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ジャンルに拘らない短い文章群

——天使様——


天使様が現れた。

もう人の住んでいないアパートの屋上で、
ただぼんやりと夕日を眺めていた私の目の前に天使様が現れたのだ。

美しいという言葉では片すことできないほど整った造形。
この世のどんな美を表す言葉を用いても言い表すことなどできないだろう。

そんな天使様に甘く微笑まれてしまえば、一瞬で心が奪われてしまっても無理はない。

天使様がゆっくりと右手を差し出す。

私は導かれるように、今まで確かにあった躊躇やそういったものもなく、
その一歩を拍子抜けするほどあっさりと、踏み出した。

手を取ると天使様は笑みを深くする。

その顔を見たら、全部、全部、どうでもよくなった。
私の中で澱んでいたどろどろとした不純物が涙と共に流れ落ちていく。

要らなくなった体が地へと堕ちていった。
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