世界の終わりに
放課後、屋上に行くと、瑞貴がフェンスにもたれていた。
「ねぇ、なんで世界は終わらなかったんだろうね。」
「1999年に、か?」
瑞貴は頷く。
「あの年から、来年で10年経つんだよ。
色んな事があったよね。
戦争、偽造、混入、不況。
嫌な事ばっか。
なんでこんな世界が終わらないんだろう。
あの時に、ちゃんと滅べばよかったのに。」
…馬鹿のクセに、真面目に考えようとするから、こんなにネガティブになるんだよ。極端な奴め。
「でも、楽しかっただろ?
修学旅行とかのありきたりなイベントだって、部活だって、皆で遊びに行った事だって。
楽しいだろ?今、二人でいるときだってさ。」
瑞貴が驚いた顔でこっちを見る。
俺は気にせずに続ける。
「この先だって楽しい事があるんだからさ。
世界レベルの不幸なんて、誰かに任せておけばいいんだよ。
俺達は、目の前の幸せを楽しめばいいんだから。」
「そっか。そうだよね…。」
………実は、途中で何を言いたいのかがゴチャゴチャになってしまった。
でも、瑞貴は理解してくれたみたいだった。
よかった。
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