難攻不落の姫ytym

ついに来た文化祭当日。実行委員の俺はいつもよりも2本早い電車で登校するけど、クラスの出し物や、部活の出し物がある生徒もいるのか同じ制服の生徒をちらほら見かけた。

裕翔「おはようございます。」

涼介「中島くん、おはよう!」

大貴「山田動くな!」

多目的教室に入ると、山田くんが有岡くんに髪の毛をセットされていた。薄く化粧もしているのか、いつもよりも血色がよく輝いて見える。
先生たちも先輩たちは教室にはいなかった。

そういえば昨日山田くんに名前で呼ばれた気がしたけど、今日はいつも通り苗字呼びになっている。気のせいだったのか。

涼介「先生たちはさっき買い出しに行った。クラスの出し物で使うものが足りなくなったんだって。」

大貴「先輩たちはまだ来てないぞ。」

涼介「中島くん昨日はカーディガンありがとうね。その紙袋に入ってるから持って行って!」

裕翔「うん、風邪ひかなくて良かった。」

ブランド物の赤い紙袋に入った俺のカーディガンは、きちんと畳まれていて家の柔軟剤とは違った匂いがした。

裕翔「これ洗ってくれたの?」

涼介「うん、だって濡れちゃってたし。」

山田くんの匂いが自分のもので上書きされてしまうのは惜しいけど、クーラーの効いた教室が寒かったので早速羽織った。

大貴「よし、完璧。」

涼介「ありがとう大ちゃん!」

すっかり実行委員の一員になった有岡くんがウィッグを被った山田くんの髪の毛をコテで巻いていく。ふわふわに巻かれた髪の毛は、山田くんの頬にかかってなんだか妖艶だった。

大貴「そろそろ着替える?」

涼介「うん。」

山田くんは素肌にパーカーを着ていたのか、ファスナーを外すと真っ白でもちもちの柔肌が現れて、思わず目を逸らす。

大貴「裕翔乙女じゃん。」

裕翔「だって、ドキドキするでしょ?」

涼介「え、そっか。大ちゃんだけじゃなかった…。」

急に真っ赤になってワタワタし始める山田くんに、涼しい顔をしている有岡くん。同じく顔が熱くて山田くんたちの方を見られない俺とで微妙な空気が流れていた。
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