｢よお、美波。｣
『お、来たか。』


重い音を響かせながら開いたドアの向こうに、見慣れた金髪の青年がいた。この学校に入る際に、美波の兄としていてくれたディーノだ。いつも通りラフな格好で、後ろにはロマーリオが付いている。


｢なんだよ、呼び出したりして。｣
『いや……言っといた方がいいかと思ってな。』
｢ツナたちの事か？｣
『ああ。』


短い会話をしているうちに、またドアが開いた。そしてドアを開いて前を向くなり、茶髪の方が声をあげた。


｢……えっ⁉ディーノさん⁉｣
｢よぉ、弟分。久し振りだな。｣
｢あれ……坎河原さんもいる。｣


今日見かけた赤い髪と茶髪の男の子2人。茶髪の子は、ボンゴレファミリー10代目ボス候補･沢田綱吉。赤髪の子は、シモンファミリー10代目ボス・古里炎真。後ろについてきたのは、ボンゴレファミリーの守護者とシモンファミリーの守護者たちだろう。ボンゴレファミリーは前章で綱吉が説明したとおり個性豊かなメンバーである。一方、シモンファミリーもボンゴレファミリーの守護者とよく似ている部分が多い。晴に対なるのは森の炎。その炎を駆使する青葉紅葉は了平と同じで拳を使って戦う。他にも葉っぱを自由に操れる事も可能。雷に対なるのは山の炎。その炎を駆使する大山らうじは大地を自由自在に操れる。嵐に対なるのは沼の炎。その炎を駆使するSHITT.P！はなんでも発酵させることができる。雨に対なるのは川の炎。その炎を駆使する水野薫は水を自由に操れる。霧に対なるのは砂漠の炎。その炎を駆使する加藤ジュリーは霧の属性とほぼ同じ原理で操れる。雲に対なるのは氷河の炎。その炎を駆使する鈴木アーデルハイトはそのまま、水を凍らせて氷を使う。大空に対なるのは重力の炎。その炎を駆使するボスの炎真は星を出したり、ブラックホールを出したりと重力を自由に操る。シモンファミリーはボンゴレの同盟ファミリーの中でも小さなファミリーだが、ボンゴレの持つ7属性と対なる大地の7属性を駆使して戦う事が出来る。同じ属性同士がどんなに対立していても、力を合わせてしまえば最強なコンビになるのだ。


『……、！』


直感で何かを察した美波はフッと手をかざすと短剣を握る。その短剣をスッとある一定の角度に構えると、何かがキキンッとその短剣に当たった。


｢｢｢⁉｣｣｣
｢ししっ、さっすがー。“緋色の騎士”って呼ばれるだけはあるね。｣
『……褒め言葉として受け取っておく。』


はぁ、と一つ溜息をつくと、美波は短剣を異空間のストックへとしまった。他にも独立暗殺部隊ヴァリアーを呼んでおいたのだ。もちろん、ヴァリアーのボスであるXANXUSは出席しないと分かっていたが。


｢う゛おぉぉぉおおい゛！うちのボスは生憎欠席だぁ！｣
『分かってるから言わなくていい。』
｢んだとぉ⁉｣
｢まーまー、いいじゃねーか。よろしくな、坎河原！｣
『……。軽いな、お前。』


爽やかなオーラを醸し出しながら手を差し出した山本。美波は渋々その手を握り返す。……と同時に、銃声が響いた。その銃弾は、山本の足元に命中した。


｢ぅおっ！｣
｢その汚らわしい手で、愛しい美波に触れないで下さい。｣