手を入れる
→その空間には何もない。あなたの手は空(くう)を切る。
<4【記憶の穴】で言及された空(ソラ)と名付けることで受け取れる鍵は、ここで入手します。この穴に向かって、もしくはこの階で「ソラ」(もしくは空(ソラ)の門)と言って穴に手を入れれば白い鍵が手に入ります>
------------
(空(ソラ)と呼んだあと)
門の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、ヒュンと何かが落ちる音がし、ピタとあなたの手のひらにそれが吸いつく。
取り出してみると、それは白い石でできた鍵だ。
<13【天国の門】で使える鍵です>
[chapter:13【天国の門】]
あなたはとうとう自分が閉じ込められている円柱の最上部へと達した。
管状になっていたそれの先端は、どうやら蓋をするように塞がれている。
そして、その蓋のような天井全体が大きな扉なのだ。
扉に対しては小さい鍵穴が、あなたの手元にある。
鍵を入れれば、扉は自動的に開くのだろうという予感があった。
天井付近の壁には「13.天国の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
<縄梯子はどういうわけか、その扉の向こうに透けるように伸びています。天井の扉の開閉で揺れたり切れたりしないということが伝わればOKです>
彫られている文字
「よく来た我が子らよ。罪にまみれた孫は少なくともきちんと仕事をしたようだ。いきなり呼びつけてすまないね。それほど君を愛していたのだ。さあ、鍵を持ってこの戸を開けよ。そうすれば、私たちはもうずっと一緒だ。さあ!」
<罪にまみれた孫=live(evil)です。黒幕は探索者の魂に惹かれるがあまりにこの事象を起こしました。苦労して手に入れた白い鍵ですが、これを使うにはあまりにも不穏な言葉が綴られています>
[chapter:【エンド分岐(描写は次ページ以降)】]
10【音の門】に腕を入れ、縄梯子から手を放す
→次ページ
13【天国の門】で白い鍵を使う
→2ページ後(前半)
縄梯子から手を離し、落ちることを選ぶ
→2ページ後(後半)
[newpage]
[chapter:10【音の門】に腕を入れ、縄梯子から手を放す]
10【音の門】に腕を入れて、縄梯子から手を離す
→あなたが手を入れた瞬間、ひたりと何かに腕を掴まれる。
それは物凄い力とものすごい勢いで、その小さい穴に引きずり込むようにあなたを引っ張った。
あなたはそれに逆らわず、この世界とあなたを繋ぎとめていた縄梯子から手を離す。
ぐんっと、ものすごい勢いで音の門へと引き寄せられたあなたの体は、壁に自然と叩きつけられる形となり、鈍い痛みが骨を軋ませる。
しかし、そんなことお構い無しに、落ちることもできないくらい強い力で、何かはあなたの腕を門の中へと引きずり込む。
バキン、
と、門の装飾があなたの体に押されて割れる。
その瞬間、門に縁取られていた穴はみるみる広がり、あなたは闇の中へと誘われた。
無理に狭い穴を通った際、後頭部を強くぶつけたあなたは、そのまま意識を失った。
(以降エンディング)
-生還【エピローグ】-
「……っ!!…………!!」
あなたの名前を何度も呼ぶ声で目が覚める。
「!先生!患者さん気がつきました!」
背中には柔らかい感触。
目の前には白い天井。
どうやら自分は病院にいるらしかった。
手を強く握られている。
自分を引いてくれた手は、この手だったのか。
その暖かさにホッと息をつく。
自分はもう少し、この世界に居てもいいらしい。
----------
「あなたはね、海辺の崖下に打ち上げられていたところを通りすがりの人が見つけて、それで運び込まれて来たんですよ」
再び意識が戻り、精密検査を受けながら医者から説明を受ける。
「あんなに濡れていたのに、あなたの携帯は無事だったらしくて、何かのアラームか着信か…ともかくその音のおかげで気づけたらしいですよ。いや〜運が良かったですね。あんなところ、普通人は通りませんから」
はいどうぞ、と携帯を渡され、「それではお昼が終わった頃にまた来ます」と医者がその場から離れる。
自分の命を救った誰かを、もしくは偶然かけていたアラームを確認するために、あなたはその携帯を起動する。
電源をつけて、ロック画面が現れる少し前の暗闇の向こう。
一筋の光が、紡がれる音ともに波打つ。
「Hello,pa-pa.また会えて嬉しいわ」
君は、救われたのだ。
君が救った、その子に。
ED.Hello,pa-pa.
