鬼滅短編
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拝啓、神様仏様あとなんか守護霊様とか、なんでもいいから聞いてください、っていうか聞け。私何かバチが当たるようなことしました?全くもって身に覚えがない。それなのに私は今、なんで知らん男に追いかけられとるんです?
「待って待って、待ってってばあああ!!」
「嫌です無理ですお引き取り下さいさようならぁ!!」
キンキン響く制止の声を、打ち返すかのように声を張り上げた。逃げる私と追いかける知らない男。この状況は、ほんの数分前から始まった。
仕事が終わり、家まで帰る道すがら。時間が遅いから人通りの少ない道で、すれ違った金髪の男ががばりと振り返った。二度見なんてもんじゃない、振り返ってガン見だった。一方私はその勢いに驚いたもののまったくもって知らない人だったし、金髪って身近に居ないからなんか怖いしで早々に目を逸らして歩を進めた。そしたら、金髪の男も動いたのだ。すれ違ったから逆方向に行こうとしていたはずなのに、何故か踵を返し私の方に向かってきた。だから反射的に、走った。
「え、ちょ、待って……なんで逃げるのぉおお!?」
その言い草に、あれ?もしかして知ってる人だった?とか思って振り返って見たらやっぱり知らない男だったし、目が合った男はなんかぱあっと笑顔になった。知らん人の突然の笑顔超怖い。なんで逃げるかって、知らない人に追いかけられたら逃げるに決まってるじゃん。どう考えても変質者か犯罪者の二択だもの。
足には自信がある。運動会の徒競走は毎回一位だったしリレーではアンカーを任されて何人も抜き去って……いや今はそんな懐かしい思い出に浸ってる場合じゃない。追いかけてきている変質者(仮)は思いのほか足が速くて、自信があった私の足でも引き離せない。むしろ、近づかれてる気がする。
「ほんっ、と!相変わらずっ!足速いよねっきみは!」
また、私を知ってるかのような言葉。でもどんなに記憶をたどっても知らない。金髪で、目は街灯の光を反射するかのようにキラキラして見える。全力疾走しているからか髪の毛が後ろになびいて、顕になった額に太めの眉。やっぱ、知らない。
「私っあなたを知らないっ!」
「はっ!?うっそでしょぉお!!そんなことあるぅ!?」
嘘なもんか、私はお前のようなうるさい金髪を知らない。走り続けて分かれ道、家を知られるのが怖いから違う方向に逃げなきゃ。どっちに行こう、ここはやっぱり人気の多いところ?それとも交番?迷って、少しスピードが落ちたのかもしれない。気づいた時には腕を掴まれて全力疾走の追いかけっこは幕を閉じた。
「っは、やっとつかまえた……!」
つかまってしまった。掴まれた腕は痛いとかそういうことはないけれど、しっかりと掴まれていて逃げられなそうだ。試しに振ってみたけど離れなかった。仕方ない、ふぅと息を整えて、男に向き直る。
「……あなた、私を知ってるんですか?」
私の言葉を聞いて、まっすぐにこちらを見る。キラキラして見えた瞳は、髪に合わせたように明るい色をしている。少し悲しそうに見える、気がした。
「……覚えてない?俺の事」
「覚えてないもなにも知らない人ですね」
「あー、はは……そっかぁ」
さっきまで猛スピードで追いかけてきていた知らない人は、かくんと肩を落として項垂れる。力が抜けたみたいだから今なら逃げられないかなと腕をもう一度振ってみたけど離れない、残念。腕を離そうとしたことに対してか、男がじとりと私を睨んだ。不思議なことに怖い感じは、しない。
「覚えてないんなら、思い出してもらうしかないよねぇ?」
「いや、だからそもそも知らないって、」
「知ってるよ、思い出せないだけ」
掴まれたままの腕を引っ張られて、顔と顔がぐんと近づく。そのままキラキラの瞳が目前に迫って、お互いの鼻先が交差するように触れ、
ーーキスされる。
