難攻不落の姫ytym

昼休み、いつもの3人で昼ごはんを囲む。お弁当箱を開けた山田くんは顔を顰めて、有岡くんに詰め寄る。

涼介「はい、大ちゃんトマトあげる。」

大貴「ったく。高校生になったんだから食えるようになれよ。」

涼介「いいの!大ちゃんに足りないリコピン分けてるの。」

山田くんはヘタの着いたミニトマトを有岡くんの口元にずいっと寄せる。

裕翔「山田くんはトマトが苦手なの?」

涼介「うん、嫌い。種のドロっとしたところがムリ。」

大貴「こいつ子供っぽいだろー?」

裕翔「そうなんだ。なんかかわいい。」

涼介「え、かわいい!?」

裕翔「うん、かわいいよ。」

馴れ馴れしく思われただろうか。でも、本当のことだからできるだけ自然に振る舞う。

裕翔「ねぇ、山田くん、そのトマトと俺の卵焼き交換しない?」

涼介「え!いいの?」

裕翔「うん。うちの卵焼き、甘い味付けなんだけどさ、今日は三切れも入っててちょっと胸焼けしそうなんだ。助けると思って。ね?」

山田くんのかわいさには遠く及ばないけど、首を傾げて上目遣いをしてみると、山田くんの小首が小さく頷いてくれた。小動物みたいでかわいすぎる。

大貴「いいなー。俺も何か交換したい。」

裕翔「じゃあ唐揚げ食べる?」

大貴「いいの!?」

涼介「だめっ!大ちゃんお野菜足りてないから、ブロッコリーにしておきなさい!」

大貴「ちぇっ。まあ、唐揚げは贅沢すぎたな。ブロッコリー貰っていい?」

裕翔「いいよ。はい、あーん。」

ふざけて有岡くんにブロッコリーを差し出すと、一口でぱくりと頬張る有岡くん。もしゃもしゃとブロッコリーを食べ終えたあと、有岡くんも半分食べかけの焼きそばパンを差し出してきた。

大貴「ん、んまい。ありがと。俺の焼きそばパンいる?」

裕翔「うん!欲しい!」

あむっと一口かじれば、ソースの濃い焼きそばの味と、ふわふわのコッペパンがいい感じにマッチして美味しい。

裕翔「うまい!」

大貴「だろ?お気に入りなんだよ。」

裕翔「あ、山田くん、これ卵焼き置いておくね。」

涼介「あ、うん。ありがとう。トマトここ置いておくね。」

俺は山田くんのお弁当箱の蓋に卵焼きを乗せると、山田くんもトマトを俺のお弁当箱の蓋に載せた。山田くんから貰ったトマトは甘くて美味しかった。
11/33ページ
スキ