難攻不落の姫ytym

涼介「ふふ、中島くんの匂いする。」

ラッシュをすぎた電車の中で、さっきから山田は袖を口元に寄せては変態じみたことを言っている。

大貴「ってか、山田。裕翔のこと裕翔くんって呼んでなかった?」

涼介「え、そうだった?」

山田はキョトンとした顔の後、顔を真っ赤にして裕翔のカーディガンで顔を被った。

涼介「大ちゃんが裕翔って呼ぶからつられちゃったのかも。」

俺も、ずっとそう呼びたくて。と続ける山田に恐れていたことが現実になって頭が真っ白になる。

山田が裕翔に恋をした。本人は否定するかもしれないが、傍から見れば今日の山田は恋する乙女のそれだ。ずっと心のどこかで最終的には俺を選んでくれるんじゃないかと思っていた。幼稚園から毎日一緒にいて、風呂もトイレもベッドも共にした俺には山田の深層心理までお見通しだった。

涼介「大ちゃん?」

大貴「なんでもない。俺は応援するよ。」

涼介「なんの事?」

大貴「なんでもない。カーディガンちゃんと返せよ。」

涼介「言われなくてもちゃんと洗って返しますー!大ちゃんじゃないんだから。」

大貴「ん。俺今日ジャンプの発売日だからコンビニ寄って帰る。」

涼介「わかった。じゃあね。」

駅を出て、何となく1人になりたくて無意味にコンビニに入る。漫画の本当の発売日は明後日だ。ワンチャン山田なら「今日じゃなくない?なんかあったの?話聞くよ。」と言ってくれるんじゃないかと期待した。

大貴「なんだよ、浮かれぽんち。」

もやもやしながらレジでスマホの決済画面を出すとメッセージが目に入る。

『山田「ジャンプ明後日じゃなかったっけ。なんかあった?話聞くよ。」』

大貴「ばーか。お前が原因だっつうの。」
25/33ページ
スキ