<先に下界に落とされていたliveが、探索者の携帯を鳴らしたことで死の淵を彷徨う探索者が病院に運ばれ一命を取り留めるエンドです。トゥルーエンド。もしかしたら、今後その探索者のsili的な何かとしてliveが宿り続けるかも>
[newpage]
[chapter:13【天国の門】で白い鍵を使う]
鍵を使って13【天国の門】を開ける
→白い鍵を鍵穴に入れてまわすと、カチリと軽い音が鳴った後、ギギギと思い天井が、扉としてあなたを迎え入れるために口を開けた。
「さあ、歓迎しよう。愛し子よ」
大きな力の奔流に抱きしめられた心地がして、あなたはそっと目を閉じた。
ジワリと滲む暖かさと多幸感は、ぬかるみに落ちた果実のようなあなたを、しっとりと包み込んで行き、いつしかあなたは天と地と、自と他の境すら失くし、
神の世界に、溶けていった。
ED.十三階段(thirteen steps)
<今回の黒幕に天の国へと招かれ、そのまま存在をそこにとらわれることになります。きっとそこで幸せになれるでしょう。ロストハッピーエンドです。普通に生き返って今後辛い目にあうより数倍ハッピー>
[chapter:縄梯子から手を離し、落ちることを選ぶ]
0【hole】
縄梯子から手を離す
→あなたは縄梯子から手を離す。このままいるより死を選んだのか、それとも現状を打破する希望を両手で掴むためだったのか。あなたの身体は宙に投げ出され深い深い穴の中に落ちて、落ちて、落ち続けた。
落ちる。
まだ落ちる。
息もできないほどに肺を押しつぶされ続けるあなたは、恐ろしいことに気がついてしまった。
何度もなんども、視界の端を、同じ景色が通り過ぎていく。
円柱の壁、ぐるりと縁を描くようになぞられた一線。それが何度もなんども、視界の端をチラつく。
あなたは、永遠に落ち続けることを覚悟した。
きっともう死ぬことも、生きることもできない。
ED:step off
<下に落ち続ける。つまり生きて帰ることも死ぬこともできず、永遠に苦しみ続けます。バッドエンドです>
次ページに報酬と背景→
[newpage]
[chapter:【報酬】]
【生還報酬】
SAN回復
1d6
[chapter:【背景】]
黒幕はノーデンスです。
海を仄めかす描写がちらほらあったのもそのせいでした。
探索者のひととなりか、才能か、はたまた危篤な人生か。
ともかく何故かノーデンスに好かれてしまった探索者たちは各々様々な形で運命を捻じ曲げられて、死者も生者もこの試練(今回のシナリオ)を受けることになってしまいました。
自らの意思で罪を濯ぎ上を目指す、一種の儀式めいたこれらの行為は、完遂してしまうと、晴れてノーデンスの寵愛の元に下ることになります。上に行けば行くほど、俗世から離れて行くと考えて下さい。
もっとも俗世に近かった存在であるlive(evil)が、探索者に抜け道を教えることで、探索者は元の世界に戻ることができます。ノーデンスはなんとしても探索者を近くに置きたいので、そもそも帰す用意はしておらず、下に降り(落ち)ても元の世界に戻れません。
今回、探索者は鍵を2つ手にいれることができますが、この2つの鍵はなんとどちらもノーデンスに至る、つまりロストに至る鍵でした。自分が死ぬための準備をしていたようなものです。少しゾッとしませんか。気づいた探索者にSANcを入れてもいいと思います。
※タイトルについて
段差という意味のstepと、段階などといった意味のstep、そして13階段(絞首台を仄めかしたりします)をかけてこのタイトルになりましたが、実際の階段はあまりstep呼びしないと思うので、気をつけて下さい。
その他わからないことなどありましたら、質問も受け付けますし、ご自由に改変してくださっても構いません。ここまで読んでいただきありがとうございました。
次ページに資料(ご自由にどうぞ)→
[newpage]
[chapter:【資料】]
(各階層一覧)
13【天国の門】
12【空の門】
11【風の門】
10【音の門】
9【贖罪の扉】
8【呪いの扉】
7【懺悔の扉】
6【愛欲の穴】
5【偽りの穴】
4【記憶の穴】
3【真実の穴】
2【誰かの子】
1【電子の子】
0【hole】
「縄梯子は上へと続いていく。落ちたくなければ、登るしかない」
シナリオ:Bステップス(サーティーンステップス)
推奨人数:1人〜
ロスト:あり
ロスト救済:あり
推奨技能:目星
時間:短め
※ロスト探索者がこのシナリオから生還した場合、生命は復活する。
しかし、SANは復活しない上に、クリア時のSANがSAN値上限となる。
※地の文が打ってあるので、改変などが不必要な場合は、本文をコピペしてそのままお使いください。
[chapter:INTRO]
気がついたら縄ばしごに捕まった状態で見知らぬ大きな円柱…いや、筒の中に、君はいた。
足元に縄は残っていない。登ることしかできないようだ。
…………………ところで、別に関係のない話ではあるのだが。
「13階段」
それが一体何を意味するのか、君は知っているだろうか。
[chapter:ネタバレのない前書き]
Bと書いて「サーティーン」と読むのが正式ですが、「ビー」と呼んでも差し支えありません。
このシナリオは、HPが0になって死亡した探索者(SANは死亡時の)と現在生きている探索者が共に探索可能です。
KPとPLが望めばシナリオクリアで生還できますが、蘇生探索者はSAN上限が生じることになるので気をつけてください。
次からネタバレが入ります。
[newpage]
<ここからネタバレが入ります>
