緋色の騎士
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すぐにディーノは美波から視線を外す。すると、ディーノよりも早く美波が地を蹴った。
「あっ、おい……!」
ディーノの制止の声も聞かずに、美波はラニュラミーファミリーの群れに突っ込んでいく。しかし、脇腹の傷が響くらしくすぐに体制を崩してしまう。
「おいっ!」
「とどめだぁ!」
グッ、と瞳を閉じる美波。だが、ガキンッと鈍い音が響いた。
「「えっ……⁉」」
先ほどまで短剣だった剣が、長剣に変わっていた。別に鞘が腰に備わっているわけではない。簡単にいえば丸腰だ。その丸腰の状態で何故武器が次々と姿を変えて登場するのか。答えは簡単だった。
『……真相を、教えてやろう。』
「真相、だと?」
キラッイレは不可解な表情を浮かべる。刀を受け止めている美波は、ニヤリと笑った。
『その事件の名前は、“大量惨殺失踪事件”。お前らはこの名前に疑問を持たないのか?』
「疑問だと?」
『……“失踪”という言葉に、首をかしげたことはないのか?』
「確かに不可解だな……。死んだはずの遺体が消える訳がない。だが、その事件は迷宮入りに終わったはずだぜ?なぜなら……遺体も、犯人もその場にはいなくて、血痕だけが無残に残っていたらしいからな。」
『ああ……その通りだ。遺体も犯人も、その場にはいなかった。当時、あの開発所に勤めていたのは約17名だ。』
ディーノが美波につけたしすると、美波は満足そうに頷いた。そう……“大量惨殺失踪事件”は未解決のまま、迷宮入りに終わったのだ。しかし、世間が今まで触れることはなかった。なぜなら、真相をしればその犯人が夜殺しにくる、というデタラメな噂が流れていたからだ。
『そう考えれば、答えは絞れるだろう。』
「ハッ……どうせ全員海にでも投げ捨てたんだろ。」
「それは不可能だ。麻酔なしの手術を受けて痛みが残る3歳の幼い子供が、大の大人を十何人も海に捨てられるわけがない!」
ディーノが声を荒げる。美波は「もうわかっただろう。」と言わんばかりの表情をキラッイレに見せた。
『跳ね馬の言うとおり……当時3歳だった私が、数十人の大人を抱えて海に投げ捨てられるわけがない。そもそも、あの開発所で残っていたのは唯一私のみ。しかも、火災の跡や荒らされた形跡もない』
「……っああああもう、じれってえなあ! さっさと教えやがれ!」
『っぐ!』
焦らしているうちにイライラが募ったキラッイレは渾身の一振りを美波にお見舞いする。しかし、顔をゆがめながらも美波は持ちこたえた。
『っ……じゃあどうしたか。……大地の7属性さ。』
「大地の7属性だと?聞いたことねーよ」
『……星は、自らの重力に負けると何になるか。』
「…………ブラックホールか!」
美波の問いに、ディーノが答えた。それにコクリと頷くと、美波の持っていた長剣が槍へと変化した。
「なにっ⁉」
『そして私は“換装”という魔法を開発所にて授かった。』
換装というのは、自分の中にある異空間に武器をストックする魔法の事だ。だから丸腰でも戦闘が可能であり、相手が使う武器によってその形状は変化させることができる。
『ボンゴレファミリーの7属性は大空、晴、雷、嵐、雨、霧、雲。シモンファミリーの7属性は重力、森、山、沼、川、砂漠、氷河だからな。』
そう言って美波はスッとリングを取り出す。そして、炎をともした。
『これからお前達にも……開発所の人間と同じ運命を歩ませてやる。』
リングから、無数の球体が姿を現す。そしてその球体は自らの殻を破った。
「っ、うあああああっ!」
『ブラックホールは、超重力の穴だ。入ったら脱出はもちろんの事、生きて帰る事も不可能だ。』
ラニュラミーファミリーの男たちが、どんどんと無数のブラックホールの中に吸い込まれていく。そして最後の一人を吸い込むと、美波はそのブラックホールたちを閉じた。
『跳ね馬。』
「っ!」
急に異名を呼ばれ、ディーノはハッと我に返る。そこには、幼いような純粋な瞳が自分を覗き込んでいた。
『お前が機転を利かせてくれたお陰で助かった。ありがとう。』
「……いや、気にすんなって!それより、どうしてこんなとこにいたんだ?日本 にでも行こうとしてたのか?」
『ああ……いや、ラニュラミーファミリーに追われてたからな……。』
