【OVA版】短編集
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※地獄コンビの入隊から、半年くらいの話。
今回BL要素ありません(ちょっぴり匂わせ程度)
***
何も物が無い、真っ暗な空間。その中に、霜月と、2匹の大型犬がいた。
2匹の犬は、グレートピレニーズと同じくらい大きい、雑種だった。
一方の犬は、体毛は黒で、毛並みは逆立っていた。霜月の周りを、血気盛んに走り回っている。
もう一方の犬は、体毛は白く、毛並みは長いウェーブだ。基本は霜月の近くで、クールにお座りをしているが、たまに霜月にじゃれついていた。
2匹とも、目付きは悪かったが、どこか愛嬌があった。
すると突然、黒い犬が、霜月に跳びかかった。勢いと重さで、霜月は仰向けに倒れた。
「ガウッ! ワオォォン!!」
「こらっ! 海動! 噛むな!」
「……ばふっ」
「真上も踏み踏みするな! ……あー、もしかして、遊びたいのか!? ほら!!」
と、霜月は、もみくちゃにされながらも、フェルトで出来た、おもちゃの槍を取り出した。
ブリューナクの十文字槍を、可愛くデフォルメしたデザインだった。
霜月が槍をぶんぶん振ると、2匹は目を輝かせ、槍を前足で蹴ったり、穂先に噛みついた。
2匹はかなりパワーがあるのか、霜月は何度も引っ張れたり、タックルされたりして、体制を崩しそうになった。
しばらくは、楽しそうに暴れていた2匹だったが、やがて飽きたのか、遊ぶのを止めた。
そして、霜月を睨みながら、「グルルルル……」と唸り始めた。
「……お腹が減ったのか!? ほら、あげるから!!」
そう言うと、霜月はどこからか、ドックフードを取り出した。袋には、カイザーがプリントされている。
霜月は、いつの間にか現れた2つの皿に、ドックフードを山盛りにすると、2匹の犬はすぐさま、夢中でムシャムシャと食べ始めた。
2匹はあっという間に平らげ、皿は空になった。
だが、量が足りなかったのか、黒い犬は「グワォッ!! ワンっ!!」と吠え、白い犬は、不満そうに霜月を見つめていた。
「……いや、もう無くなったんだ。しばらく待たないと、さっきのは出てこないぞ」
と、霜月は、空になった袋を振った。開口部からは、カスしか出てこなかった。
2匹(特に黒い方)は、不満そうに唸っていたが、やがて、「じゃ、お前が暇つぶしに遊べや」とでも言うように、全力でダッシュし始めた。
「こら! 待てってば!!」
2匹はあっという間に、遠くに行ってしまった。
霜月は「あ~~もう!!」と叫び、2匹を全力で追いかけ始めた。
***
「……という夢を見てな。起きた後、しばらく爆笑してた」
と、スカーレットは笑いながら、今朝の事を話していた。
時刻は昼間で、スカーレットと由木と霜月は、コーラル・ステーションの食堂で、昼食を取っていた。
由木は「んぐッ……! ふっ……!」と、俯いてブルブル震えながら、笑いをこらえていた。
トレイには、紅茶が入った紙コップがあったが、もし飲みながら今の話を聞いてたら、間違いなく噴き出していただろう。
「いや、あの……俺は振り回される飼い主か何かですか……?」
由木とは対照的に、霜月は引きつった苦笑いしか出来なかった。
「当たってるだろ? 今のお前達に」
「……いや、そうかもしれないですが……。何かイヤだなぁ……。
そもそも、犬なんて可愛らしいモンじゃないでしょ、あの2人……」
海動と真上が入隊した時、霜月とスカーレットは、「お目付け役」を垂柳から言い渡された。
……のだが、霜月は実力と性格の両面で、スカーレット程2人を掌握できないので、「振り回されながらも、妥協案を出す」のが基本だった。
更にスカーレットは霜月に、「お前のレベルアップのために、あの2人とトレーニングの時間が被った時は、合同でやれ」と指示していた。
海動と真上も、常にカイザーで出撃できる訳では無いため、「面白い退屈しのぎ」にと、霜月とは頻繁に模擬戦をしていた。
もちろん霜月の方が弱いが、そこまで大きな差でも無いし、霜月以外の隊員は、スカーレットを除けば、ロクに相手にならないので、2人共何だかんだ、楽しそうにはしていた。
「大型犬じゃなくて、狼とか黒ヒョウに襲われてる気分ですよ……」
「なら、その『狼と黒ヒョウ』に狩られんよう、早く対等な実力にならねばな。
お前は……うーむ……何だろうな。……銀色のポメラニアンか?」
「……せめて、大型犬にして下さい」
「ぐふぅっ! ……す、すみませんっ……!」
由木は顔を伏せ、涙を指で拭い、スカーレットは「分かった、分かった」と言いつつ、
(……ま、実はお前が、一番あの2人と上手くいってるんだがな)
と、微笑しながら、紙コップに入った、残りのコーヒーをすすったのだった。
Fin.
