白月の君といつまでも

-- Spring, about 17 years old
112:Hello kitty?







「ふぅ……久しぶりに視ちゃったなぁ……」


 探偵事務所から帰宅し、風呂から上がった花梨は髪をタオルドライしながらスマホの点滅通知に気づき操作する。


「あ、快斗……♡ と、新ちゃんと……蘭ちゃん、それに……ヒロお兄ちゃん……?」


 通知がたくさんあり、花梨は一つ一つ見ることにした。彼氏の快斗は通知にハートマークが羅列されていたので最後にする。
 快斗とのメッセージは眠る前にして、幸せな気分で眠りたい。

 ……そんなわけで、まずは新一のメッセージからチェックする。

 『無事帰ったか? 連絡しろ』とのことで、帰宅スタンプを送って即終了。

 次に、蘭から届いた『今日は楽しかったよ、ありがとう♡』のメッセージに花梨も『こちらこそ楽しかった~! ありがとう蘭ちゃん♡』と返信。
 文字を打っている途中で、新一から『何も無かったか?』と再び返信がきたため、蘭への返信を中断し『なかった』とだけ送って終わらせた。

 それもすぐに既読になったが、虚無感たっぷりな死んだ目の謎キャラスタンプが追加で送られてきて、花梨の頭の中は“???”である。

 推理してみろというのか、察しろというのか……。
 いくら人の顔色を窺って生きてきた花梨でも、推理は苦手であるし、少ない文脈から正確に相手の気持ちを察することは難しい。

 ……よくわからないから既読だけ付けておいた。

 たまに新一は面倒臭い。
 けれど、今は小さくなって可愛いから大目に見ておこうと花梨は思う。

 そして、諸伏からは『赤井秀一って人、知ってる?』とのメッセージが……。


「……え、あかい……しゅう……? え、あ……」


 諸伏のメッセージに花梨は目を瞬かせる。
 【赤井秀一】という人物に、花梨は心当たりがあった。


「赤井秀一って……あの秀ちゃん……?」


 思いがけず、知っている人の名前が諸伏から出て驚く。
 ……三年以上も前の話だが、花梨は彼とアメリカで出逢っている。

 アメリカのニューヨークで事件に巻き込まれた花梨は、彼に助けてもらった。
 赤井秀一、彼はアメリカ合衆国、司法省に属する連邦捜査局……FBIの捜査官。

 花梨が巻き込まれた事件は子どもの誘拐事件――。

 とある高層ビルの一室で、怪しい宗教団体主催の下、不思議な力……超能力を持つという子どもたちが世界中から強制的に集められ、その能力を発現させるため、試験という名の人体実験が秘かに行われた。

 ……花梨は親戚の子の身代わりで拉致の被害に遭った。

 密閉された小さな実験室に閉じ込められて神経ガスを噴霧され、命の危機を感じた。
 その神経ガスは実は偽りで、高濃度の二酸化炭素だったのだが、大人が子どもたちに「ガスを吸えば死んでしまう」と言って聞かせれば、無垢な子どもたちは信じてしまうもの……。
 低酸素状態に陥った何人かの子どもたちはショック死したと聞いている。

 危機的状況になれば能力が発現するという、教祖の意向で行われた実験だったが、FBIの突入により実験は中止、事件が明るみになった。
 ちょうど花梨が実験室で苦しんでいたその時、救ってくれたのが赤井秀一だったというわけだ。

 救出された花梨は病院へ搬送。入院中、何度か赤井が見舞いに来て、話し相手になってくれた。
 それからというもの、退院後、日本に帰国した花梨に彼から一方的ではあるが、稀に連絡がくる。


「そういえば、この一年くらい連絡がないな……」


 赤井からの連絡は非常にウィットに富んでいる。

 東都に来る以前の花梨はスマホを持っていなかったため、連絡手段がなかった。
 だから彼からのメッセージは、手紙や葉書はもちろん、時に伝書鳩。
 ふいに道行く人から渡された野球ボールに、風に乗って飛んできたハンカチ。通学途中にミニカーが足元に停まって小さなメモが貼ってあったこともあった。

