【VS版】プロローグ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【side 霜月】
ウィルヘルム少佐から、「真上も承諾した」という連絡を受けてから10日後。俺は穿月研究所のエントランスホールで、真上を待っていた。
本当は教授もここにいる予定だったけど、緊急でリモートでの仕事が入ったらしく、俺1人で真上を待つことになった。
そして約束の時間より早く、真上は現れた。すぐに俺に気づいたようで、こちらに近づいてきた。
「久しぶりだな、真上……」
……3ヶ月前と、全く変わらない姿だった。
「ああ。……相変わらずのようだな、お前も」
「じゃあ、これから穿月教授の所へ、案内する。……けど、その前に……」
俺は真剣に、真上に尋ねた。
「真上……。本当にいいのか? もう、エモーションセンサーがどれだけ危険かは、分かってるよな……?」
あの後聞いた話では、ウィルヘルム少佐は、「カイザーに乗った兵士は、全員が廃人になっている」と念を押したそうだ。
「ああ、構わん。むしろお前に感謝しているくらいだ。こんなに面白そうな仕事は、久々だからな」
「いや、面白そう、って……」
普通こんな仕事、絶対受けたくないだろ……。
WSOのエリート兵だって、依頼を受けた半数は、顔が青ざめて、断っていたくらいなのに……。
呆れたけど、本人が十分理解した上でそう言うのなら、いい……のか?
とにかく監視室へ、真上を連れていく事にした。
中に入った時、何人かが俺達の方を向いたが、すぐに仕事に戻った。実験前の最終チェックで忙しいんだろう。
大きな窓からは、ちょうどカイザーの頭部が見えている。俺達は、窓の前に並んで立った。
「あれが、カイザーか……! 成程、WSOの幹部連中が、匙を投げる訳だ」
さすがの真上も、このロボットには圧倒されていた。
……といっても、教授の部下や一般兵のように、怯えては一切いない。むしろ闘争本能を刺激されたようだ。
静かに炎を宿した目で、楽しそうに、口の端を上げている。
「……完全に諦めている訳では無いけどな……。
一部では『軍の中から候補者を出すのは止めて、外部の傭兵に、報酬を出して依頼すべきでは』って案も出ている……」
「そうなるだろうな。正規軍のエースパイロットより、使い捨てに出来るフリーの傭兵の方が、都合がいいからな」
「そうゆう意図だろうな……。……その、真上。俺もその役割を、お前に押し付ける事になる。
だから、もしお前が失敗したら……」
その時、穿月教授が、俺を呼んだ。どうやら仕事が終わったようだ。
「貴方が真上君ね? 待ってたわよ。もうウィルヘルム少佐と霜月中尉から、大体の説明は受けているわね?」
「ああ」
「じゃあ、早速実験に入りましょうか」
教授はカイザーの髑髏の頭部を、指さした。
「カイザーはまだ動かせないけど、あのコクピット……。スカルパイルダーだけは、操縦出来るわ。
貴方のミッションは、あのパイルダーを、自由自在に動かすこと。
操縦席自体は、汎用型の物だから、説明しなくても分かると思うわ」
教授は「それじゃあ、案内して」と部下に指示した。
俺はさっきの続きを言おうとしたけど、真上はすぐに部下の後を追って、行ってしまった。
***
そして5分後。俺はブリューナクのコックピットに入り、真上もスカルパイルダーの前の座席に乗り込んだ。
俺からも肉眼で、パイルダーの中にいる、真上の姿は見えていた。
成功するんじゃないか、という期待はかなりあった。
……というのも、さっき真上とカイザーを見ていた時、妙な気配を感じたからだ。
真上の死神のような気配と、カイザーの魔神のようなオーラが、結びついて、混じり合っていくような……。
フィクションのような話だけど……。「気のせい」として片付けるには、あまりにリアリティがあった。
……けど無傷ではいかないだろうし、やっぱりあの気配は俺の思い込みで、もし、失敗したら……。
