難攻不落の姫ytym

大ちゃんに手伝ってもらいつつ、ミニ浴衣に着替えた。スースーする脚に違和感を覚える間もなく、同じ班の子とクラスのチラシを配りつつ、写真を撮りながら自分への投票を呼びかける。求められるがままに写真を撮るのは中学生以来だ。

涼介「暑ーい。」

「どっかで休もうか。飲み物買ってくるよ。」

ペアの子が飲み物を買ってきてくれている間、いつも昼ご飯を食べている旧校舎の階段で待つ。いつもの階段が関係者以外立ち入り禁止になっていてよかった。階段で座っていると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

大貴「なーんで裕翔とペアになっちゃうかなー。」

裕翔「仕方ないじゃん。なんで、嫌なの?」

大貴「だって、さっきから声掛けられまくりじゃん。なにかの撮影ですか?とか写真いいですか?とか、中学ん時の山田みたいだぞ。」

裕翔「そう?衣装着てるからそう見えるだけじゃない?あと、俺でかいし。」

大貴「ちっちゃくて悪かったな。上行くのめんどくさいし、ここで食うべ。」

裕翔「うん、あーお腹すいた。」

階段の手すりから見ると、黒いジャケットに、金の装飾をつけた王子様みたいな中島くんが、大ちゃんと一緒に焼きそばを食べていた。そういえば中島くんたちのクラスは王子様カフェをやるって言ってたな。

大貴「裕翔衣装にソース飛ばすなよ。」

裕翔「うん。」

男らしく焼きそばを食べる中島くんに、華やかな服装とのギャップを感じてときめく。なんだよ、こんなの完全にデートじゃん。2人の身長差といい、息のあった掛け合いといい、お似合いと呼ぶに相応しかった。初恋の失恋って結構きつい。浴衣が着崩れるのも気にせず階段の手すりにもたれかかる。

「山田!はい、コーラでよかった?」

涼介「うん、ありがとう!」

気を取り直して班の子が買ってきてくれたコーラを飲むと、なぜか中島くんのカーディガンの匂いが思い出された。そっか、昨日大ちゃんのイタズラでコーラ被ったっけ。

思い出して切なくなっていると、班の子が話題を替えてくれた。
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