<キーパーへの補足は< >で括ってあります>
<このシナリオで大事なことは、信じることです>
[chapter:【導入:縄を掴む腕】]
ガクン、と足が落ちる感覚。
反射的に力を込めた手。
寝ていたのか気絶していたのか、ともかく突然あなたの意識は覚醒した。
あなたは、今、壁に沿って垂らされた縄梯子に捕まっている。
両手は縄をしっかりと掴んでいるが、片足は力なく空を切った。
ヒュウ、と足元から風が上った。
思わず肩の力が入る。
嫌な予感に目を瞬かせてそっと足元を見る。そこには縄梯子の千切れた末端と、その先にある深い深い穴があった。
上を見ると霧なのか雲なのか、何か靄が視界を遮っていて先が見えない。
しかし、見えないほど先が続いていると解釈して良さそうだ。
大きな円柱の中。
管状になっているその中腹に、縄梯子1つに命を預けた状態で、あなたはそこにいた。
この世界にあなたを繋ぎとめているのは、たった一本のこの縄梯子だ。
すぐそばの死の気配に、あなたは追い詰められて恐怖する。SANc0/1d2。
<大きな円筒の中をくりぬいたような空間の壁に探索者たちはいます。探索者が複数の場合、お互いに手が届かない位置です。上を見ても下を見ても先が見えず、まだまだ続いています>
------
足元
→これ以上下るのは縄梯子がないから無理だろう。また、少し下方には円柱の内側の壁沿いにぐるりと一周線が描いてあるのが見てわかる。何かの境目だろうか。
<0(ゼロ)の暗示です。この後、探索者は上へ登るごとに1、2、3…と段階を踏んでいくことになります>
上をよく見る(もしくは目星)
→上の方は靄でよく見えないが、少し登った先、縄梯子の近くに何かあるようだった。
[chapter:1【電子の子】]
<縄ばしごは降りたり登ったり自由です。一度探索をし逃したとしても、また戻ってこれます>
【電子の子】
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁にブラウン管テレビの画面のようなものが埋め込まれていた。
すぐ隣には「1.このしんで」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
<今後似たようなものがたくさん現れますが、全てそれぞれの手の近くに1つずつあります>
彫られている文字
「スイッチを入れれば現れる、その子は祖父にセイメイを逆行させられし者。しかし、この子の言葉はあなたに逆らうためのものではない。思ったことを偽りなく、この子は教えてくれるだろう……そう、教えられたのだから」
スイッチを入れると、ブーンと古めかしい機械音がなり、画面の中に一本の線が現れる。
?「Hello,pa-pa(ハロー、パーパ)」
ブラウン管から溢れた、幼くも機械的でアンバランスな音に合わせ、線は大きく揺れる。
e「私はevil(イービル)。お爺様にはそう呼ばれているわ。悪い子だから此処にいるの。だからpa-paが会いにきてくれて嬉しいわ。pa-paの為のお話、沢山考えておいたの。聞いてくれる?Please,pa-pa」
pa-paの為のお話を聞く
e「順番は忘れてしまったの。だから気をつけてねpa-pa。『ここは1階よ。上に登ると13階まであるの。13階にはお爺様がいるわ。私はpa-paをお爺様の元に案内する為に此処に居るみたい。お爺様、pa-paのことが大好きだから』『まず1つ目、嘘をついてはダメよpa-pa。童話でも嘘つき狼は痛い目に遭うの』『そして2つ目。気になったのなら覗いてpa-pa。そして聞くの。何か手に入れたいのなら、手を伸ばしてみて』『3つ目だけれど、蟲は罪の香りに群がるわpa-pa。人は罪を犯さずに生きられないから格好の餌。気をつけてねpa-pa。pa-paより罪が重いものは、もう罪の果実そのものしかないわ』『そして最後4つ目。お爺様のお部屋の鍵は空にあるわ。空に手を伸ばせば降ってくるの。忘れないでねpa-pa』」
<重要なことをたくさん言っています。探索者が詰まったら、アイデアなどで思い出させたりして下さい>
質問する
e「私が答えられる質問はひとつだけ。そのonly oneはそれでいいの?pa-pa?」
<evilは謎解きの答え以外ならばなんでもひとつ教えてくれます。探索者の絶対的な味方です>
生きて帰る方法を聞く
e「…私はpa-paの味方よ。だから言うの。幸せになりたいなら上へ、此処から抜け出したいなら下へ。もっと違うところに行きたいのなら…」
ここでバチバチとブラウン管に電流がほとばしる。
e「Sorry pa-pa。お爺様が、駄目だって。私、お爺様にとっても、pa-paにとっても、悪い子ね」
< KPやシナリオにとって都合が悪そうなことを聞かれたら、上記のように、妨害が入った形にして途中で切って下さい>
※<「電子の子(でんしのこ)が逆から表記されていること」「セイメイ(生命、姓名)を逆行させられしもの」などのヒントから、後々evil(悪)の名前が実はlive(生きる、存在する)だったという謎解きに繋がります。この謎は初見時はわからなくていいです>
[chapter:--以下、 evilの名前の謎を解いた後--]
(evilのことをliveと呼ぶ。liveが実の名だと言う)
e→l「live……live!!あぁ!あぁ…pa-pa!!私…私、悪い子じゃ…ないのね?pa-pa、私は、居てもいい子だったのね?」
感極まるように震えた機械音に呼応して、画面に映し出された線も不規則に波を起こす。
バチバチバチ!