「では、リミッター解除」
教授は始まりを告げた。俺も、監視室にいる研究員達も、固唾を呑んで、その様子を見守っていた。
……ところが、その緊張感を嘲笑うかのように、真上は顔色1つ変えず、操縦桿を操作した。
そしてすぐに、スカルパイルダーは宙へ浮かび上がった。その間も、真上は少しも苦しむ様子を見せていない。
何でだ……!? 推薦した俺ですら、真上が平然としているのを、信じられなかった。すぐにスカルパイルダーへ通信を入れた。
「お、おい真上……!! お前、本当に何とも無いのか……!?」
「特には。……まぁ、少し体が焼けたような感覚はあったが、大したことは無い」
そう言う真上はいつも通り冷静で、やせ我慢をしているような素振りは、全く無かった。
「そ、そんな馬鹿な……!!」
「エモーションセンサーの、故障じゃないのか!?」
「いや、センサーも観測メーターも、全て正常に作動してる!!」
研究員も、唖然としていた。そりゃ当然だ。これまでの惨状を知っていれば、例え成功したとしても、少しは苦悶するだろう、と全員が予想していた。
その間も、スカルパイルダーは自由に飛び回っている。動揺の中、教授だけが、ニヤリと笑った。
「第一段階はクリアね。真上君。ついでにだけど、丁度いい実験台があるわ」
カイザーの正面にある、格納庫の扉が開いた。外は訓練場で、中型の空戦型ロボットが、10体こっちへ飛んできた。
全て反政府組織が使っていたロボットを再利用した物で、AI搭載の自動操縦ロボットだ。普段は兵士達の訓練用に使われていた。
「アレを、全て倒してみて頂戴。それで完全にクリア、って事にするわね。ただし、向こうからも、攻撃してくるから」
「あれだけか? 何だ、もっと多い方がいいんだがな……」
スカルパイルダーも、訓練場へ飛んでいった。
空戦型ロボット達が、次々に機関銃やミサイルで、スカイパイルダーに攻撃していく。
中型だから、実戦で対峙する大型ロボットよりは弱いとはいえ、炎の激痛を耐えながら操作するのなら、こちらの優位は、無くなるも同然だった。
けど真上はスイスイと、攻撃をかわしていく。
逆にスカイパイルダーから放たれたミサイルは全て、一発で命中した。
空戦型ロボット達も動き回り、攻撃が当たらないよう工夫してはいたけど、到底敵う相手じゃなかった。
空戦型ロボットは次々と爆破されていき、呆気なく全滅した。
「やった!! 成功だ……!!」
けど研究員達は、手放しで喜んでいるようでも無かった。……むしろ、全く苦しまなかった真上を、不気味に感じているようだった。
教授だけが唯一、不敵な笑みを浮かべていた。
「これで、第1のパイロットは決まったわね」
ウィルヘルム少佐から、「真上も承諾した」という連絡を受けてから10日後。俺は穿月研究所のエントランスホールで、真上を待っていた。
本当は教授もここにいる予定だったけど、緊急でリモートでの仕事が入ったらしく、俺1人で真上を待つことになった。
そして約束の時間より早く、真上は現れた。すぐに俺に気づいたようで、こちらに近づいてきた。
「久しぶりだな、真上……」
……3ヶ月前と、全く変わらない姿だった。
「ああ。……相変わらずのようだな、お前も」
「じゃあ、これから穿月教授の所へ、案内する。……けど、その前に……」
俺は真剣に、真上に尋ねた。
「真上……。本当にいいのか? もう、エモーションセンサーがどれだけ危険かは、分かってるよな……?」
あの後聞いた話では、ウィルヘルム少佐は、「カイザーに乗った兵士は、全員が廃人になっている」と念を押したそうだ。
「ああ、構わん。むしろお前に感謝しているくらいだ。こんなに面白そうな仕事は、久々だからな」
「いや、面白そう、って……」
普通こんな仕事、絶対受けたくないだろ……。
WSOのエリート兵だって、依頼を受けた半数は、顔が青ざめて、断っていたくらいなのに……。
呆れたけど、本人が十分理解した上でそう言うのなら、いい……のか?
