第一章
夢小説設定
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____試験終了から一週間。
今頃受験生には結果の合否が告げられているであろう。そんな日の夜、時刻にして8時。柳弥は海浜公園に来ていた。
新聞で話題になっていた場所だから、と言った経緯もあるけれど、何か企んでいる敵 かもしれないと思ったからだ。実際、そんなことをする輩がいるか?といったら居ないと答える自信があるが。
どこからか「オールマイト!」といった声が聞こえてきた。その声の主を柳弥は知っている。雄英高校で出会った、緑谷君だろう。彼の声は良くも悪くもわかりやすい。
その後すぐに「人違いでした!」と叫んだ緑谷君の傍には黄色い髪の男性。何かこみいった話なのだろうか、と思いつつ。だが、何か事件だったら…という気持ちと葛藤し、声が聞こえる近くまで行ってみることに。
結果としては、この判断は間違っていたかもしれない。
色々聞いてはいけない話が聞こえてしまった。後継を探していたとか、そんな話。流石に黙って立ち去るのも悪いだろうとわかっていたから尚更。あれ、オールマイト!?と叫んだカップルから離れようと緑谷君とオールマイトは走り出した。その姿は砂浜で追いかけっこをしているようにも見えなくはない。
カップルからは十分に距離をとっただろう、見えなくなった辺りで先回りして追いついた柳弥が思い切って二人に声を掛けた。
「こんな夜中に、何してるんですか?」
少し意地悪だったか、と思いはすれど。こうすれば逃げられることはないだろうと思って。話しかけられた二人は驚いていた。いや、オールマイトが取り乱したらダメだと思いますよ、とは口にすることはなく。
だが柳弥だと認知するとオールマイトはトゥルーフォームに戻った。その行為に緑谷君がええええ、と声を上げていたが。
「大丈夫、緑谷少年。彼女は…」
そう言いかけてやめる。多分同じプロヒーローだとか、教師だとか言おうとしたのだろう。は、っと口に手を当てて目を泳がせていた。
「…かの、じょ…?」
まあ。当の本人は別の所でショックを受けていたようだが。もしかして、とは思っていたが気付いていなかったようだ。
「あれ?気付いてなかったのかい!?」
流石のオールマイトも驚いていた。いや、貴方も最初気が付いてませんでしたよ、とは言わぬが花といった奴か。
ご、ごめんなさい!!と緑谷君に頭を下げられて困惑していた。なんで謝るんだろう、とかそう言った気持ちが大きかった。
「なんで謝られてるんですかね」
なんてオールマイトに聞くほどにはわからなかったのだ。それに対してオールマイトには君ねえ、といった顔を向けられていた。
「怒ってないの…?」
そう言われればそれこそ、なんで?としか返すことができなかった。間違えられるのもいつも道理の事で、むしろ”女子”として扱われる事のほうが苦手だった。性別は、柳弥にとって些細なことでしかないのだ。そのことを伝えると、成程と言って緑谷君は顔を上げてくれた。
「…あ、そうだ。オールマイト…その、海浜公園で話してたこと聞こえちゃって…」
目的を思い出すと小声でオールマイトに伝える。それを伝え終わるとオールマイトはあちゃーといった顔をしていた。
それから少し悩んで、決心した面持ちになった。
「柳弥少女。今から話す事はここだけの秘密にしてくれると約束してくれるかい?」
「…ええ、そうですね。他ならぬオールマイトの話ですから」
柳弥がそう言うとオールマイトは話し始めた。自分と緑谷少年の関係性…”個性”を譲渡したという事、元々譲渡する相手を探しに来ていたという事……もちろん最初は信じられなかったが。
そう言った”個性”も存在するのだろう、現に緑谷君はあの時”個性”を使って見せた。
「ここまで話す事はなかったのでは?」
「ほら、柳弥少女が事情を知ってると楽かな~って思って」
