【VS版】プロローグ
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真上はパイルダーをカイザーの頭部にセットし直し、スカルパイルダーから降り、キャットウォークを歩いていった。
その途中、真上とすれ違った研究員達の目は――異質な物を見ているかのようだった。
俺もブリューナクから降り、キャットウォークの途中で、真上と合流した。
――ただ、真上は僅かに眉をひそめ、右手のひらを少しだけ動かし、じっと見ていた。
「真上……何か違和感があるのか? 少しでも不調があるなら、診てもらった方がいいぞ……?」
「いや……問題無い。むしろ、今まで乗った小型戦闘機の中で、一番爽快だったくらいだ」
「そ、そうか……。射撃中も、炎の痛みは無かったのか?」
「無いな。あれ以降は消えた。……何だ、お前こそ成功者が出た割には、浮かない顔だな」
「いや、違うんだ。嬉しいんだけど……。それ以上に、何も無くて本当によかった……」
……実験が終わった時、心の底からホッとした。無傷で済んだのなら、それが一番だからな……。
今まで実験に失敗したパイロット達を見てきたから、余計そう感じるのかもしれない。
真上は数秒、目を瞬かせて俺を見ていけど、
「……お前さっき、何か言いかけてただろう。……俺が失敗したら、どうするつもりだった?」
「ああ……それはもちろん、治療費を全額払おうかと……」
……それくらい、当たり前じゃないか?
いくら真上が了承したとはいえ、命の恩人を廃人にさせてしまうんだからな……。
幸い俺の給料は、ブリューナクに搭乗する分の特別報酬も上乗せされているから、同階級の中尉の中でも、高めになっていた。
今は完治させる方法は無いけれど、時が経てば、方法が見つかるかもしれないしな……。
真上は無言で、まだ俺の事を見続けていた。
……もしかして、「金で解決すればいい」って受け取られたか……?
だとしたらマズイ。俺は謝ろうとしたけど――そこで、ハンドモバイルが鳴った。穿月教授からだった。
「2人共、早く 監視室(こっち)へ戻ってきて。書類手続きと、ガンコントローラーの調整をしたいから」
穿月教授はとても嬉しそうで、ウキウキしていた。
そりゃ当然か。教授が一番、このプロジェクトに賭ける想いは強いだろうしな……。
真上は「行くぞ」と、さっさと歩いていった。
――その表情には、不快感は全く無かった。謝らなくても、大丈夫か……?
***
監視室に入ると、モニターの1つに、事務次官が映っていて、教授の助手と話していた。もう「成功した」って報告は受けていたようで、いつもより晴れやかな顔になっていた。
俺は助手の人と交代して、今後の打ち合わせを行った。
話がまとまり、真上のところへ行くと、ちょうど書類の記入が終わったようだった。
俺はさっきの決定事項を、真上に話し始めた。
「まず階級からなんだが……。特務少尉からのスタートだ。
お前は強いけど、訓練校で教育を受けてない以上、すまないが、正規の階級は……」
「構わん。カイザーに乗って、それに見合うだけの報酬があれば、別にいい」
「そうか……。まぁ、お前の事だから、すぐに階級は上がると思うな。
次に、配属だが……。第2のパイロットが決まるまでは、ウイングルを所有するグレンファルコン隊と、俺のブルーイーグル隊と共に、任務をする事になった」
真上は少し、目を見開いた。
「どちらの隊に加入するかは、戦況によって、その都度変わる感じだな。……そういえば、ウイングルについては、もう知ってるよな?」
「ああ。カイザーのアシストロボットだろう」
「そうだ。で、グレンファルコン隊とは、今後ウイングルとの連携があるから、当然として……。
俺の隊とも、そうなんだ。今後はブリューナクとカイザーが、組まなきゃいけない程、敵の規模が大きくなる可能性があるからな……」
最近では、エイリアンの襲来やAI軍の発展で、WSO軍や国連軍が半壊、下手すれば全滅する、という事件が増えてきた。
そのため、陸はカイザーとウイングルが、空はブリューナクで応戦し、早期に鎮圧する必要があった。
「まぁ、お前が第2パイロットと共に、独立部隊を持つまでの話だけどな。
……けど、お前が一時的にでも加入してくれるのは、大助かりだ。受けてくれるか?」
真上はフッと笑った。
「当然だ。……やはり、この仕事を受けて正解だったな。これから、とても楽しくなりそうだ」
「ならよかった。……それと、俺、お前の上官になるからな? その辺考えて、発言してくれ」
「……分かりました。これからは敬語で話した方がいいでしょうか、霜月中尉?」
「……やっぱいいや……」
口の端を上げながら、敬語を使う真上に、俺は寒気が走った。
……階級によっての規律は叩き込むべきだけど、真上は例外でいいか……。
無理に叩き込んだら逆に悪化しそうだし、最低限の礼儀は守れてるし……。
とそこへ、穿月教授が、軍服一式が入った袋を持ってやってきた。
「せっかくだから、ここで合わせておいた方がいいわ」と言われ、真上は教授の部下の案内で、更衣室に向かった。
数分後、真上は俺と同じ軍服に身を包み、帰ってきた。
……白のコートのイメージが強かったけど、黒も似合うな……。
2丁拳銃を腰につけ、海兵隊の軍服に身を包んだ真上は、想像していたより、しっくりくる姿だった。
「それじゃあ……これからよろしく、真上」
握手なんて真上らしくないだろうから、俺は微笑してそう言った。
真上も「ああ」と、フッと笑い返すだけだった。……けど真上には、これくらいで丁度いいか……。
***
……そんな訳で、俺はしばらく真上とコンビのような形で、任務をする事になったけど……。
後々「アイツ」も採用され、デスカプリース隊が発足した後、
「実力はともかく、性格で組むなら、お前の方が良かった」
と真上に愚痴られる事になるとは、思っていなかった……。
fin.
