あなたに愛されたい ytym
涼介の涙を拭いていると、5年前のコンクールで涼介と初めて会った時のことを鮮明に思いだした。あれはお手洗いの帰りに偶然涼介の楽屋の前を通った時のこと。本番の後泣きじゃくりながら楽譜をビリビリに破いていた彼の姿を。
【涼介「どうして!どうして神様は俺を愛してくれないんだ!俺は、俺はこんなに、あなたに愛して欲しくて弾いているのに!どうして微笑んでもくれないんだ!」】
【涼介「あなただけに、振り向いて欲しい。微笑んで欲しい。愛して欲しい。他に何もいらない。あなたからの愛が欲しい。神様…僕だけを愛してよ……。」】
涼介の演奏はいつも他の奏者に圧倒的差をつけていたが、本人にとっては納得のいくものでは無かったようだ。毎回本番終了後にナイーブになっては楽屋がめちゃくちゃになるらしい。天才故の葛藤に悶える彼の背中はまだ幼い。同い年の自分も十分幼いのだけれど、肩を震わせる姿はより一層小さく見えて、気がつくと彼を背中から抱きしめいた。
【涼介「うわ!?誰だ!」】
【裕翔「ごめんなさい、なんか、見ていられなくて。」】
【涼介「お前、この前の…」】
覚えられていた。天才の山田涼介に。ただの偶然かもしれないそれだけの事に胸が弾む。振り返った彼は涙のあとが乾ききっておらず、彼のことを守りたいと本能でそう思った。
【裕翔「すごく素敵な演奏だった。君が君の演奏をどう思っているかは知らない。でも少なくとも僕は君の演奏に心が震えるほど感動したよ。もっと自分のことを愛してあげて。」】
【涼介「うるさい、うるさい……。僕は、神様だけに愛されたいんだ。もっと、もっと上手くならなきゃ、愛されない……。」】
【裕翔「そうなんだ、じゃあ僕はどんな君でも愛してあげる。僕の前ではありのままの君のでいてよ。」】
涼介は当時から周りの大人にその才能と美貌で将来を嘱望されていた反面、子供からは『ヴァイオリンだけが取り柄で協調性の欠けらも無いやつ』と陰口を叩かれていた。
才能だけで片付けてしまうには畏れ多く、確かな技術と弛まぬ努力に俺達は遠く及ばない。幼いながらも''音楽の神様に愛されている彼''と''愛されなかった自分''たちを嫌でも比べてしまっていた。
涼介がダメなら俺を落として彼を揺さぶってやろうと考える奴はいくらでもいたが、俺だってヤワじゃない。真実を1ミリも含まない噂に流されている暇はない。俺自身別に気にならないし、涼介が音楽をのびのび続けることが俺の喜びだから。
【涼介「どうして!どうして神様は俺を愛してくれないんだ!俺は、俺はこんなに、あなたに愛して欲しくて弾いているのに!どうして微笑んでもくれないんだ!」】
【涼介「あなただけに、振り向いて欲しい。微笑んで欲しい。愛して欲しい。他に何もいらない。あなたからの愛が欲しい。神様…僕だけを愛してよ……。」】
涼介の演奏はいつも他の奏者に圧倒的差をつけていたが、本人にとっては納得のいくものでは無かったようだ。毎回本番終了後にナイーブになっては楽屋がめちゃくちゃになるらしい。天才故の葛藤に悶える彼の背中はまだ幼い。同い年の自分も十分幼いのだけれど、肩を震わせる姿はより一層小さく見えて、気がつくと彼を背中から抱きしめいた。
【涼介「うわ!?誰だ!」】
【裕翔「ごめんなさい、なんか、見ていられなくて。」】
【涼介「お前、この前の…」】
覚えられていた。天才の山田涼介に。ただの偶然かもしれないそれだけの事に胸が弾む。振り返った彼は涙のあとが乾ききっておらず、彼のことを守りたいと本能でそう思った。
【裕翔「すごく素敵な演奏だった。君が君の演奏をどう思っているかは知らない。でも少なくとも僕は君の演奏に心が震えるほど感動したよ。もっと自分のことを愛してあげて。」】
【涼介「うるさい、うるさい……。僕は、神様だけに愛されたいんだ。もっと、もっと上手くならなきゃ、愛されない……。」】
【裕翔「そうなんだ、じゃあ僕はどんな君でも愛してあげる。僕の前ではありのままの君のでいてよ。」】
涼介は当時から周りの大人にその才能と美貌で将来を嘱望されていた反面、子供からは『ヴァイオリンだけが取り柄で協調性の欠けらも無いやつ』と陰口を叩かれていた。
才能だけで片付けてしまうには畏れ多く、確かな技術と弛まぬ努力に俺達は遠く及ばない。幼いながらも''音楽の神様に愛されている彼''と''愛されなかった自分''たちを嫌でも比べてしまっていた。
涼介がダメなら俺を落として彼を揺さぶってやろうと考える奴はいくらでもいたが、俺だってヤワじゃない。真実を1ミリも含まない噂に流されている暇はない。俺自身別に気にならないし、涼介が音楽をのびのび続けることが俺の喜びだから。