 どのメッセージも全て『Hello kitty』から始まるから“サン〇オかな?”と思い、なぜ自分にハローキティなのか花梨は意味が解らず……。

 そして差し出し人も始めの一年は一体誰なのか知らずにいたが、ある日一度だけ本人が来て、「Hello kitty?」と言われて初めて赤井からの連絡だったんだと気づき、「鈍いにも程がある」と笑われた。
 保護された時もその呼び方で呼ばれていたなと思い出したが、思い出したのは声を聞いた後からで。
 ……赤井の言う通り、鈍いにも程がある。

 そういえば諸伏が入院中、見舞いに行った際に“LUCKY STRIKE”と書かれた煙草がサイドテーブルに置かれていた。
 “ヒロお兄ちゃんは煙草なんて吸わないのに、なんで……?”と違和感があったのだが、今思えば、あれは赤井が置いて行ったものなのかもしれない。
 ……ニューヨークで花梨が入院中、見舞いに来た彼が吸っていたのを見たことがある。

 まさか諸伏と知り合いだったとは……。
 もし諸伏の言う『赤井秀一』が彼ならば、世間は案外狭いなと花梨の口から「ふふっ」と笑みが零れた。


「秀ちゃんか……、元気にしてるのかな……」


 さて、どう返事をしよう……?
 花梨はとりあえず『髪の長い人ですか?』とだけ返信しておいた。
 すぐに既読にならず、忙しいのかなとそのままにしておく。

 残るメッセージは快斗……。


「んと……、あ、もぉ~……」


 快斗からのメッセージを眺め、花梨の口元が弧を描く。

 メッセージには『聞いて♡ 聞いて♡ 愛しの花梨ちゃん♡ 偽物だったから盗むのやめたよー!』とのこと……。
 昨夜は寺井と打ち合わせをし、今日は下見に行くと聞いていたが、下見先でターゲットが偽物だと気づき、大胆にもその偽物との自撮りツーショット写真を送ってきた。

 ……これは、大きなトパーズだろうか……。

 大きな宝石が入ったガラスケースの横で、キッドが不敵に笑っている写真だ。
 彼の顔が偽物のすぐ横にあるから大きさがよくわかった。

 写真は二枚送られてきていて。
 二枚目は室内を絶妙な位置から俯瞰したような写真で、どうやって撮ったのかと感心してしまう。

 花梨は、快斗が盗むターゲットに関して、自分から根掘り葉掘り聞いたりはしない。
 聞いてしまうと巻き込まれて、巻き込まれたら自らの事情も話さなければならないと思ってしまうからだ。

 巻き込むのも巻き込まれるのも、きっとよくない。
 花梨はそこに一線を引いているわけで。

 だが花梨がそう思っていても、快斗は違うのかもしれない。
 ……終わった後でこうして教えてくれるのだから。

 まあ聞くくらいなら……と、現在は受け止めている。

 一体どこに侵入したのかはわからないが、背景を見るに日本の建物ではなさそうで、博物館か美術館、もしくは……。


「……んー? ……さて問題です、ここはどこでしょう……?」


 メッセージは『ここはどこでしょーか?』と続いていて、正解するとバラをお届けします、とも書かれている。


「えぇーっ……突然っ!? 私、推理苦手なのに~っ!」


 こんな時新一なら写真の中の少ないヒントを拾って、すぐ正解してしまうんだろうなと思ったが、残念ながら花梨は推理下手。
 まずは『博物館や美術館ではなさそう』とだけ送る。

 なぜなら俯瞰写真のキッドの背後の隅にガラス扉があり、そこに“OFFICE”という文字、その奥には事務机らしきものがいくつか映っていたから。
 博物館であれば他の展示品も近くにあるだろうし、それは映ってなくて。
 他のヒントとしては偽物の宝石が入ったガラスケースの土台に国旗が描かれているくらいで……。