【あとがき】
前から書きたかったネタ、ようやく書けました。
夢主は何だかんだ海動にも好かれてます(友情的に)。
夢主が何で「銀色の犬」なのかは、銀髪だからです(設定画をご覧ください)。
一応ギャグで犬に例えましたが、夢主を動物に例えると、何が一番合うかは決めてません。
あと前も書きましたが、夢主とスカーレット大尉は、士官学校時代からの付き合いなので、
夢主への二人称は、あえて「貴様」ではなく「お前」にしてます。
今回BL要素ありません(ちょっぴり匂わせ程度)
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何も物が無い、真っ暗な空間。その中に、霜月と、2匹の大型犬がいた。
2匹の犬は、グレートピレニーズと同じくらい大きい、雑種だった。
一方の犬は、体毛は黒で、毛並みは逆立っていた。霜月の周りを、血気盛んに走り回っている。
もう一方の犬は、体毛は白く、毛並みは長いウェーブだ。基本は霜月の近くで、クールにお座りをしているが、たまに霜月にじゃれついていた。
2匹とも、目付きは悪かったが、どこか愛嬌があった。
すると突然、黒い犬が、霜月に跳びかかった。勢いと重さで、霜月は仰向けに倒れた。
「ガウッ! ワオォォン!!」
「こらっ! 海動! 噛むな!」
「……ばふっ」
「真上も踏み踏みするな! ……あー、もしかして、遊びたいのか!? ほら!!」
と、霜月は、もみくちゃにされながらも、フェルトで出来た、おもちゃの槍を取り出した。
ブリューナクの十文字槍を、可愛くデフォルメしたデザインだった。
霜月が槍をぶんぶん振ると、2匹は目を輝かせ、槍を前足で蹴ったり、穂先に噛みついた。
2匹はかなりパワーがあるのか、霜月は何度も引っ張れたり、タックルされたりして、体制を崩しそうになった。
しばらくは、楽しそうに暴れていた2匹だったが、やがて飽きたのか、遊ぶのを止めた。
そして、霜月を睨みながら、「グルルルル……」と唸り始めた。
「……お腹が減ったのか!? ほら、あげるから!!」
そう言うと、霜月はどこからか、ドックフードを取り出した。袋には、カイザーがプリントされている。
霜月は、いつの間にか現れた2つの皿に、ドックフードを山盛りにすると、2匹の犬はすぐさま、夢中でムシャムシャと食べ始めた。
2匹はあっという間に平らげ、皿は空になった。
だが、量が足りなかったのか、黒い犬は「グワォッ!! ワンっ!!」と吠え、白い犬は、不満そうに霜月を見つめていた。
「……いや、もう無くなったんだ。しばらく待たないと、さっきのは出てこないぞ」
と、霜月は、空になった袋を振った。開口部からは、カスしか出てこなかった。
2匹(特に黒い方)は、不満そうに唸っていたが、やがて、「じゃ、お前が暇つぶしに遊べや」とでも言うように、全力でダッシュし始めた。
「こら! 待てってば!!」
2匹はあっという間に、遠くに行ってしまった。
霜月は「あ~~もう!!」と叫び、2匹を全力で追いかけ始めた。
***
「……という夢を見てな。起きた後、しばらく爆笑してた」
と、スカーレットは笑いながら、今朝の事を話していた。
時刻は昼間で、スカーレットと由木と霜月は、コーラル・ステーションの食堂で、昼食を取っていた。
由木は「んぐッ……! ふっ……!」と、俯いてブルブル震えながら、笑いをこらえていた。
トレイには、紅茶が入った紙コップがあったが、もし飲みながら今の話を聞いてたら、間違いなく噴き出していただろう。
「いや、あの……俺は振り回される飼い主か何かですか……?」
由木とは対照的に、霜月は引きつった苦笑いしか出来なかった。
「当たってるだろ? 今のお前達に」
「……いや、そうかもしれないですが……。何かイヤだなぁ……。
そもそも、犬なんて可愛らしいモンじゃないでしょ、あの2人……」
海動と真上が入隊した時、霜月とスカーレットは、「お目付け役」を垂柳から言い渡された。
……のだが、霜月は実力と性格の両面で、スカーレット程2人を掌握できないので、「振り回されながらも、妥協案を出す」のが基本だった。
更にスカーレットは霜月に、「お前のレベルアップのために、あの2人とトレーニングの時間が被った時は、合同でやれ」と指示していた。
海動と真上も、常にカイザーで出撃できる訳では無いため、「面白い退屈しのぎ」にと、霜月とは頻繁に模擬戦をしていた。
もちろん霜月の方が弱いが、そこまで大きな差でも無いし、霜月以外の隊員は、スカーレットを除けば、ロクに相手にならないので、2人共何だかんだ、楽しそうにはしていた。
「大型犬じゃなくて、狼とか黒ヒョウに襲われてる気分ですよ……」
「なら、その『狼と黒ヒョウ』に狩られんよう、早く対等な実力にならねばな。
お前は……うーむ……何だろうな。……銀色のポメラニアンか?」
「……せめて、大型犬にして下さい」
「ぐふぅっ! ……す、すみませんっ……!」
由木は顔を伏せ、涙を指で拭い、スカーレットは「分かった、分かった」と言いつつ、
(……ま、実はお前が、一番あの2人と上手くいってるんだがな)
と、微笑しながら、紙コップに入った、残りのコーヒーをすすったのだった。
Fin.
【あとがき】
前から書きたかったネタ、ようやく書けました。
夢主は何だかんだ海動にも好かれてます(友情的に)。
夢主が何で「銀色の犬」なのかは、銀髪だからです(設定画をご覧ください)。
一応ギャグで犬に例えましたが、夢主を動物に例えると、何が一番合うかは決めてません。
あと前も書きましたが、夢主とスカーレット大尉は、士官学校時代からの付き合いなので、
夢主への二人称は、あえて「貴様」ではなく「お前」にしてます。
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