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白雪姫への反乱

年月は流れ、白雪姫は十二歳になりました。
その美しさにも、ますます磨きがかかってきたのでした。



このころ女王様は、怪しげな商人から、怪しげな魔法のアイテムを買うのが趣味でした。

例えば、
70歳になり、ヨボヨボで動きが鈍くなり、座るたびに「どっこいしょ」と呟く王様を元気にしようと、
『THE・元気ドリンク(まむし配合)』買ったり、
(王様の食事に混ぜました)
美容と健康に効果があるという、白い飲み物を定期購入したり、
(ヨーグルト?いいえ。違います。)
水をやらなくても枯れなくて、
音を聞かせると勝手に体を動かし、
なぜか固くて、グラサンをかけた花をインテリアで買ったり、
(夜な夜な手を叩いては喜んでる)
温かい飲み物を入れておくと、いつまで経っても暖かいままという瓶を買ったり………。


そんな中、
女王様の1番お気に入りのアイテムは別の物でした。
そのアイテムとは、
持ち主の質問になんでも正直に答えてくれる魔法の鏡だったのです。
自分の質問に答えてくれるその鏡は、王子も姫もお気に入りです。
ただ、鏡の精霊が答えるときに、今まで鏡に映っていた自分の顔がオッサンの顔に変わる事だけが、女王は不満でした。

女王は毎朝鏡に尋ねます。

「鏡よ、鏡。

今日の射手座の運勢は?」
『今日の射手座は、くじ運が良好。
ただし、調子にのると、逆にお金を失う結果に。』
「あら、じゃあ、商店街の福引にでも行ってみようかしら?」

その時、女王の部屋に、子供達が入ってきました。
白雪姫が言います。
「お母様?射手座の運勢はどうでしたの?」
「くじ運が良いんですって。
後で二人で福引に行きましょう。」
「お母様~。僕の運勢も占って下さい~。」
「はいはい。
鏡よ、鏡。今日の乙女座の運勢は……。」

そして、白雪姫にも毎日鏡に聞く質問があります。

「鏡よ、鏡。
この世で一番美しい女性は誰?」
『それは、あなたのお母様、ブロッサム様でございます。』

姫は小さく溜息を吐き、女王は小さくガッツポーズを決めます。

「まだお母様の美しさには勝てないのかしら?」
「大人の魅力が足りないのかしらね。

でも、本当は私にとても不利な勝負なのよ?
私は日増しに衰えて、あなたは日増しに輝いて。
私はいつ負けてしまうか心配で…。」

女王は物憂げに言います。

「でも、お母様はお綺麗なままです。私の目からはお姉様も、お母様も、どちらも同じほど美しいのに。」
「フフフ…。母さんはね、努力をしてるのよ。衰えさせないようにね。」
「あぁ!明日こそはお母様に勝ってみせます!」
「あらあら、スノーホワイト?
美は一日にして成らずよなのよ?焦らずに積み重ねていくの。
とりあえず、野菜の好き嫌いを無くす事から始めましょうか。」
「えぅ…。」

そんな事を話しながら、三人は、朝食を食べるため、食堂に向かったのでした。

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