とにかく監視室へ、真上を連れていく事にした。
中に入った時、何人かが俺達の方を向いたが、すぐに仕事に戻った。実験前の最終チェックで忙しいんだろう。
大きな窓からは、ちょうどカイザーの頭部が見えている。俺達は、窓の前に並んで立った。
「あれが、カイザーか……! 成程、WSOの幹部連中が、匙を投げる訳だ」
さすがの真上も、このロボットには圧倒されていた。
……といっても、教授の部下や一般兵のように、怯えては一切いない。むしろ闘争本能を刺激されたようだ。
静かに炎を宿した目で、楽しそうに、口の端を上げている。
「……完全に諦めている訳では無いけどな……。
一部では『軍の中から候補者を出すのは止めて、外部の傭兵に、報酬を出して依頼すべきでは』って案も出ている……」
「そうなるだろうな。正規軍のエースパイロットより、使い捨てに出来るフリーの傭兵の方が、都合がいいからな」
「そうゆう意図だろうな……。……その、真上。俺もその役割を、お前に押し付ける事になる。
だから、もしお前が失敗したら……」
その時、穿月教授が、俺を呼んだ。どうやら仕事が終わったようだ。
「貴方が真上君ね? 待ってたわよ。もうウィルヘルム少佐と霜月中尉から、大体の説明は受けているわね?」
「ああ」
「じゃあ、早速実験に入りましょうか」
教授はカイザーの髑髏の頭部を、指さした。
「カイザーはまだ動かせないけど、あのコクピット……。スカルパイルダーだけは、操縦出来るわ。
貴方のミッションは、あのパイルダーを、自由自在に動かすこと。
操縦席自体は、汎用型の物だから、説明しなくても分かると思うわ」
教授は「それじゃあ、案内して」と部下に指示した。
俺はさっきの続きを言おうとしたけど、真上はすぐに部下の後を追って、行ってしまった。
***
そして5分後。俺はブリューナクのコックピットに入り、真上もスカルパイルダーの前の座席に乗り込んだ。
俺からも肉眼で、パイルダーの中にいる、真上の姿は見えていた。
成功するんじゃないか、という期待はかなりあった。
……というのも、さっき真上とカイザーを見ていた時、妙な気配を感じたからだ。
真上の死神のような気配と、カイザーの魔神のようなオーラが、結びついて、混じり合っていくような……。
フィクションのような話だけど……。「気のせい」として片付けるには、あまりにリアリティがあった。
……けど無傷ではいかないだろうし、やっぱりあの気配は俺の思い込みで、もし、失敗したら……。
「では、リミッター解除」
教授は始まりを告げた。俺も、監視室にいる研究員達も、固唾を呑んで、その様子を見守っていた。
……ところが、その緊張感を嘲笑うかのように、真上は顔色1つ変えず、操縦桿を操作した。
そしてすぐに、スカルパイルダーは宙へ浮かび上がった。その間も、真上は少しも苦しむ様子を見せていない。
何でだ……!? 推薦した俺ですら、真上が平然としているのを、信じられなかった。すぐにスカルパイルダーへ通信を入れた。
「お、おい真上……!! お前、本当に何とも無いのか……!?」
「特には。……まぁ、少し体が焼けたような感覚はあったが、大したことは無い」
そう言う真上はいつも通り冷静で、やせ我慢をしているような素振りは、全く無かった。
「そ、そんな馬鹿な……!!」
「エモーションセンサーの、故障じゃないのか!?」
「いや、センサーも観測メーターも、全て正常に作動してる!!」
研究員も、唖然としていた。そりゃ当然だ。これまでの惨状を知っていれば、例え成功したとしても、少しは苦悶するだろう、と全員が予想していた。
その間も、スカルパイルダーは自由に飛び回っている。動揺の中、教授だけが、ニヤリと笑った。
「第一段階はクリアね。真上君。ついでにだけど、丁度いい実験台があるわ」
カイザーの正面にある、格納庫の扉が開いた。外は訓練場で、中型の空戦型ロボットが、10体こっちへ飛んできた。
全て反政府組織が使っていたロボットを再利用した物で、AI搭載の自動操縦ロボットだ。普段は兵士達の訓練用に使われていた。
「アレを、全て倒してみて頂戴。それで完全にクリア、って事にするわね。ただし、向こうからも、攻撃してくるから」
「あれだけか? 何だ、もっと多い方がいいんだがな……」
スカルパイルダーも、訓練場へ飛んでいった。
空戦型ロボット達が、次々に機関銃やミサイルで、スカイパイルダーに攻撃していく。
中型だから、実戦で対峙する大型ロボットよりは弱いとはいえ、炎の激痛を耐えながら操作するのなら、こちらの優位は、無くなるも同然だった。
けど真上はスイスイと、攻撃をかわしていく。
逆にスカイパイルダーから放たれたミサイルは全て、一発で命中した。
空戦型ロボット達も動き回り、攻撃が当たらないよう工夫してはいたけど、到底敵う相手じゃなかった。
空戦型ロボットは次々と爆破されていき、呆気なく全滅した。
「やった!! 成功だ……!!」
けど研究員達は、手放しで喜んでいるようでも無かった。……むしろ、全く苦しまなかった真上を、不気味に感じているようだった。
教授だけが唯一、不敵な笑みを浮かべていた。
「これで、第1のパイロットは決まったわね」