まるでそれをたしなめるように、 ブラウン管に電気が走る。
l「ごめんなさいpa-pa。私はやっぱり悪い子みたい。悪い子だから、pa-paをお爺様に取られるのが嫌になってしまったの」
画面に砂嵐が混ざり、波のような音が無理にliveの声を飲み込んでいく。
l「闇の中でも、いつかきっと光は現れるのpa-pa。私の目の前に、pa-paが来てくれたように。ねぇpa-pa、闇の前で光を待って。その光は、きっとpa-paの腕を掴んで、こんなところから助け出してくれるわ。その時は、この世界を手放して、その光を、腕を、そして、私を信じて!pa-pa!!!!!」
そうliveが叫んだ瞬間、ブラウン管はバリバリと嫌な音をたて、光を放った。
眩しさに一瞬瞼を閉じたあなた。
目を開ければ見えてしまうだろう。
真っ黒焦げになり、最早何も映さなくなったボロボロのブラウン管が。
<これ以降liveと話はできず、力も借りれません。『闇の前で光を待って〜』、というのは、後述する10【音の門】に腕を入れた状態で縄梯子から手を離すことを言っています。探索者に生存のヒントを与えすぎた evilは、この瞬間黒幕の手により下界に落とされてしまいました>
[chapter:2【誰かの子】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「2.誰かの子」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「神の手によって作られたのだから人は神の子であり、人の手によって作られたのだから機械はきっと人の子だ。君だってきっと誰かの子で、誰かの親だ」
穴を覗く
→穴を覗くとそこには、あなたの中にある暖かくまろい記憶が広がっていた。幼少期、少年期、そして青春。誰かに愛され、誰かを愛した。そんな、記憶が走馬灯のように目の前をかけていく。
穴に手を入れる
→誰かの頭のようなものが手に触れる。撫でると、嬉しそうにあなたの手に頬をすり寄せる。
慌てて穴の中を覗いても、そのような子どもや生き物が近くにいる様子はない。
[chapter:3【真実の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「3.真実の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「ここに手を入れれば君は真実しか言えなくなる。しかし心せよ。それは本当に"君の望んだ"真実か?」
穴を覗く
→紫色の空間が広がっている以外何もない。
穴に手を入れる(無言orその状態で事実しか言わない)
→何も起きない。
穴に手を入れる(その状態で嘘を言う)
→変化は確かに、そして当たり前のように静かにやってきた。
<穴に手を入れたまま言ったことは真実になります。たとえ嘘でもです。ここで下手に嘘ついて自分は"生きている"などというと、リビングデッドになってしまいます。これは生存状態で参加した探索者も同じです>
<例:「自分は医者だと嘘をつく」一番高い職業技能が拳銃80だった場合、医学80を手に入れ、拳銃が初期値に戻る>
<※穴に手を入れたまま正しいことを言い直せば、おかしくなってしまった事象も直せます。 KPやシナリオにとって不利なことが起きないよう、真実は曲解して事象化していくことをお勧めします>
[chapter:4【記憶の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に手のひら程大きさの蓋があった。その蓋には紫色の南京錠がかけられている。
すぐ隣には「4.記憶の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られていた。
彫られている文字
「神は愛したものを天へと召しあげる。そして、君はその神に愛されて此処に来た」
<9【贖罪の扉】で手に入る紫色の鍵がないと開きません。以降は鍵を手に入れて、蓋を外した際の描写です>
【9【贖罪の扉】の紫色の鍵を使う】
贖罪の扉で手に入れた紫色の鍵を使うと、蓋はパカリと開いた。そこには腕が一本通るかどうかくらいの穴があった。
穴を覗く
→ドッと身体に衝撃が走る。いや、それはただの錯覚だ。しかし、それだけの衝撃があった。あなたの目の前で、あなたは死んでいる。そうだ、あなたは死んだのだ。あなたは死んだからここに来た。
冷たくなる身体。
死の痛み。
あなたは、自らの死を再び体験する。
SANc1/1d4。
穴に手を入れる
→何かがうやうやしくあなたの手を取った。そして、あなたの手の甲にキスを送る。
そうすると、鈴のような声が聞こえてくる。「父はあなた達を人と名付け、人は父と自らの間にある空っぽの空間に"空(ソラ)"と名付けた。さあ、呼んであげて。そうすればあの空間は空になり、あなたは父のもとに向かう鍵を手に入れられる」
<ここで言及されているのは白い鍵です。物語のエンドを分ける重要物となるので、できるだけ探索者に取得させてください(難易度を下げる場合、鍵を無理に取らせなくても構いません)>