確かに。生徒に紛れている教師という立場にいるのは柳弥だけだ。そういった面でのサポートは教師より話す回数が多い生徒のほうがいいだろう。緑谷君はこの間ずっと不思議そうに見ていただけだった。
「あの…柳弥くんは、オールマイトとどんな関係なの…?」
「あー…オールマイト、話しちゃっていいですかね」
表向きだけならいいだろう、と思いそう聞く。…本来なら、本当の目的の方も話したほうがいいのだろうが。生憎とそこまで話す事はまだ出来ない。本当の目的を知っているのは、校長、相澤、マイクの三人だけなのだ。…リカバリーガールには伝えていないが、気が付いている、と思っていた。あの人は、三年間柳弥を精神面で支えてくれていた人だ。
「確かに、等価交換にはなるが…柳弥少女は、本当にいいのかい?」
「生徒の中に一人ぐらい知ってても、問題はないでしょう」
そう言って話をしようと緑谷君に声を掛ける。びくり、と肩を揺らしたがその目は真剣だった。
「僕の話も他言無用ね…」
話の内容としてはこうだ、学生じゃなくて雄英教師であること。そして試験に混ざっていた理由を。あとついでに新入生のクラスにも生徒として混ざるという事。プロヒーローだという事もおまけに伝えておいた。
一度に伝える情報量は多かったが、そこはなんとか理解してくれるだろうと信じている。多分。オールマイトは表向きの内容を知っていたからあまり驚かなかった。
「…まあ、今伝えた事はあくまでも表向きに過ぎないから伝えても問題ないと判断したんだけど……本当の目的は、またいつか、ね」
それだけ伝えるとオールマイトがとても驚いていた。私にも教えてもらえないのかい!?と肩を掴まれかけたが、柳弥が身構えたのを見てその手を引っ込めた。
「この事知ってるの、イレイザーとマイクと校長だけですから」
とオールマイトだけに聞こえるように伝えると納得して頷いていた。一方緑谷君は一人でぼそぼそと話していた。この光景は、説明を受けてる時にも見たな、と柳弥は感じていたが。
とりあえず連絡先交換しよ、とオールマイトに言われたので交換して…夜、遅くなってしまったので帰りますかとその場は解散した。
今頃受験生には結果の合否が告げられているであろう。そんな日の夜、時刻にして8時。柳弥は海浜公園に来ていた。
新聞で話題になっていた場所だから、と言った経緯もあるけれど、何か企んでいる
どこからか「オールマイト!」といった声が聞こえてきた。その声の主を柳弥は知っている。雄英高校で出会った、緑谷君だろう。彼の声は良くも悪くもわかりやすい。
その後すぐに「人違いでした!」と叫んだ緑谷君の傍には黄色い髪の男性。何かこみいった話なのだろうか、と思いつつ。だが、何か事件だったら…という気持ちと葛藤し、声が聞こえる近くまで行ってみることに。
結果としては、この判断は間違っていたかもしれない。
色々聞いてはいけない話が聞こえてしまった。後継を探していたとか、そんな話。流石に黙って立ち去るのも悪いだろうとわかっていたから尚更。あれ、オールマイト!?と叫んだカップルから離れようと緑谷君とオールマイトは走り出した。その姿は砂浜で追いかけっこをしているようにも見えなくはない。
カップルからは十分に距離をとっただろう、見えなくなった辺りで先回りして追いついた柳弥が思い切って二人に声を掛けた。
「こんな夜中に、何してるんですか?」
少し意地悪だったか、と思いはすれど。こうすれば逃げられることはないだろうと思って。話しかけられた二人は驚いていた。いや、オールマイトが取り乱したらダメだと思いますよ、とは口にすることはなく。
だが柳弥だと認知するとオールマイトはトゥルーフォームに戻った。その行為に緑谷君がええええ、と声を上げていたが。
「大丈夫、緑谷少年。彼女は…」
そう言いかけてやめる。多分同じプロヒーローだとか、教師だとか言おうとしたのだろう。は、っと口に手を当てて目を泳がせていた。
「…かの、じょ…?」
