【VS版】プロローグ
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――数年前、俺は「ある事件」が原因で、海兵隊を休職していた。
しかし、その2年後、WSOがテロ対策の切り札として復元したロボット、『ブリューナク』のパイロットとして、復職する事になった。
2年ぶりの復帰。覚悟はしたとはいえ、不安が無い訳では無かった。
でも先輩たち、特にスカーレット大尉のサポートのお陰もあって、任務は何とか順調に行っていた。
――けど、復帰してから半年後。エイリアンとの大規模戦争の中で、俺は奴らの精神汚染攻撃を喰らい……重傷を負ってしまった。
何とか脱出ポットで逃れられ、海に墜落し、浜へ上がった……のはいいが、もう体力の限界で、そこで気絶してしまった。
――その窮地を救ってくれたのが、真上遼だった。
真上は「WSOからの依頼」として、俺を救助してくれたらしい。……真上がいなかったら俺は確実に死んでいた。
本当に感謝しきれなかったけど、真上の反応は淡白で、特に気にしていないようだった。
俺は傷が治るまで、真上のアジトに匿われることになった。
けどその周辺地域には、俺に恨みを持つ、テロリストの残党が潜伏していた。
傷が回復してきた後、真上と共に戦うことになった。
……けど、戦うことを楽しみ、自分とは無関係とはいえ、敗北した兵士を、何とも思わないような真上の態度に、俺は激怒してしまった。
その後は数日話さなくなくなり、気まずくなった。
……でも、数週間真上の様子を見ていて、改めて考えると、「根っからの悪人では無い」とは思った。
真上が別の場所で戦っている間、ある情報筋から緊急で、「真上が奇襲に合うかもしれない」と連絡を受けた。
俺は何とか現場に間に合い、危うく真上の腕が吹き飛ばされそうになっていた所を、ギリギリで防げた。
その後は2人で共闘し、テロリストの残党を全滅させた。
真上と和解した後に、すぐにWSOのヘリが来たから、俺は真上に礼を言って別れ、無事に本部に帰還した。
帰還してからは、飛燕流の新兵の指導も受け持つことになり、更に忙しくなった日々を送っていた。
そして真上と別れてから、3か月経ったある日。俺は垂柳事務次官に呼び出された。
――まさかこれをキッカケに、あいつと再会することになるなんて、俺はこの時、全く思っていなかった。
***
「忙しい中、呼び出してすまないな。だが今回は、重要な任務の話だ。
霜月中尉。君に、カイザー・プロジェクトの、防衛任務を任せたい」
この地点で、何となく察しはついた。
「はい。……それは、外敵からではなく、『もしカイザーが暴走した時は、制圧せよ』……という事ですよね?」
「そうだ。パイロットが2人でなければ、カイザーは動かないそうだから、1人ずつで実験しているが……。やはり不安はある。
起動実験の時、ブリューナクに乗ってカイザーの側で控え、暴走した場合はすぐに制圧する。それが、しばらくの君の任務だ」
「了解です。……正直言って俺も、研究所にいるロボットだけでは、カイザーを抑えられないのでは? と思っていました……」
「そうだろう? 穿月教授は『大丈夫だ』とは言っていたが、カイザーの性能を考えればな……」
穿月研究所に、警備兵とロボットは多数配置されてはいる。
けどロボットは量産型で、兵士も海兵隊では下~中くらいの実力、しかも30体程度しかいない。
「外敵から研究所を守る」という点だけなら、それで十分だ。
けど問題は「カイザーの歯止め役になるか」だった。
……実際、量産型30体では、あまりに頼りなさすぎる。というより、ブリューナクでも倒せる戦力だ。
なのに、それより強いカイザーが暴走したら……。
けど、まだカイザーは試運転の段階だから、もし暴走しても、ブリューナクであればギリギリ制圧出来る。
俺だけでなく、事務次官を含めた上層部も、そう考えていたんだろう。
「教授から、暴走しないという明確な根拠も、提示されてはいるのだが、彼女がミスしないという保証も無い。
もちろん、君にも緊急で入る任務はあるから、全ての実験に出ろとは言わない。
だが、出撃していない時で、研究所で起動実験が行われる時は、なるべくそちらに行くんだ。スケジュールはこちらで調整する」
了解、と返事はしたけど、内心ツッコまずにはいられなかった。
……普通こうゆうのって、研究所側から「危ないからもっと抑止力を下さい」って頼まれるけど、軍の上層部側が予算の都合でゴネる、ってパターンじゃないのか……?
