難攻不落の姫ytym

誰もが浮き足立つ入学式。廊下で彼を目にした時、俺に瞬間風速的に春の嵐が吹いた。

丸い頭と茶色の細い髪、ここは男子高だから男子であることには間違いないけど、小柄で身長は180cmある俺の胸くらいまでしかない。彼は同じ中学であろう友達と、笑いながら話していた。

鈴を鳴らすように笑う彼に、夢中になって目が離せない。決めた、高校生活の目標はあの子を手に入れることにしよう。


裕翔「暖かな春の日差しが降り注ぐ、この良き日に…」

入学式も着々と進み、新入生代表の挨拶をしながらも頭の中はさっきの彼のことでいっぱいだった。

校長のいる舞台から見渡した景色の中から素早く彼を見つける。前から5列目、さっき廊下で見かけた時も5組の前だったから辻褄が合う。3日前に叩き込まれた三方礼をしながら、得うる彼の情報をかき集めた。

「改めて入学おめでとう。明日は一限のHRで自己紹介と、委員会を決めるから…」

入学式から戻ったあと、担任の話には耳も貸さずに彼のことを考えていると、クラスメイトの中に彼と話をしていた人物がいたのを思い出した。HRが終わったら話しかけてみよう。
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