そう……ここは森の中と言っても、近くには空港がある。暫く歩けば空港などすぐについてしまう。ディーノは美波の寂しそうな瞳を見ると、無意識のうちに美波の頭に手を乗っけていた。
「そうか。ちょうどオレも日本に用があってな。空港ならすぐ近くだし、日本に飛ぶか?」
『え……。いや、悪いだろう。』
「いいから!なっ?」
美波は遠慮をするが、ディーノが引いてくれない。しかも、ディーノの笑みは、何処となく美波の兄と重なった。自分が生まれる前に兄は吉岡開発所に連れて行かれ、その開発所で命を落としたのだ。兄の顔を知ったのは、美波が3歳の時……ちょうどあの事件を起こした年齢のとき。兄は5歳だった。どんなに痛くても、辛くても、まるで太陽のように笑っていた。そんな兄が、美波にとって一番の居場所でもあった。しかし、そんな平穏な毎日が続くわけがない。あっさりと願いが砕かれ、美波は理性を失ってしまったのだ。
「どうした?」
『ッ⁉』
感傷に浸っていた美波に、暖かい声がかけられる。美波は肩をビクリと震わせた。
『なんでもない。……そうか、日本か。行ってみたいものだ。』
「おし、決まりだな。そんじゃロマーリオ、飛行機の手配頼む。」
「了解。」
ディーノから命を受けると、ロマーリオはザクザクと森の奥に消えていく。多分キャバッローネの屋敷も近いのだろう。そんなことをぼんやり考えていた美波に、ディーノは目線を合わせて言った。
「オレは“跳ね馬”ディーノだ。キャバッローネファミリー10代目ボスをやってる。今ボンゴレファミリー10代目ボス候補のツナ……あ、いや、沢田綱吉の兄弟子だぜ。」
『……“緋色の騎士”の坎河原美波。フリーの殺し屋だ。さっきもキラッイレに言った通り大空の7属性と大地の7属性を使う。特技は“換装”。使う武器は多種多様。』
「美波、か……いい名前だな。よろしくな、美波。」
『こちらこそよろしく、ディーノ。』
急に話を振られ驚く美波だったが、すぐに自分を取り戻し自己紹介を済ませた。ディーノから差し出された手を、美波は素直に握り返す。他愛もない会話をしていると、上空からバララララ…という音が聞こえた。
「お、ついたみてーだな。行くか。」
『ああ。』
ディーノに手を引かれ、美波は足早にディーノの背中について行った。
To be continued..
「あっ、おい……!」
ディーノの制止の声も聞かずに、美波はラニュラミーファミリーの群れに突っ込んでいく。しかし、脇腹の傷が響くらしくすぐに体制を崩してしまう。
「おいっ!」
「とどめだぁ!」
グッ、と瞳を閉じる美波。だが、ガキンッと鈍い音が響いた。
「「えっ……⁉」」
先ほどまで短剣だった剣が、長剣に変わっていた。別に鞘が腰に備わっているわけではない。簡単にいえば丸腰だ。その丸腰の状態で何故武器が次々と姿を変えて登場するのか。答えは簡単だった。
『……真相を、教えてやろう。』
「真相、だと?」
キラッイレは不可解な表情を浮かべる。刀を受け止めている美波は、ニヤリと笑った。
『その事件の名前は、“大量惨殺失踪事件”。お前らはこの名前に疑問を持たないのか?』
「疑問だと?」
『……“失踪”という言葉に、首をかしげたことはないのか?』
「確かに不可解だな……。死んだはずの遺体が消える訳がない。だが、その事件は迷宮入りに終わったはずだぜ?なぜなら……遺体も、犯人もその場にはいなくて、血痕だけが無残に残っていたらしいからな。」
『ああ……その通りだ。遺体も犯人も、その場にはいなかった。当時、あの開発所に勤めていたのは約17名だ。』
ディーノが美波につけたしすると、美波は満足そうに頷いた。そう……“大量惨殺失踪事件”は未解決のまま、迷宮入りに終わったのだ。しかし、世間が今まで触れることはなかった。なぜなら、真相をしればその犯人が夜殺しにくる、というデタラメな噂が流れていたからだ。
『そう考えれば、答えは絞れるだろう。』
「ハッ……どうせ全員海にでも投げ捨てたんだろ。」
「それは不可能だ。麻酔なしの手術を受けて痛みが残る3歳の幼い子供が、大の大人を十何人も海に捨てられるわけがない!」
ディーノが声を荒げる。美波は「もうわかっただろう。」と言わんばかりの表情をキラッイレに見せた。
『跳ね馬の言うとおり……当時3歳だった私が、数十人の大人を抱えて海に投げ捨てられるわけがない。そもそも、あの開発所で残っていたのは唯一私のみ。しかも、火災の跡や荒らされた形跡もない』
