Unknown
「新入り1名様でぇーす」
「何、ナンパしてきたの?リーダー」
「そう。名前はじゅんくんね。詳しい話はまた明日。オイラ眠いからもう寝る」
「えっ?」
「しょうくん」
「はい」
「じゅんくん部屋ないから鍵あげてー」
「はい」
「え、あの、ちょっ」
「おやすみー」
「リーダー、明日9時にお客さん来るからね」
「んー。また起こして」
「いいけど、ギャラ発生するよ」
「いやあの、えっ」
「おやすみー」
流れるようなやり取りの後、唯一の頼れる人は出て行った。
ただ付いていっただけの場所にぽつんと置いていかれ、こんなに怖いことはない。笑い飛ばせるにはもう少しアルコールが欲しい。
明らかな暴力性はなさそうだが、得体のしれない男が3人いることに変わりはない。身売りされた生娘のように体を強張らせていると、スーツ姿の男がボックス席から立ち上がり、カウンターに近づいていった。
中にいるスウェットの男が応じるように立ち上がって、奥の棚から鍵束を取りだし1本取って渡す。それを受け取り、今度はじゅんの方へ近づいてきた。
全身に漂う知的な雰囲気を大きな目がいい意味で崩している。相変わらず完璧な営業スマイルを浮かべたまま、目の前まで来て、軽く頭を下げた。ふわりと優しい香り。
「初めまして。しょうです」
「あ、じゅんです。初めまして。よろしくお願いします」
「こちらこそ、これからどうぞよろしくお願いします。早速ですが、こちらがじゅんさんの部屋の鍵になります。この後、ご案内しますね。基本的な家具は備え付けていますのでご自由にお使いください。掃除もちょうど昨日したところです。着替えはありますか?」
「あ、いえ。今は持ってないです。取りに帰らないと」
「今日はもう遅いですので明日にされてはどうですか?予備がありますので、よかったら使ってください」
「あ、はい。あ、ありがとうございます」
「詳しいことは明日と言われましたが、簡単に紹介させていただきますね。カウンターの向こうにいるのがかずで、手前がまさき。みんなここのメンバーです」
「あ、じゅんです。初めまして。よろしくお願いします」
「よろしく」
「よろしくねー」
「こちらからは以上になりますが、何かご質問はありますか?」
「あ、あの……」
「はい」
「ここって、何ですか?」
「なんでもやさんです」