どんだけ自信家なんだよ、教授……。
***
ところで、何で俺が、穿月研究所のロボットの数を知っていたのかというと、実は1ヶ月に1回程度、穿月研究所を訪れていたからだ。
というのも、元々ブリューナクは、穿月研究所で復元された。
その功績で、教授は第2弾として、カイザー・プロジェクトも任されたけど、ブリューナクの定期メンテナンスも引き受けてくれていた。
実験の日、俺は研究所の格納庫にブリューナクを収納すると、まず所長室に向かった。
……ただ、前回来た時から、大きく違う所がある。
……俺は事務次官から、事前に被験者がどうなったかを、聞いていた。
……そして、最初の被験者である、穿月教授も……。
所長室に入ると、教授と、2人の助手がいた。
――そしてやっぱり、教授の左目は、大きな傷がつき、失明していた。
俺は3人に挨拶し……内心、教授にどう気遣かえばいいか、迷っていたが、教授はいたって平静に、
「それじゃあ、実験を始めるわよ」
と、格納庫の扉を開く、ボタンを押した。
***
俺は再び、ブリューナクのコクピットに乗り込んだ。
その目の前――20m程度離れた場所に、カイザーが置かれていた。
……写真で見るのとは、全く別だった。魔神のような恐ろしさが、肌でヒシヒシと伝わってくる。
ここに来る前に、教授の部下達が「アレにパイロットが揃えば、どれ程の怪物になるのか……」と、不安そうに言っていた。そりゃそうだろうな……。
……そこで、妙な違和感に気づいた。
……どこか、人間じみた気配がする。そして、少し「温かさ」を感じた。
……うまく言えないが、人々を見守る、頼もしい王のような……。
……いや……多分気のせいだ。ブリューナクに最初に乗った時、似たような体験をしたから、そう思ったのかもしれない。
このロボットを「温かみがあった」なんて言ったら、絶対笑われるくらい、おかしな話だしな……。
そう考えていると、誰かがコックピットに乗り込むのが見えた。
……よく見ると、見覚えのある顔だった。萩本中尉だ。
萩本中尉は、去年の撃墜数がトップ10入りした、エース級のパイロットだった。
俺は任務を共にした事は無いけど、訓練場で、何度か顔を合わせていた。銃の腕も、コンバットナイフの腕も、優秀な人だ。
なら、大丈夫じゃないか……? 体格も屈強だし、実力も高いし、過酷な戦場にも耐えられる精神力もある。
……しかし、それが甘すぎる考えだという事を、俺はこの後、痛感することになる。
しかし、その2年後、WSOがテロ対策の切り札として復元したロボット、『ブリューナク』のパイロットとして、復職する事になった。
2年ぶりの復帰。覚悟はしたとはいえ、不安が無い訳では無かった。
でも先輩たち、特にスカーレット大尉のサポートのお陰もあって、任務は何とか順調に行っていた。
――けど、復帰してから半年後。エイリアンとの大規模戦争の中で、俺は奴らの精神汚染攻撃を喰らい……重傷を負ってしまった。
何とか脱出ポットで逃れられ、海に墜落し、浜へ上がった……のはいいが、もう体力の限界で、そこで気絶してしまった。
――その窮地を救ってくれたのが、真上遼だった。
真上は「WSOからの依頼」として、俺を救助してくれたらしい。……真上がいなかったら俺は確実に死んでいた。
本当に感謝しきれなかったけど、真上の反応は淡白で、特に気にしていないようだった。
俺は傷が治るまで、真上のアジトに匿われることになった。
けどその周辺地域には、俺に恨みを持つ、テロリストの残党が潜伏していた。
傷が回復してきた後、真上と共に戦うことになった。
……けど、戦うことを楽しみ、自分とは無関係とはいえ、敗北した兵士を、何とも思わないような真上の態度に、俺は激怒してしまった。
その後は数日話さなくなくなり、気まずくなった。
……でも、数週間真上の様子を見ていて、改めて考えると、「根っからの悪人では無い」とは思った。
真上が別の場所で戦っている間、ある情報筋から緊急で、「真上が奇襲に合うかもしれない」と連絡を受けた。
俺は何とか現場に間に合い、危うく真上の腕が吹き飛ばされそうになっていた所を、ギリギリで防げた。
その後は2人で共闘し、テロリストの残党を全滅させた。
真上と和解した後に、すぐにWSOのヘリが来たから、俺は真上に礼を言って別れ、無事に本部に帰還した。
帰還してからは、飛燕流の新兵の指導も受け持つことになり、更に忙しくなった日々を送っていた。
そして真上と別れてから、3か月経ったある日。俺は垂柳事務次官に呼び出された。
――まさかこれをキッカケに、あいつと再会することになるなんて、俺はこの時、全く思っていなかった。
***
「忙しい中、呼び出してすまないな。だが今回は、重要な任務の話だ。
