呪術短編
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『俺の術式は、対象に猫属性を付与するものだ。さすがにマタタビに反応するようにはできねぇが、好きなやつが傍にいればトロトロになっちまう。恋人や家族なんかが傍にいたらもう足腰立たねえほどにな!』
という術式開示をされ、愚かな私はまんまとその術式をくらってしまったのである。幸い近くにいたのは初めて組む術師のナントカさんと、あまりソリの合わない補助監督のナントカさん。自分の身にはなにも起こらなくて、にゃんこ術式?ほんとに術式使ったの?くらいのノリでさっくりその呪詛師をシメた。
問題は、高専に帰ってからだった。
「おー、おかえり」
「しゃけー」
「楽勝だったみたいじゃねえか」
出迎えてくれた同級生たち。日々共に過ごしていて、一緒に訓練したり授業を受けたり、言ってみれば家族のような大事な人達。
ぞくぞくと背筋を這い上がるような感覚は、快感だったのかもしれない。かくんと膝から力が抜けて、腰も抜けた。ぺたりと座り込む私に皆が駆け寄ってきて、抱き起こしてくれた真希ちゃんに無意識のうちに擦り寄った。いいにおい。やわらかい。きもちいい。
ぐらつく思考の中で術式の事をなんとか説明していると、何故かみんなして頭を撫でたり喉を擽ったりしてくる。やめて、私は猫じゃない。そう思うのに体はむしろ喜んでて、撫でる手に擦り付けるように動いてしまう。猫だったら喉でも鳴らしそうだ。
「こりゃまた可愛い猫だなぁ」
「ツナマヨー」
「こら野郎共、散れ散れ!女子で遊ぶんじゃねえ」
私を守るように抱き直す真希ちゃん。流石のイケメン力である。かっこいい。
「あれ、みんな何してるの?」
「お、憂太」
少し離れたところからかけられた声に、私の血の気がザッと引いた。憂太が来た。まずい。私は真希ちゃんの腕から抜け、力の入らない足を叱咤して駆け出した。
憂太。憂太はまずい。開示された術式が本当だったことは、今しがた証明された。好きな人のそばに居るとトロトロにとろけてしまう、なんて恐ろしい効果だろう。友愛を向けている真希ちゃん達であんなになってしまうんだから、それが憂太なら。
私が片思いを続ける相手なら。
……まずい、ひじょーにまずい。好きな人相手にあんなみっともない所を見せるのもまずいし、なによりそんな事をしたら私の命があぶない。殺されてしまう。
「え!?まって、なんで逃げるの!?」
「……にゃ、んで!追いかけて、くるの!」
「ナオちゃんが逃げるから、かな!?」
追いかけてくる憂太は反応速度も足もはちゃめちゃ速いし、私はめっちゃ噛んだし。死にたい。いや死んでる場合じゃない、これ、もし逃げきれなくて捕まって、憂太相手にさっきみたいな醜態を晒したらガチで命があぶない。違うんですリカさん私は貴方から憂太を取ろうなんてこれっぽっちも思ってないんです殺さないで。
「ついて、こにゃいでー!」
「にゃ!?なにそれ可愛い!」
あれ、もしかしてこれは噛んでる訳じゃなくて術式の影響?そんな馬鹿な。自分の意思とは関係ないとはいえ、にゃあにゃあ言うなんて恥ずかしすぎる。憂太は何故か楽しそうだし、皆は傍観を決め込むようで助けてくれない。どうしよう、どうもできない。逃げるしかない。
「ナオちゃん!どうして逃げるのぉ!?」
ちょっと笑いながら、それでも全速力で追いかけてきながら憂太が叫ぶ。どうして?そんなの決まってる。
「うぅ……っにゃんてったって、死にたくにゃいんだもん!」
心からの叫び、それまでにゃん語になってしまって、恥ずかしい。
それから散々走り回って結局捕まったのだけれど、憂太に近づいた瞬間に体の違和感が弾けるように消えて私の猫化は治まったようだ。特級怨霊の前ではあんな術式は会って無いようなものみたいだ。さっきの苦労は何だったのか。