[chapter:5【偽りの穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「5.偽りの穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「この穴から見える景色は全て正しい。君は五体満足でこうしてピンピンしているし、世界は平和で誰もが笑顔だ」
<ここにきた探索者たちは全員死んでいる、もしくは死の淵を彷徨っている状態です。掘られている文字から早速嘘です>
穴を覗く
→覗いた先に青く広い空間が広がるばかりだ。遠くで何かが見えた気もする。
穴に目星
→遠くでひゅっと、何かが落ちていくのが見えた。いや、何か、じゃない。
誰か、だ。
足をバタつかせ何かをつかもうと手をやたらめったらに動かす誰か。
こちらを振り返ったその顔を見てゾッとした。
紛れも無く自分だ。
一瞬視線がバチリと合ったかと思えば、その人は先の見えない底へと落ちて行った。
何かに、引っ張られるように。
そんな恐ろしい光景が、探索者の先を予感させる。SANc1/1d2
<探索者の死因がなんであれ、この描写です>
[chapter:6【愛欲の穴】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴が開いていた。
すぐ隣には「6.愛欲の穴」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「君は何を抱き、何を食(は)んだ。それは罪だ。そして知識だ。その愛の結晶である君たちの子は、神に少し嫌われているらしい」
穴を覗く
→あなたが生前熱を上げたものがそこにある。それは仕事かもしれないし、趣味かもしれないし、はたまた人であるかもしれない。
穴に手を入れる
→手を伸ばすと、温いぬかるみに手を突っ込んでいる感覚があり、手に熱いものが触れた。それを掴んで取り出すと、あなたの手の中には林檎があった。
林檎に知識/アイデア(リアルアイデア、evilへの質問での回答可能)
→林檎は聖書で罪の果実(または禁断の果実)と呼ばれていたことをあなたは知っている。
[chapter:7【懺悔の扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「7.懺悔の扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「汝の罪を告白せよ。さすれば相応の対価が支払われるだろう」
扉を開けて中を覗く
→懺悔室にあるような小窓が穴の奥に見える。その小窓を見た瞬間、
「汝、罪を告白せよ」と声が聞こえる。
扉の中に目星
→小窓の奥で何かが動いている。押せば小窓は開くようで、手を入れようと思えば入れられそうだとわかる。
扉の中に手を入れる
→あなたの手のひらに、誰かの指先が当たる。それは、あなたの手のひらに十字を書いた。
<ただの祈りです。なんの効力もありません。敵意のなさ、もしもの時助けを請えるかもしれないと言う印象を探索者に抱いてもらって下さい。詰みそうな時はこの祈りの主(極めて中立)からヒントを出してあげてください>
----------
罪を告白する
→悲しませたこと、怒らせたこと、傷つけたこと、壊したこと。思い思いの心情と罪をあなたは吐露する。
しばらくすると扉の向こうの声は静かに語り始めた。
「天に在(お)わしめします我らが父は、あなたの罪をきっとお許しでしょう。父は子を愛するものです。……ところであなた方が愛した電子の子の名前を考えたことがあるでしょうか。あの子は我らが父に逆さまの称号を与えられし者。実の名を呼んで差し上げなさい。きっと喜ぶでしょう。あの子は逆さまに名乗るあまり、自分の名を失っているでしょうから」
< evilがliveだとここでわかります。この時点で evilの元に戻りたいと言われたらOKしてください。縄梯子は好きに登り降りできます><※ evilの真実の名前を呼ぶ描写は1【電子の子】の項目の最後に書かれています>
[chapter:8【呪いの扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「8.呪いの扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「蟲は腐る寸前の果実に群がるように君の腕を啜るだろう。手を入れない方が賢明だ」
扉を開けて中を覗く
→ギョロリ、と何かがあなたの方を向く。穴の向こうには広い空間があるらしく、その何かが何匹、何十匹と巨体を揺らし漂っている。
正直暗くてよくわからない。これが蟲と呼ばれるものだろうか。
いや、こんなの、蟲というよりも化け物だ。
キチキチキチキチと鳴らされた化け物の牙に、背筋が思わずゾッとするSANc1/1d4
<このシナリオの黒幕の従者たちです。暗くてよく見えない+見たことのない化け物であるため、ここでは蟲と称されます>
扉を開けた状態で目星
→漂う化け物どもよりもかすかに手前。
肩いっぱいまで腕を入れれば届きそうなところに、何かがある。
扉に向かって聞き耳
→キチキチキチキチ。
ギャリギャリギャリ。
と、なんとも不穏な音が響く。
扉の中に手を入れる(林檎なし)
→物凄い勢いの風を感じ、あなたの脊椎は反射的にあなたの腕を引っ込めさせた。
ガチン!!!