そう頭で理解するより先に、体が動いた。掴まれていない方の腕を振り抜いて、近づく顔を殴り飛ばしたのだ。
「待って待って、待ってってばあああ!!」
「嫌です無理ですお引き取り下さいさようならぁ!!」
キンキン響く制止の声を、打ち返すかのように声を張り上げた。逃げる私と追いかける知らない男。この状況は、ほんの数分前から始まった。
仕事が終わり、家まで帰る道すがら。時間が遅いから人通りの少ない道で、すれ違った金髪の男ががばりと振り返った。二度見なんてもんじゃない、振り返ってガン見だった。一方私はその勢いに驚いたもののまったくもって知らない人だったし、金髪って身近に居ないからなんか怖いしで早々に目を逸らして歩を進めた。そしたら、金髪の男も動いたのだ。すれ違ったから逆方向に行こうとしていたはずなのに、何故か踵を返し私の方に向かってきた。だから反射的に、走った。
「え、ちょ、待って……なんで逃げるのぉおお!?」
その言い草に、あれ?もしかして知ってる人だった?とか思って振り返って見たらやっぱり知らない男だったし、目が合った男はなんかぱあっと笑顔になった。知らん人の突然の笑顔超怖い。なんで逃げるかって、知らない人に追いかけられたら逃げるに決まってるじゃん。どう考えても変質者か犯罪者の二択だもの。
足には自信がある。運動会の徒競走は毎回一位だったしリレーではアンカーを任されて何人も抜き去って……いや今はそんな懐かしい思い出に浸ってる場合じゃない。追いかけてきている変質者(仮)は思いのほか足が速くて、自信があった私の足でも引き離せない。むしろ、近づかれてる気がする。
「ほんっ、と!相変わらずっ!足速いよねっきみは!」
また、私を知ってるかのような言葉。でもどんなに記憶をたどっても知らない。金髪で、目は街灯の光を反射するかのようにキラキラして見える。全力疾走しているからか髪の毛が後ろになびいて、顕になった額に太めの眉。やっぱ、知らない。
「私っあなたを知らないっ!」
「はっ!?うっそでしょぉお!!そんなことあるぅ!?」
嘘なもんか、私はお前のようなうるさい金髪を知らない。走り続けて分かれ道、家を知られるのが怖いから違う方向に逃げなきゃ。どっちに行こう、ここはやっぱり人気の多いところ?それとも交番?迷って、少しスピードが落ちたのかもしれない。気づいた時には腕を掴まれて全力疾走の追いかけっこは幕を閉じた。
「っは、やっとつかまえた……!」
つかまってしまった。掴まれた腕は痛いとかそういうことはないけれど、しっかりと掴まれていて逃げられなそうだ。試しに振ってみたけど離れなかった。仕方ない、ふぅと息を整えて、男に向き直る。
「……あなた、私を知ってるんですか?」
私の言葉を聞いて、まっすぐにこちらを見る。キラキラして見えた瞳は、髪に合わせたように明るい色をしている。少し悲しそうに見える、気がした。
「……覚えてない?俺の事」
「覚えてないもなにも知らない人ですね」
「あー、はは……そっかぁ」
さっきまで猛スピードで追いかけてきていた知らない人は、かくんと肩を落として項垂れる。力が抜けたみたいだから今なら逃げられないかなと腕をもう一度振ってみたけど離れない、残念。腕を離そうとしたことに対してか、男がじとりと私を睨んだ。不思議なことに怖い感じは、しない。
「覚えてないんなら、思い出してもらうしかないよねぇ?」
「いや、だからそもそも知らないって、」
「知ってるよ、思い出せないだけ」
掴まれたままの腕を引っ張られて、顔と顔がぐんと近づく。そのままキラキラの瞳が目前に迫って、お互いの鼻先が交差するように触れ、
ーーキスされる。
そう頭で理解するより先に、体が動いた。掴まれていない方の腕を振り抜いて、近づく顔を殴り飛ばしたのだ。
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