「ンー……この国旗って……」


 この国旗には見覚えがある。
 つい先日、イングラム公国の女王が日本に来るとかで話題になり、新聞にこの国旗が載っていた。
 確か女王はヨーロッパ最大のトパーズである【クリスタル・マザー】とともに来日。近々大阪へ向かうのだとか――。

 “ピコン”と通知音が鳴って快斗から返信がすぐにきた。
 『そう! 花梨ちゃん賢い♡ 国旗は見つけたかな?』と、ヒントをくれる。


「うーん……博物館でもなく、美術館でもない。そして国旗があって異国の建物……ってことは――」


 わざわざ快斗が『国旗』と書いてくれたのだ、ヒントで間違いない。
 花梨は無言で文字を入力する。


 “大使館?”


 正解かはわからないが、なんとなくそんな気がした。
 推理は苦手でも、最大限ヒントをもらえればなんとか……。

 送信ボタンを押してすぐに「カッカッ」、ベランダ側の窓からなにかが突く音がして、花梨は首をかしげ、窓へと近づく。


「なんだろ……? え……ハト……? かわいい……♡」


 カッカッと鳴り続ける音の元へ向かうと、そこには真っ白な鳩が窓を突いており、花梨は静かに窓を開けた。


「いらっしゃい、ハトさん。お水でも飲む? わっ……ふふふっ♡」


 窓を開きしゃがむと、白い鳩は飛び上がり、花梨の頭に乗っかってくる。


「あははっ、同じ色だから仲間だと思ってくれたの?」


 頭の上でバサバサと翼をはためかせる鳩は、花梨から離れようとしない。
 仕方なく鳩を頭に乗せたまま、水を与えようとキッチンに向かった。


「お腹も空いてるかな? パンも食べる?」


 尋ねると、鳩は肯定するようにまた翼をばたつかせる。


「確か食パンがまだ残って……。ちょっとここで待っててくれる?」


 鳩を一旦椅子の背凭れに乗せてやり、花梨は食器棚から水を入れる皿とパンをのせる皿を取り出す。水を入れ、パンを細かくちぎってそれぞれカウンターテーブルにのせた。
 早速鳩がパンに食いつく。


「おいしい?」


 花梨が尋ねると白い鳩が頷いた気がした。


「ふふっ♡ 羽を休めに来たのね。白い鳩なんて珍しいねー、あれ? 尻尾が切られてる……キミ、あんまり飛べないんじゃないの? っていうか、キミ会ったことあるよね?」


 よく見れば尻尾を切られた白い鳩に既視感がある。
 はて、どこでだろうと思い出すのに、そう時間は掛からなかった。


「おや? 花梨嬢は鳩に詳しいのですか?」

「っ……、キッドさん……! どうりで……」


 カウンターテーブルの背後から聞き慣れた声がして、振り返るとニッと口角を上げる怪盗キッドの姿が――。
 ……窓が開けっ放しだから、部屋に吹き込んだ風で白いマントが揺れている。

 つまり食パンを啄む白い鳩は快斗の鳩。
 花梨は以前快斗の家でこの鳩を見たことがあった。
 とても懐っこくて、狭い中に閉じ込められても大きく鳴いたりしない、奇術に用いる銀鳩だ。


「……もう一羽、羽を休めに来たのですが構いませんか?」

「……構いませんよ? って……それ……」


 キッドがうかがうように首をかしげながら近づいて来るので、花梨は「はい、どうぞ」と両手を広げた。
 するとキッドは花梨の間近までやって来ると“ぽんっ”。気づけばキッドの手には赤いバラの花が二本。