「……っああああもう、じれってえなあ! さっさと教えやがれ!」
『っぐ!』
焦らしているうちにイライラが募ったキラッイレは渾身の一振りを美波にお見舞いする。しかし、顔をゆがめながらも美波は持ちこたえた。
『っ……じゃあどうしたか。……大地の7属性さ。』
「大地の7属性だと?聞いたことねーよ」
『……星は、自らの重力に負けると何になるか。』
「…………ブラックホールか!」
美波の問いに、ディーノが答えた。それにコクリと頷くと、美波の持っていた長剣が槍へと変化した。
「なにっ⁉」
『そして私は“換装”という魔法を開発所にて授かった。』
換装というのは、自分の中にある異空間に武器をストックする魔法の事だ。だから丸腰でも戦闘が可能であり、相手が使う武器によってその形状は変化させることができる。
『ボンゴレファミリーの7属性は大空、晴、雷、嵐、雨、霧、雲。シモンファミリーの7属性は重力、森、山、沼、川、砂漠、氷河だからな。』
そう言って美波はスッとリングを取り出す。そして、炎をともした。
『これからお前達にも……開発所の人間と同じ運命を歩ませてやる。』
リングから、無数の球体が姿を現す。そしてその球体は自らの殻を破った。
「っ、うあああああっ!」
『ブラックホールは、超重力の穴だ。入ったら脱出はもちろんの事、生きて帰る事も不可能だ。』
ラニュラミーファミリーの男たちが、どんどんと無数のブラックホールの中に吸い込まれていく。そして最後の一人を吸い込むと、美波はそのブラックホールたちを閉じた。
『跳ね馬。』
「っ!」
急に異名を呼ばれ、ディーノはハッと我に返る。そこには、幼いような純粋な瞳が自分を覗き込んでいた。
『お前が機転を利かせてくれたお陰で助かった。ありがとう。』
「……いや、気にすんなって!それより、どうしてこんなとこにいたんだ?
『ああ……いや、ラニュラミーファミリーに追われてたからな……。』
そう……ここは森の中と言っても、近くには空港がある。暫く歩けば空港などすぐについてしまう。ディーノは美波の寂しそうな瞳を見ると、無意識のうちに美波の頭に手を乗っけていた。
「そうか。ちょうどオレも日本に用があってな。空港ならすぐ近くだし、日本に飛ぶか?」
『え……。いや、悪いだろう。』
「いいから!なっ?」
美波は遠慮をするが、ディーノが引いてくれない。しかも、ディーノの笑みは、何処となく美波の兄と重なった。自分が生まれる前に兄は吉岡開発所に連れて行かれ、その開発所で命を落としたのだ。兄の顔を知ったのは、美波が3歳の時……ちょうどあの事件を起こした年齢のとき。兄は5歳だった。どんなに痛くても、辛くても、まるで太陽のように笑っていた。そんな兄が、美波にとって一番の居場所でもあった。しかし、そんな平穏な毎日が続くわけがない。あっさりと願いが砕かれ、美波は理性を失ってしまったのだ。
「どうした?」
『ッ⁉』
感傷に浸っていた美波に、暖かい声がかけられる。美波は肩をビクリと震わせた。
『なんでもない。……そうか、日本か。行ってみたいものだ。』
「おし、決まりだな。そんじゃロマーリオ、飛行機の手配頼む。」
「了解。」
ディーノから命を受けると、ロマーリオはザクザクと森の奥に消えていく。多分キャバッローネの屋敷も近いのだろう。そんなことをぼんやり考えていた美波に、ディーノは目線を合わせて言った。
「オレは“跳ね馬”ディーノだ。キャバッローネファミリー10代目ボスをやってる。今ボンゴレファミリー10代目ボス候補のツナ……あ、いや、沢田綱吉の兄弟子だぜ。」
『……“緋色の騎士”の坎河原美波。フリーの殺し屋だ。さっきもキラッイレに言った通り大空の7属性と大地の7属性を使う。特技は“換装”。使う武器は多種多様。』
「美波、か……いい名前だな。よろしくな、美波。」
『こちらこそよろしく、ディーノ。』
急に話を振られ驚く美波だったが、すぐに自分を取り戻し自己紹介を済ませた。ディーノから差し出された手を、美波は素直に握り返す。他愛もない会話をしていると、上空からバララララ…という音が聞こえた。
「お、ついたみてーだな。行くか。」
『ああ。』
ディーノに手を引かれ、美波は足早にディーノの背中について行った。
To be continued..