と、鋭い刃が噛み合ったような音がした後、気配は穴から遠のいていく。
一瞬でも遅かったらここに腕はくっついていないだろう。SANc0/1
扉の中に手を入れる(林檎あり)
→林檎は早々にあなたの手からかすめとられた。
火に集(たか)る蛾のように、その紅い罪に蟲と呼ばれた化け物が群がっていくのが、気配でわかる。
あなたは指先に乾いた感触を感じて腕を引く。
それは、くしゃくしゃに丸められた紙だった。
< evilの言う罪の果実は林檎でした。罪に群がる蟲たちは、より罪が重いとみなした林檎に群がり、その一瞬の隙で探索者は紙を手に入れることができるようになっています>
紙
「俺たちは3人でここに来た。俺は運良く紙とペンがあった。だから1人ここに残った。書き置きをするために。1人は下を見て来ると言ったきり戻らない。もう1人は上からなら引き上げられるかもしれないと言って頂上まで登ってそれ以来だ。もう腕が震えてきた。俺もじきに、下を見て来ると言った奴と同じところに行くのだろう。あいつが下に降りてしばらくしてから聞こえてきたあの叫び声と、同じ声を上げるのだろう。そんな風になるくらいなら、一瞬で終われるのなら、俺は、喰われた方が、ましだ。……でも、本当に。本当に?ないのか?ここから、出る方法が、ほかに」
<最上階や最下層(落下)が最善策でないことを仄めかしています>
[chapter:9【贖罪の扉】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴があり、それに扉が付いているのが見えた。
すぐ隣には「9.贖罪の扉」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
扉は閉まっている。
彫られている文字
「罪は君の腕の中にある。そしてこの子たちはそれが毒だとわかっていても、啄まずにはいられない。鳥は君が殺した数だけいる。痛みに耐えよ。そうすれば上に行けるのだ」
<贖罪(しょくざい)の扉の向こうには探索者が殺した人の数+1羽の鳥がいます。+1の鳥は自分自身をカウントしています>
扉を開けて中を覗く
→中は薄暗い洞穴になっている。あなたが殺した人の数だけ小鳥がいるらしいが、いったい何匹いるだろうか数えてごらん。
扉の中に目星
→鳥の奥に鍵があるのが見えるが、手を伸ばしても届きそうにない。
扉に向かって聞き耳
→ちゅんちゅん、と可愛らしい鳴き声が聞こえる。
扉の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、刺すような痛みがあなたの腕を襲う。
あなたの腕を鳥が突き、傷を抉り、血をすすっているのがわかる。
あまりの痛みにあなたは縄梯子を握る手も震えてくるはずだ。HP-1
暫くすると、痛みは止んだ。
鳥が啄むのをやめたのだ。
安心して腕を引いたあなたの息は、一瞬止まってしまうかもしれない。
鳥が、死んでいる。
あなたの罪を、毒と知りながら啄ばんだ鳥は皆死んでしまった。
鍵は、いつのまにか手の届くところにある。
手を伸ばせば先ほどまで暖かかったはずの羽毛に腕があたり、鳥肌が立つ。SANc0 /1
あなたが手に入れたのは、紫色の石の鍵だ。
<この鍵で4【記憶の穴】の蓋が外れます>
[chapter:10【音の門】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「10.音の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「私には聞こえる。我らが父が在わしめす、母なる海のさざめきが。父がそう望んだのだから。君は何に望まれ、何が聞こえるだろうか」
門の中を覗く
→真っ暗で何も見えない。一瞬何かがチカッとした気もしたが、それが何かはわからない。
そして、穴を覗くとあなたの名前を呼ぶ声が聞こえた。
門に聞き耳
→あなたを呼ぶ声の後ろで、波のような、人々の雑踏のような、そんな音がくぐもって聞こえる気がする。
門の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、ひたりと何かに腕を掴まれる。
それは物凄い力とものすごい勢いで、その小さい穴に引きずり込むようにあなたを引っ張り込む。
思わず離しかけた縄梯子をぎゅっと握る。
力尽くであなたが腕を取り戻したとき、その腕にはびっしりと手形が付いていることだろう。
次に手を入れたら引きずり込まれてしまうかもしれない。あなたの心臓は何かに掴まれたように縮み上がる。
SANc0/1
<この門がハッピーエンドとなる脱出ルートになります。エンド分岐については次ページから>
[chapter:11【風の門】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「11.風の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「風がやめば船は止まり、風が強まれば船は壊れる。船にとっての風とは、人にとっての罪のようなものだ。ありすぎても困るが、無くては生きる意味がない」