【あとがき】
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
0話は「夢主とその愛機が加わった事で、原作からどう変わったか」と、「夢主と原作キャラ達との関係性」の説明が中心でした。
あと夢主と真上が一時的にコンビ組むオチになってますが、ちゃんと真上の一番の相棒は海動になる予定なので、ご安心ください。
【補足】※読まなくてもいいです
●3ページ目
・夢主の疲労は、「9割の人には隠せてはいるけど、残り1割の、勘が鋭い人は察してる」って感じです。
●6ページ目
・真上の最初の頃の階級を、特務少尉と勝手に捏造しました。
いや、ヴァーサス版って海動が採用されてから1話まで1年経ってるみたいなので……。
ならその間に階級上がってても不思議じゃないなと。
・「夢主の隊が空戦担当っていうけど、カイザーも空戦出来るやんけ」と突っ込まれそうですが、
原作1巻読んだら、ウイング・クロスが発明されたの、奇械島の直前っぽかったので、この段階では陸戦での想定だったって事で……。
その途中、真上とすれ違った研究員達の目は――異質な物を見ているかのようだった。
俺もブリューナクから降り、キャットウォークの途中で、真上と合流した。
――ただ、真上は僅かに眉をひそめ、右手のひらを少しだけ動かし、じっと見ていた。
「真上……何か違和感があるのか? 少しでも不調があるなら、診てもらった方がいいぞ……?」
「いや……問題無い。むしろ、今まで乗った小型戦闘機の中で、一番爽快だったくらいだ」
「そ、そうか……。射撃中も、炎の痛みは無かったのか?」
「無いな。あれ以降は消えた。……何だ、お前こそ成功者が出た割には、浮かない顔だな」
「いや、違うんだ。嬉しいんだけど……。それ以上に、何も無くて本当によかった……」
……実験が終わった時、心の底からホッとした。無傷で済んだのなら、それが一番だからな……。
今まで実験に失敗したパイロット達を見てきたから、余計そう感じるのかもしれない。
真上は数秒、目を瞬かせて俺を見ていけど、
「……お前さっき、何か言いかけてただろう。……俺が失敗したら、どうするつもりだった?」
「ああ……それはもちろん、治療費を全額払おうかと……」
……それくらい、当たり前じゃないか?
いくら真上が了承したとはいえ、命の恩人を廃人にさせてしまうんだからな……。
幸い俺の給料は、ブリューナクに搭乗する分の特別報酬も上乗せされているから、同階級の中尉の中でも、高めになっていた。
今は完治させる方法は無いけれど、時が経てば、方法が見つかるかもしれないしな……。
真上は無言で、まだ俺の事を見続けていた。
……もしかして、「金で解決すればいい」って受け取られたか……?
だとしたらマズイ。俺は謝ろうとしたけど――そこで、ハンドモバイルが鳴った。穿月教授からだった。
「2人共、早く 監視室(こっち)へ戻ってきて。書類手続きと、ガンコントローラーの調整をしたいから」
穿月教授はとても嬉しそうで、ウキウキしていた。
そりゃ当然か。教授が一番、このプロジェクトに賭ける想いは強いだろうしな……。
真上は「行くぞ」と、さっさと歩いていった。
――その表情には、不快感は全く無かった。謝らなくても、大丈夫か……?