「もうにゃあって言ってくれないの?」
「……………ぜっっっったい、死んでも言わない」
という術式開示をされ、愚かな私はまんまとその術式をくらってしまったのである。幸い近くにいたのは初めて組む術師のナントカさんと、あまりソリの合わない補助監督のナントカさん。自分の身にはなにも起こらなくて、にゃんこ術式?ほんとに術式使ったの?くらいのノリでさっくりその呪詛師をシメた。
問題は、高専に帰ってからだった。
「おー、おかえり」
「しゃけー」
「楽勝だったみたいじゃねえか」
出迎えてくれた同級生たち。日々共に過ごしていて、一緒に訓練したり授業を受けたり、言ってみれば家族のような大事な人達。
ぞくぞくと背筋を這い上がるような感覚は、快感だったのかもしれない。かくんと膝から力が抜けて、腰も抜けた。ぺたりと座り込む私に皆が駆け寄ってきて、抱き起こしてくれた真希ちゃんに無意識のうちに擦り寄った。いいにおい。やわらかい。きもちいい。
ぐらつく思考の中で術式の事をなんとか説明していると、何故かみんなして頭を撫でたり喉を擽ったりしてくる。やめて、私は猫じゃない。そう思うのに体はむしろ喜んでて、撫でる手に擦り付けるように動いてしまう。猫だったら喉でも鳴らしそうだ。
「こりゃまた可愛い猫だなぁ」
「ツナマヨー」
「こら野郎共、散れ散れ!女子で遊ぶんじゃねえ」
私を守るように抱き直す真希ちゃん。流石のイケメン力である。かっこいい。
「あれ、みんな何してるの?」
「お、憂太」
少し離れたところからかけられた声に、私の血の気がザッと引いた。憂太が来た。まずい。私は真希ちゃんの腕から抜け、力の入らない足を叱咤して駆け出した。
憂太。憂太はまずい。開示された術式が本当だったことは、今しがた証明された。好きな人のそばに居るとトロトロにとろけてしまう、なんて恐ろしい効果だろう。友愛を向けている真希ちゃん達であんなになってしまうんだから、それが憂太なら。
私が片思いを続ける相手なら。
……まずい、ひじょーにまずい。好きな人相手にあんなみっともない所を見せるのもまずいし、なによりそんな事をしたら私の命があぶない。殺されてしまう。
「え!?まって、なんで逃げるの!?」
「……にゃ、んで!追いかけて、くるの!」
「ナオちゃんが逃げるから、かな!?」
追いかけてくる憂太は反応速度も足もはちゃめちゃ速いし、私はめっちゃ噛んだし。死にたい。いや死んでる場合じゃない、これ、もし逃げきれなくて捕まって、憂太相手にさっきみたいな醜態を晒したらガチで命があぶない。違うんですリカさん私は貴方から憂太を取ろうなんてこれっぽっちも思ってないんです殺さないで。
「ついて、こにゃいでー!」
「にゃ!?なにそれ可愛い!」
あれ、もしかしてこれは噛んでる訳じゃなくて術式の影響?そんな馬鹿な。自分の意思とは関係ないとはいえ、にゃあにゃあ言うなんて恥ずかしすぎる。憂太は何故か楽しそうだし、皆は傍観を決め込むようで助けてくれない。どうしよう、どうもできない。逃げるしかない。
「ナオちゃん!どうして逃げるのぉ!?」
ちょっと笑いながら、それでも全速力で追いかけてきながら憂太が叫ぶ。どうして?そんなの決まってる。
「うぅ……っにゃんてったって、死にたくにゃいんだもん!」
心からの叫び、それまでにゃん語になってしまって、恥ずかしい。
それから散々走り回って結局捕まったのだけれど、憂太に近づいた瞬間に体の違和感が弾けるように消えて私の猫化は治まったようだ。特級怨霊の前ではあんな術式は会って無いようなものみたいだ。さっきの苦労は何だったのか。
「もうにゃあって言ってくれないの?」
「……………ぜっっっったい、死んでも言わない」