門の中を覗く
→突如突風が吹き荒れる。
危うく梯子から振り落とされるところだった。
それほど強い風だ。
[chapter:12【カラノモン】]
探索者が暫く縄梯子を上っていくと、目の前の壁に腕が一本通るかどうかくらいの大きさの穴に仰々しく門があつらえてあるのが見えた。
すぐ隣には「12.カラノモン」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
彫られている文字
「ここは父と子の境目。その空っぽな空間。ここには本当は、何もない」
門の中を覗く
→何もない。色もうまく認識できない。ただ、無がそこにある。
門に聞き耳
→なんの音も聞こえない。
門の中に手を入れる
→その空間には何もない。あなたの手は空(くう)を切る。
<4【記憶の穴】で言及された空(ソラ)と名付けることで受け取れる鍵は、ここで入手します。この穴に向かって、もしくはこの階で「ソラ」(もしくは空(ソラ)の門)と言って穴に手を入れれば白い鍵が手に入ります>
------------
(空(ソラ)と呼んだあと)
門の中に手を入れる
→あなたが手を入れた瞬間、ヒュンと何かが落ちる音がし、ピタとあなたの手のひらにそれが吸いつく。
取り出してみると、それは白い石でできた鍵だ。
<13【天国の門】で使える鍵です>
[chapter:13【天国の門】]
あなたはとうとう自分が閉じ込められている円柱の最上部へと達した。
管状になっていたそれの先端は、どうやら蓋をするように塞がれている。
そして、その蓋のような天井全体が大きな扉なのだ。
扉に対しては小さい鍵穴が、あなたの手元にある。
鍵を入れれば、扉は自動的に開くのだろうという予感があった。
天井付近の壁には「13.天国の門」とプレートが貼り付けられており、そのすぐ下に文字が彫られている。
<縄梯子はどういうわけか、その扉の向こうに透けるように伸びています。天井の扉の開閉で揺れたり切れたりしないということが伝わればOKです>
彫られている文字
「よく来た我が子らよ。罪にまみれた孫は少なくともきちんと仕事をしたようだ。いきなり呼びつけてすまないね。それほど君を愛していたのだ。さあ、鍵を持ってこの戸を開けよ。そうすれば、私たちはもうずっと一緒だ。さあ!」
<罪にまみれた孫=live(evil)です。黒幕は探索者の魂に惹かれるがあまりにこの事象を起こしました。苦労して手に入れた白い鍵ですが、これを使うにはあまりにも不穏な言葉が綴られています>
[chapter:【エンド分岐(描写は次ページ以降)】]
10【音の門】に腕を入れ、縄梯子から手を放す
→次ページ
13【天国の門】で白い鍵を使う
→2ページ後(前半)
縄梯子から手を離し、落ちることを選ぶ
→2ページ後(後半)
[newpage]
[chapter:10【音の門】に腕を入れ、縄梯子から手を放す]
10【音の門】に腕を入れて、縄梯子から手を離す
→あなたが手を入れた瞬間、ひたりと何かに腕を掴まれる。
それは物凄い力とものすごい勢いで、その小さい穴に引きずり込むようにあなたを引っ張った。
あなたはそれに逆らわず、この世界とあなたを繋ぎとめていた縄梯子から手を離す。
ぐんっと、ものすごい勢いで音の門へと引き寄せられたあなたの体は、壁に自然と叩きつけられる形となり、鈍い痛みが骨を軋ませる。
しかし、そんなことお構い無しに、落ちることもできないくらい強い力で、何かはあなたの腕を門の中へと引きずり込む。
バキン、
と、門の装飾があなたの体に押されて割れる。
その瞬間、門に縁取られていた穴はみるみる広がり、あなたは闇の中へと誘われた。
無理に狭い穴を通った際、後頭部を強くぶつけたあなたは、そのまま意識を失った。
(以降エンディング)
-生還【エピローグ】-
「……っ!!…………!!」
あなたの名前を何度も呼ぶ声で目が覚める。
「!先生!患者さん気がつきました!」
背中には柔らかい感触。
目の前には白い天井。
どうやら自分は病院にいるらしかった。
手を強く握られている。
自分を引いてくれた手は、この手だったのか。
その暖かさにホッと息をつく。
自分はもう少し、この世界に居てもいいらしい。
----------
「あなたはね、海辺の崖下に打ち上げられていたところを通りすがりの人が見つけて、それで運び込まれて来たんですよ」
再び意識が戻り、精密検査を受けながら医者から説明を受ける。
「あんなに濡れていたのに、あなたの携帯は無事だったらしくて、何かのアラームか着信か…ともかくその音のおかげで気づけたらしいですよ。いや〜運が良かったですね。あんなところ、普通人は通りませんから」
はいどうぞ、と携帯を渡され、「それではお昼が終わった頃にまた来ます」と医者がその場から離れる。
自分の命を救った誰かを、もしくは偶然かけていたアラームを確認するために、あなたはその携帯を起動する。
電源をつけて、ロック画面が現れる少し前の暗闇の向こう。
一筋の光が、紡がれる音ともに波打つ。
「Hello,pa-pa.また会えて嬉しいわ」
君は、救われたのだ。
君が救った、その子に。
ED.Hello,pa-pa.