***
監視室に入ると、モニターの1つに、事務次官が映っていて、教授の助手と話していた。もう「成功した」って報告は受けていたようで、いつもより晴れやかな顔になっていた。
俺は助手の人と交代して、今後の打ち合わせを行った。
話がまとまり、真上のところへ行くと、ちょうど書類の記入が終わったようだった。
俺はさっきの決定事項を、真上に話し始めた。
「まず階級からなんだが……。特務少尉からのスタートだ。
お前は強いけど、訓練校で教育を受けてない以上、すまないが、正規の階級は……」
「構わん。カイザーに乗って、それに見合うだけの報酬があれば、別にいい」
「そうか……。まぁ、お前の事だから、すぐに階級は上がると思うな。
次に、配属だが……。第2のパイロットが決まるまでは、ウイングルを所有するグレンファルコン隊と、俺のブルーイーグル隊と共に、任務をする事になった」
真上は少し、目を見開いた。
「どちらの隊に加入するかは、戦況によって、その都度変わる感じだな。……そういえば、ウイングルについては、もう知ってるよな?」
「ああ。カイザーのアシストロボットだろう」
「そうだ。で、グレンファルコン隊とは、今後ウイングルとの連携があるから、当然として……。
俺の隊とも、そうなんだ。今後はブリューナクとカイザーが、組まなきゃいけない程、敵の規模が大きくなる可能性があるからな……」
最近では、エイリアンの襲来やAI軍の発展で、WSO軍や国連軍が半壊、下手すれば全滅する、という事件が増えてきた。
そのため、陸はカイザーとウイングルが、空はブリューナクで応戦し、早期に鎮圧する必要があった。
「まぁ、お前が第2パイロットと共に、独立部隊を持つまでの話だけどな。
……けど、お前が一時的にでも加入してくれるのは、大助かりだ。受けてくれるか?」
真上はフッと笑った。
「当然だ。……やはり、この仕事を受けて正解だったな。これから、とても楽しくなりそうだ」
「ならよかった。……それと、俺、お前の上官になるからな? その辺考えて、発言してくれ」
「……分かりました。これからは敬語で話した方がいいでしょうか、霜月中尉?」
「……やっぱいいや……」
口の端を上げながら、敬語を使う真上に、俺は寒気が走った。
……階級によっての規律は叩き込むべきだけど、真上は例外でいいか……。
無理に叩き込んだら逆に悪化しそうだし、最低限の礼儀は守れてるし……。
とそこへ、穿月教授が、軍服一式が入った袋を持ってやってきた。
「せっかくだから、ここで合わせておいた方がいいわ」と言われ、真上は教授の部下の案内で、更衣室に向かった。
数分後、真上は俺と同じ軍服に身を包み、帰ってきた。
……白のコートのイメージが強かったけど、黒も似合うな……。
2丁拳銃を腰につけ、海兵隊の軍服に身を包んだ真上は、想像していたより、しっくりくる姿だった。
「それじゃあ……これからよろしく、真上」
握手なんて真上らしくないだろうから、俺は微笑してそう言った。
真上も「ああ」と、フッと笑い返すだけだった。……けど真上には、これくらいで丁度いいか……。
***
……そんな訳で、俺はしばらく真上とコンビのような形で、任務をする事になったけど……。
後々「アイツ」も採用され、デスカプリース隊が発足した後、
「実力はともかく、性格で組むなら、お前の方が良かった」
と真上に愚痴られる事になるとは、思っていなかった……。
fin.
【あとがき】
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
0話は「夢主とその愛機が加わった事で、原作からどう変わったか」と、「夢主と原作キャラ達との関係性」の説明が中心でした。
あと夢主と真上が一時的にコンビ組むオチになってますが、ちゃんと真上の一番の相棒は海動になる予定なので、ご安心ください。
【補足】※読まなくてもいいです
●3ページ目
・夢主の疲労は、「9割の人には隠せてはいるけど、残り1割の、勘が鋭い人は察してる」って感じです。
●6ページ目
・真上の最初の頃の階級を、特務少尉と勝手に捏造しました。
いや、ヴァーサス版って海動が採用されてから1話まで1年経ってるみたいなので……。
ならその間に階級上がってても不思議じゃないなと。
・「夢主の隊が空戦担当っていうけど、カイザーも空戦出来るやんけ」と突っ込まれそうですが、
原作1巻読んだら、ウイング・クロスが発明されたの、奇械島の直前っぽかったので、この段階では陸戦での想定だったって事で……。
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