「花梨嬢が正解したので、お持ちしました」

「赤いバラ……」

「ええ、今夜は二本差し上げます」

「二本……? なんだろ……? なにか意味があるの……?」

「フフ、そうですね。なんでしょうね?」


 花梨は知らないが、赤いバラ二本の花言葉は“この世界にはあなたと私、二人だけ”という意味がある。


「……なんだっていいや」

「えぇっ!? ちょ、花梨ドライ過ぎない?」


 興味なさげに告げる花梨の言葉にキッドの素が出てしまった。
 花梨の前だとどうにもポーカーフェイスを崩されてしまいがちだ。


「……だって、何本だっていいの。会えてうれしいんだもの♡ 来てくれてありがとう♡」

「花梨……」


 受け取ったバラに花梨が口づけを落とすと、キッドの顔が喜びを隠しきれない様子で綻ぶ。
 ……優しい瞳で抱きしめてきた。

 花梨が手元のバラからキッドに視線を上げると“ちゅっ”。唇が軽く触れ合い、互いににっこり。
 間近で彼を見ると、新一とそっくりで少し複雑だが、花梨は快斗の顔も大好きだ。
 いつからだったかは忘れたが、自身の言葉で表情をくるくると変える彼が愛おしい。

 テレビや新聞に映った彼はいつも不敵に笑っているのに、花梨の前では怒ったり、シュンと落ち込んだり、カラカラと屈託なく笑ったりと表情豊かで。
 自分にだけ見せてくれる甘い顔が嬉しくて堪らない。


「平日だから大丈夫だとは思うけど……、窓から来て大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫、ちゃんと確認してから入って来たからな。権堂さんの位置も把握済み♪」

「そうなんだ?」


 今日の警護は権堂。まだ彼女は外にいるはず……。
 花梨が心配で尋ねると、キッドは監視の目を掻い潜ってやって来たとのこと。
 ……彼がそう言うなら大丈夫だと思えるから不思議だ。


「それにしても、花梨嬢はいつも好い匂いがしますね……」

「あっ……!」


 急に首元にかぷっと齧りつかれ、花梨の肩がびくっと揺れた。


「今宵は誰にも邪魔はさせません。私と二人きりで過ごしましょう」


 腰をつつっと擽るように撫でられて、花梨の背筋がシャンと伸びる。
 まったく、手が速いのなんのって……気づいた時にはシャツの中にキッドの手が這っていた。

 背中をそーっと撫で上げられ「ふっ、ン」なんて鼻から吐息が漏れる。
 ……彼の指が肩甲骨の間を左右に行ったり来たり。キッドは何か探しているらしい。


「あれ? ブラしてない……?」

「お風呂上がりだもん」

「! なるほど……、ひと手間省けました」


 答えを聞いた途端、キッドの瞳はまん丸に。
 そしてすぐにニヤッと嬉しそうに笑みを浮かべた。


「っ、もぅ……、シャワー浴びてきて」

「……かしこまりました! 綺麗にしてくるっ!」


 するならシャワーのあとで。花梨がチラッとバスルームに目配せすると、キッドは“ぽんっ”と衣装をあっという間に脱ぎ捨て走り出す。
 脱ぎ捨てられたキッドの服はどうやったのだろう……綺麗に折り畳まれて床に置かれている。
 そんな中、パンツ一丁でバスルームに向かう快斗に花梨は噴き出した。


「ぷっ。もうっ、快斗ってば♡」


 バスルームから戻った快斗は、ここ二日ほどお預けを食らっていたからか、ずいぶん弾けたという……。










▽おまけ

♡大使館から戻って来たキッドさんの巻♡


「うーん……返信ねえなあ……。花梨なにしてんだ?」


 ……部屋の灯りは点いている。
 キッドに扮した快斗は、懲りずに花梨のマンションの屋上からベランダに侵入。こっそり窓を覗こうとしたものの、カーテンが邪魔して中の様子が見えない。
 窓を叩けば花梨が出て来てくれるとは思うが、今は我慢。


