Unknown
少しずつアルコールが抜けていく頭に淀みなく情報を詰め込まれ、まるで授業を受けているようだと思いながら最後に聞かずにはいられなかった。しょうなら具体的かつ分かりやすく返答してくれるのはないかと思った。しかし崩れない営業スマイルのままで放たれた言葉は、看板と同じ単語だけ。
(この人が言うのなら本当にそうなのだろう)
短い時間で、上辺でも信頼を得られるというのは中々の才能だと思う。
押し付けにならない言い方や安心感を与える説明の仕方に元々何をしていたのだろうという興味が湧いたが、『詳しいことはまた明日』という男の言葉を思い出し、すんでのところで飲み込んだ。
「では、お部屋ご案内しますね。3階になります」
「よろしくお願いします」
外階段で行きます、としょうがドアを開いて出ていくのに続く。最後にちらりと見やった店内、まさきが時計を見て立ち上がるのが見えた。これから仕事と言っていた。
その姿を頬杖付きながら気怠そうにかずが見ている。その目線に僅かな色が見えたのはきっと、抜け切れていないアルコールのせいだろう。
【END】