<先に下界に落とされていたliveが、探索者の携帯を鳴らしたことで死の淵を彷徨う探索者が病院に運ばれ一命を取り留めるエンドです。トゥルーエンド。もしかしたら、今後その探索者のsili的な何かとしてliveが宿り続けるかも>
[newpage]
[chapter:13【天国の門】で白い鍵を使う]
鍵を使って13【天国の門】を開ける
→白い鍵を鍵穴に入れてまわすと、カチリと軽い音が鳴った後、ギギギと思い天井が、扉としてあなたを迎え入れるために口を開けた。
「さあ、歓迎しよう。愛し子よ」
大きな力の奔流に抱きしめられた心地がして、あなたはそっと目を閉じた。
ジワリと滲む暖かさと多幸感は、ぬかるみに落ちた果実のようなあなたを、しっとりと包み込んで行き、いつしかあなたは天と地と、自と他の境すら失くし、
神の世界に、溶けていった。
ED.十三階段(thirteen steps)
<今回の黒幕に天の国へと招かれ、そのまま存在をそこにとらわれることになります。きっとそこで幸せになれるでしょう。ロストハッピーエンドです。普通に生き返って今後辛い目にあうより数倍ハッピー>
[chapter:縄梯子から手を離し、落ちることを選ぶ]
0【hole】
縄梯子から手を離す
→あなたは縄梯子から手を離す。このままいるより死を選んだのか、それとも現状を打破する希望を両手で掴むためだったのか。あなたの身体は宙に投げ出され深い深い穴の中に落ちて、落ちて、落ち続けた。
落ちる。
まだ落ちる。
息もできないほどに肺を押しつぶされ続けるあなたは、恐ろしいことに気がついてしまった。
何度もなんども、視界の端を、同じ景色が通り過ぎていく。
円柱の壁、ぐるりと縁を描くようになぞられた一線。それが何度もなんども、視界の端をチラつく。
あなたは、永遠に落ち続けることを覚悟した。
きっともう死ぬことも、生きることもできない。
ED:step off
<下に落ち続ける。つまり生きて帰ることも死ぬこともできず、永遠に苦しみ続けます。バッドエンドです>
次ページに報酬と背景→
[newpage]
[chapter:【報酬】]
【生還報酬】
SAN回復
1d6
[chapter:【背景】]
黒幕はノーデンスです。
海を仄めかす描写がちらほらあったのもそのせいでした。
探索者のひととなりか、才能か、はたまた危篤な人生か。
ともかく何故かノーデンスに好かれてしまった探索者たちは各々様々な形で運命を捻じ曲げられて、死者も生者もこの試練(今回のシナリオ)を受けることになってしまいました。
自らの意思で罪を濯ぎ上を目指す、一種の儀式めいたこれらの行為は、完遂してしまうと、晴れてノーデンスの寵愛の元に下ることになります。上に行けば行くほど、俗世から離れて行くと考えて下さい。
もっとも俗世に近かった存在であるlive(evil)が、探索者に抜け道を教えることで、探索者は元の世界に戻ることができます。ノーデンスはなんとしても探索者を近くに置きたいので、そもそも帰す用意はしておらず、下に降り(落ち)ても元の世界に戻れません。
今回、探索者は鍵を2つ手にいれることができますが、この2つの鍵はなんとどちらもノーデンスに至る、つまりロストに至る鍵でした。自分が死ぬための準備をしていたようなものです。少しゾッとしませんか。気づいた探索者にSANcを入れてもいいと思います。
※タイトルについて
段差という意味のstepと、段階などといった意味のstep、そして13階段(絞首台を仄めかしたりします)をかけてこのタイトルになりましたが、実際の階段はあまりstep呼びしないと思うので、気をつけて下さい。
その他わからないことなどありましたら、質問も受け付けますし、ご自由に改変してくださっても構いません。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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[chapter:【資料】]
(各階層一覧)
13【天国の門】
12【空の門】
11【風の門】
10【音の門】
9【贖罪の扉】
8【呪いの扉】
7【懺悔の扉】
6【愛欲の穴】
5【偽りの穴】
4【記憶の穴】
3【真実の穴】
2【誰かの子】
1【電子の子】
0【hole】
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