「今日は趣向を凝らしてクイズを出してみたんだけどな~」


 ――へへっ♡ 今日は赤いバラにしたった♡


 快斗は手元の赤いバラを見てニヤニヤ。
 権堂はエントランス付近に居たし、ベランダに降りてしまえば下からは死角となって見えない。

 ……今日はもう邪魔が入らないはず。
 すでに日は落ちているし、恋人同士で過ごすのにぴったりな時間だ。

 バラ二本の花言葉は“この世界にはあなたと私、二人だけ”。今夜は絶対誰にも邪魔をさせない、二人の世界だ。


「お! きたきた♡ うん! 花梨は賢いな~♡」


 スマホの通知がきて、回答が送られてきた。
 『博物館や美術館ではなさそう』の返信にヒントを送ってやることにした。


「……花梨、これならわかるかな? あ、そーだ♡」


 快斗はヒントを送り、連れて来た銀鳩を懐から出して「しー……」と人差し指を唇に当てる。


「花梨が正解したら窓を突くんだぜ?」


 銀鳩に言って聞かせ、ベランダにそっと下ろした。
 そうして、『大使館?』と花梨から答えが返ってきて、快斗は鳩に合図を送り窓を突かせる。自身は死角へと身を潜ませた。

 すると花梨がやって来て窓を開き、鳩に話しかける。
 様子を見ていた快斗は、警戒心もなく窓を開けるなんて不用心だなあと思いつつも、火曜日強制連行されてから丸一日。見ていなかった最愛の彼女の姿に愛おしさが込み上げた。


「いらっしゃい、ハトさん。お水でも飲む? わっ……ふふふっ♡」


 花梨がしゃがむと鳩が勝手に飛び上がり、花梨の頭に乗っかる。


(くそー! ハトちゃんめ! オレはそんなこと頼んでねーぞ?)


 ……自身の鳩だというのに、花梨の髪に触れ、頭に乗る様子を見て胸の奥がじりっと焼けた。
 触れていいのは、自分だけでいいのに。


(花梨は動物にも好かれんのかー……、オレの彼女マジ天使だな……)


 窓を開けっぱなしのまま部屋に戻った花梨は、鳩に水とパンを与えるべく動いていて、自らを狙う侵入者に気がつかない。


「……(あー、もう可愛い。今日もやっぱ可愛いわ。ラフな部屋着も似合うよな~♡)」


 まんまと部屋に侵入し、こっそり花梨を見つめる快斗の目は細くなり、ついにやけてしまう。

 見ているだけで幸せな気分にしてくれるなんて最高だ。
 彼女の装いも部屋着だから短パン。白く滑らかな素足が男の欲をそそる。

 ……早く触れたい。
 その白い脚も、細い腰も、全部自分の手で確かめたい。

 さて、どうやって驚かせてやろうか……。
 後ろから目隠しをするか、鳩と自身を入れ替えるか――。

 快斗が思案していると花梨が独り言をこぼし始めた。


「ふふっ♡ 羽を休めに来たのね。白い鳩なんて珍しいねー、あれ? 尻尾が切られてる……キミ、あんまり飛べないんじゃないの? っていうか、キミ会ったことあるよね?」


 鳩の尾を見て不思議に思ったのだろう。確かに以前、花梨は快斗の家でこの鳩と対面し喜んでいる。
 マジックに使用される鳩は、飛距離を調整するため尾を切るのだ。花梨にはそれを教えてある。

 ……推理が苦手な彼女だが、記憶力は悪くない。
 自身が教えたことを憶えていてくれたことに、快斗は嬉しくなった。


(花梨ご名答! ああ、もう驚かせるとかいいや。早く話しかけたい……!)


 始めは花梨を驚かせようと思っていたが、予定変更。
 花梨といると予定通りにいかないが、それもまたい。


「おや? 花梨嬢は鳩に詳しいのですか?」


 ……もう我慢できない。
 堪らず快斗は声を発したのだった。



114/116ページ
スキ