霜月中尉。君に、カイザー・プロジェクトの、防衛任務を任せたい」
この地点で、何となく察しはついた。
「はい。……それは、外敵からではなく、『もしカイザーが暴走した時は、制圧せよ』……という事ですよね?」
「そうだ。パイロットが2人でなければ、カイザーは動かないそうだから、1人ずつで実験しているが……。やはり不安はある。
起動実験の時、ブリューナクに乗ってカイザーの側で控え、暴走した場合はすぐに制圧する。それが、しばらくの君の任務だ」
「了解です。……正直言って俺も、研究所にいるロボットだけでは、カイザーを抑えられないのでは? と思っていました……」
「そうだろう? 穿月教授は『大丈夫だ』とは言っていたが、カイザーの性能を考えればな……」
穿月研究所に、警備兵とロボットは多数配置されてはいる。
けどロボットは量産型で、兵士も海兵隊では下~中くらいの実力、しかも30体程度しかいない。
「外敵から研究所を守る」という点だけなら、それで十分だ。
けど問題は「カイザーの歯止め役になるか」だった。
……実際、量産型30体では、あまりに頼りなさすぎる。というより、ブリューナクでも倒せる戦力だ。
なのに、それより強いカイザーが暴走したら……。
けど、まだカイザーは試運転の段階だから、もし暴走しても、ブリューナクであればギリギリ制圧出来る。
俺だけでなく、事務次官を含めた上層部も、そう考えていたんだろう。
「教授から、暴走しないという明確な根拠も、提示されてはいるのだが、彼女がミスしないという保証も無い。
もちろん、君にも緊急で入る任務はあるから、全ての実験に出ろとは言わない。
だが、出撃していない時で、研究所で起動実験が行われる時は、なるべくそちらに行くんだ。スケジュールはこちらで調整する」
了解、と返事はしたけど、内心ツッコまずにはいられなかった。
……普通こうゆうのって、研究所側から「危ないからもっと抑止力を下さい」って頼まれるけど、軍の上層部側が予算の都合でゴネる、ってパターンじゃないのか……?
どんだけ自信家なんだよ、教授……。
***
ところで、何で俺が、穿月研究所のロボットの数を知っていたのかというと、実は1ヶ月に1回程度、穿月研究所を訪れていたからだ。
というのも、元々ブリューナクは、穿月研究所で復元された。
その功績で、教授は第2弾として、カイザー・プロジェクトも任されたけど、ブリューナクの定期メンテナンスも引き受けてくれていた。
実験の日、俺は研究所の格納庫にブリューナクを収納すると、まず所長室に向かった。
……ただ、前回来た時から、大きく違う所がある。
……俺は事務次官から、事前に被験者がどうなったかを、聞いていた。
……そして、最初の被験者である、穿月教授も……。
所長室に入ると、教授と、2人の助手がいた。
――そしてやっぱり、教授の左目は、大きな傷がつき、失明していた。
俺は3人に挨拶し……内心、教授にどう気遣かえばいいか、迷っていたが、教授はいたって平静に、
「それじゃあ、実験を始めるわよ」
と、格納庫の扉を開く、ボタンを押した。
***
俺は再び、ブリューナクのコクピットに乗り込んだ。
その目の前――20m程度離れた場所に、カイザーが置かれていた。
……写真で見るのとは、全く別だった。魔神のような恐ろしさが、肌でヒシヒシと伝わってくる。
ここに来る前に、教授の部下達が「アレにパイロットが揃えば、どれ程の怪物になるのか……」と、不安そうに言っていた。そりゃそうだろうな……。
……そこで、妙な違和感に気づいた。
……どこか、人間じみた気配がする。そして、少し「温かさ」を感じた。
……うまく言えないが、人々を見守る、頼もしい王のような……。
……いや……多分気のせいだ。ブリューナクに最初に乗った時、似たような体験をしたから、そう思ったのかもしれない。
このロボットを「温かみがあった」なんて言ったら、絶対笑われるくらい、おかしな話だしな……。
そう考えていると、誰かがコックピットに乗り込むのが見えた。
……よく見ると、見覚えのある顔だった。萩本中尉だ。
萩本中尉は、去年の撃墜数がトップ10入りした、エース級のパイロットだった。
俺は任務を共にした事は無いけど、訓練場で、何度か顔を合わせていた。銃の腕も、コンバットナイフの腕も、優秀な人だ。
なら、大丈夫じゃないか……? 体格も屈強だし、実力も高いし、過酷な戦場にも耐えられる精神力もある。
……しかし、それが甘すぎる考えだという事を、俺はこの後、痛感することになる。
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