まあ。当の本人は別の所でショックを受けていたようだが。もしかして、とは思っていたが気付いていなかったようだ。
「あれ?気付いてなかったのかい!?」
流石のオールマイトも驚いていた。いや、貴方も最初気が付いてませんでしたよ、とは言わぬが花といった奴か。
ご、ごめんなさい!!と緑谷君に頭を下げられて困惑していた。なんで謝るんだろう、とかそう言った気持ちが大きかった。
「なんで謝られてるんですかね」
なんてオールマイトに聞くほどにはわからなかったのだ。それに対してオールマイトには君ねえ、といった顔を向けられていた。
「怒ってないの…?」
そう言われればそれこそ、なんで?としか返すことができなかった。間違えられるのもいつも道理の事で、むしろ”女子”として扱われる事のほうが苦手だった。性別は、柳弥にとって些細なことでしかないのだ。そのことを伝えると、成程と言って緑谷君は顔を上げてくれた。
「…あ、そうだ。オールマイト…その、海浜公園で話してたこと聞こえちゃって…」
目的を思い出すと小声でオールマイトに伝える。それを伝え終わるとオールマイトはあちゃーといった顔をしていた。
それから少し悩んで、決心した面持ちになった。
「柳弥少女。今から話す事はここだけの秘密にしてくれると約束してくれるかい?」
「…ええ、そうですね。他ならぬオールマイトの話ですから」
柳弥がそう言うとオールマイトは話し始めた。自分と緑谷少年の関係性…”個性”を譲渡したという事、元々譲渡する相手を探しに来ていたという事……もちろん最初は信じられなかったが。
そう言った”個性”も存在するのだろう、現に緑谷君はあの時”個性”を使って見せた。
「ここまで話す事はなかったのでは?」
「ほら、柳弥少女が事情を知ってると楽かな~って思って」
確かに。生徒に紛れている教師という立場にいるのは柳弥だけだ。そういった面でのサポートは教師より話す回数が多い生徒のほうがいいだろう。緑谷君はこの間ずっと不思議そうに見ていただけだった。
「あの…柳弥くんは、オールマイトとどんな関係なの…?」
「あー…オールマイト、話しちゃっていいですかね」
表向きだけならいいだろう、と思いそう聞く。…本来なら、本当の目的の方も話したほうがいいのだろうが。生憎とそこまで話す事はまだ出来ない。本当の目的を知っているのは、校長、相澤、マイクの三人だけなのだ。…リカバリーガールには伝えていないが、気が付いている、と思っていた。あの人は、三年間柳弥を精神面で支えてくれていた人だ。
「確かに、等価交換にはなるが…柳弥少女は、本当にいいのかい?」
「生徒の中に一人ぐらい知ってても、問題はないでしょう」
そう言って話をしようと緑谷君に声を掛ける。びくり、と肩を揺らしたがその目は真剣だった。
「僕の話も他言無用ね…」
話の内容としてはこうだ、学生じゃなくて雄英教師であること。そして試験に混ざっていた理由を。あとついでに新入生のクラスにも生徒として混ざるという事。プロヒーローだという事もおまけに伝えておいた。
一度に伝える情報量は多かったが、そこはなんとか理解してくれるだろうと信じている。多分。オールマイトは表向きの内容を知っていたからあまり驚かなかった。
「…まあ、今伝えた事はあくまでも表向きに過ぎないから伝えても問題ないと判断したんだけど……本当の目的は、またいつか、ね」
それだけ伝えるとオールマイトがとても驚いていた。私にも教えてもらえないのかい!?と肩を掴まれかけたが、柳弥が身構えたのを見てその手を引っ込めた。
「この事知ってるの、イレイザーとマイクと校長だけですから」
とオールマイトだけに聞こえるように伝えると納得して頷いていた。一方緑谷君は一人でぼそぼそと話していた。この光景は、説明を受けてる時にも見たな、と柳弥は感じていたが。
とりあえず連絡先交換しよ、とオールマイトに言われたので交換して…夜、遅くなってしまったので帰りますかとその場は解散した。