第一章
夢小説設定
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いつ見てもデカい。バリアフリーというには大きすぎるであろう門を見上げてそう思った。
周りには緊張した面持ちの学生が多い。それもそのはず、雄英高校ヒーロー科の倍率は例年300を超えると言われ…プロヒーローの中でも特に名が知れている者たちはここ、雄英高校を卒業している。
そんな雄英高校にまた入学することになるなんて。誰も経験したことないだろうな…
そんなことを考えながら柳弥が歩いていると、足元にハンカチが落ちていた。今日試験を受ける学生の落とし物だろう、と思って拾い上げる。
どこかに名前は書いてないか、と広げてみると”緑谷出久”と書いてあった。
「……みどりや」
そこに書かれていた名前を口に出す。流石に下の名前は何て読むのかわからなかったが。
後で届けておくかと思って柳弥が前を向きなおすと大きなリュックを背負った少年が傍から見ても焦って何かを探しているように見えた。
もしかして、と思い柳弥がその少年の傍まで行く。
どうやら柳弥の存在には気が付いていないようで今も尚何かを探している。
「あの」
多分このハンカチの持ち主だろうと思ったが、何て声を掛けたらいいかわからず、咄嗟にそう声を掛けた。もう少しいい方法はなかっただろうか、なんて頭の片隅で考えながら。
「はい!?」
声を掛けられた事に驚いたのか、それとも近くにいたのに気が付かなかったから驚いたのかは柳弥にはわからなかった。が、どちらにせよ声が裏返っていた。
「えーっと……これ、」
気まずい、と思い咄嗟に手に持っていたハンカチをそっと差し出して意図を伝えようと試みた。
「あ…!僕のハンカチ…!もしかして、拾って…?」
あたふたとそう言う少年を見て柳弥が頷いた。よかった、持ち主だった。と密かに安堵しながら。
落とさないようにね、と言葉を掛けながらハンカチを手渡す事に成功した柳弥はここ一番で頑張ったな、なんて感じていた。
実際は大したことないのだが。
「あっ…ありが…!」
そう言って頭を下げる少年に思わず柳弥も焦ってしまった。
「え…あ、いや……大丈夫……」
普段なら冷静で取り乱すことはないのだが、対人になると途端にこうなる。困った顔になりながら頭を上げてほしい、とお願いすると少年は顔を上げてくれた。
ふと時間を見ればまだ余裕があったが、会場に入るのは早いことに越したことはないだろう。そう思って歩き出そうとしたが、一応少年に声を掛けようと思い振り向いた。
「僕は行くけど…君も、来る?」
今となっては何故、人が苦手であるはずの彼女がそう声を掛けたのかはわからないが、嬉しそうに頷いてくれたのを見てどうでもよくなっていた。
そうして二人は試験会場…基、実技試験説明会場へと足を運んだのだった。
周りには緊張した面持ちの学生が多い。それもそのはず、雄英高校ヒーロー科の倍率は例年300を超えると言われ…プロヒーローの中でも特に名が知れている者たちはここ、雄英高校を卒業している。
そんな雄英高校にまた入学することになるなんて。誰も経験したことないだろうな…
そんなことを考えながら柳弥が歩いていると、足元にハンカチが落ちていた。今日試験を受ける学生の落とし物だろう、と思って拾い上げる。
どこかに名前は書いてないか、と広げてみると”緑谷出久”と書いてあった。
「……みどりや」
そこに書かれていた名前を口に出す。流石に下の名前は何て読むのかわからなかったが。
後で届けておくかと思って柳弥が前を向きなおすと大きなリュックを背負った少年が傍から見ても焦って何かを探しているように見えた。
もしかして、と思い柳弥がその少年の傍まで行く。
どうやら柳弥の存在には気が付いていないようで今も尚何かを探している。
「あの」
多分このハンカチの持ち主だろうと思ったが、何て声を掛けたらいいかわからず、咄嗟にそう声を掛けた。もう少しいい方法はなかっただろうか、なんて頭の片隅で考えながら。
「はい!?」
声を掛けられた事に驚いたのか、それとも近くにいたのに気が付かなかったから驚いたのかは柳弥にはわからなかった。が、どちらにせよ声が裏返っていた。
「えーっと……これ、」
気まずい、と思い咄嗟に手に持っていたハンカチをそっと差し出して意図を伝えようと試みた。
「あ…!僕のハンカチ…!もしかして、拾って…?」
あたふたとそう言う少年を見て柳弥が頷いた。よかった、持ち主だった。と密かに安堵しながら。
落とさないようにね、と言葉を掛けながらハンカチを手渡す事に成功した柳弥はここ一番で頑張ったな、なんて感じていた。
実際は大したことないのだが。
「あっ…ありが…!」
そう言って頭を下げる少年に思わず柳弥も焦ってしまった。
「え…あ、いや……大丈夫……」
普段なら冷静で取り乱すことはないのだが、対人になると途端にこうなる。困った顔になりながら頭を上げてほしい、とお願いすると少年は顔を上げてくれた。
ふと時間を見ればまだ余裕があったが、会場に入るのは早いことに越したことはないだろう。そう思って歩き出そうとしたが、一応少年に声を掛けようと思い振り向いた。
「僕は行くけど…君も、来る?」
今となっては何故、人が苦手であるはずの彼女がそう声を掛けたのかはわからないが、嬉しそうに頷いてくれたのを見てどうでもよくなっていた。
そうして二人は試験会場…基、実技試験説明会場へと足を運んだのだった。