難攻不落の姫ytym

髙木「お疲れ。片付けはあらかた終わったから、お前も遅くならないように帰れよ。」

裕翔「はい、ありがとうございます!」

後夜祭も無事に終わって、多目的教室の原状回復をしていたら、3年の髙木先輩が入ってきた。初対面は怖い人かと思ったけど、生徒総会のパンフ作りを代わった時から、何かと声をかけてくれるようになって、今では頼れる先輩の1人だ。

髙木「あ、あと有岡にさっき会ったんだけど。」

裕翔「?はい。」

髙木「HR終わったから帰りますってさ。中島たちに伝えてくれって。あいつ、俺の事伝書鳩扱いしてきたぞ。」

裕翔「あはは…。ありがとうございます。」

髙木先輩と有岡くんは、卒業した有岡くんのお兄さんとの繋がりもあって仲がいい。3年と1年にしてはフランクすぎる気もするけど。

髙木「そういえば、山田と付き合うの?」

裕翔「まぁ。本人がいいって言ってくれるなら。」

公開告白はしたけど、まだあんまり実感がない。ああいう雰囲気の中だとどうしても周りに押されてしまうから、出来れば静かなところでもう一度山田くんの気持ちを知りたかった。

髙木「山田のこと尊重するのもいいけど、ちゃんと自分の気持ちも伝えなきゃダメだぞ。」

裕翔「はい。」

髙木「男は強引なくらいがちょうどいい。」

裕翔「え?」

髙木「俺はそれで伊野尾くんのこと捕まえた。」

裕翔「えっ…」

髙木「じゃあな。お疲れ。」

伊野尾「髙木ぃ遅い!早く行こ♡」

カバンを持って教室を出ていく髙木先輩と、外で待っていたであろう伊野尾先輩の声。まさかあの2人も?

涼介「ふ〜終わった終わった。あれっ、中島くん!」

裕翔「あ、や、りょっ、山田くんっ!」

髙木先輩と入れ違いで入ってきた山田くんは普通の男子高校生に戻っていて、化粧もさっぱり落としていた。体育館では泣いていたけど、腫れや充血もなさそうで安心する。俺は体育館のあと、魔法がとけたようにまだ山田くんを名前呼びできずにいた。

涼介「薮先生が今日はもう帰っていいって。それより見て!光先生がHRでくれたの!今度行く日決めよっ…!」

頑張って話しかけてくれる健気な山田くんに胸がいっぱいになって、思わずその小さな体を抱き締めた。
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