鬼滅短編
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トンネルの向こうは、不思議の町でした。って、なんの映画だっけ。まあなんでもいい。とりあえず今の状況は正にそんな感じ。
「……またかぁ」
さしたる驚きもなく呟いた私の眼前に広がるのは、おおよそ令和とは思えないレトロな町並みだ。高い建物もなければ、道は舗装されてない。そういう時代を再現したテーマパークとかもある事は知ってるけど、これは多分本当に「昔の光景」なんだろう。
また、なのだ。前にもあった。何回もあった。扉を開けたら源平の合戦、なんてこともあった。玄関開けたらレンジでチンするごはんじゃあるまいしやめてほしい。まあ今回は出た場所が長閑な町中だし、そんなに年代も離れてなさそうだからそんなに苦労しないかも。狼狽えもせず、時代を超えたと理解する。そう冷静に判断できるくらいには慣れっこだった。だって私はタイムトラベラーだから。
さてこれからどうしよう。経験上、時間が経てばそのうち元の時代に戻れるだろうけれど、それがいつになるかはわからない。見たところ明治か大正か、ここが何時代かはまだわからないけど、どの時代だとしてもこの時代の協力者が必要なのだ。この時代の常識もなければお金もない、素性のしれない少女を庇護してくれるようなお人好しで都合のいい……もとい、有難い存在が。
「ねえきみ、そこのお嬢さぁぁん!」
かけられた声に振り向くと、周りの景色にそぐわない派手な髪色の男の人。いや、男の子?
「ねぇねぇひとり?こんな所でなにしてるの?俺と結婚しない?」
眉も目尻も下げただらしない表情で軽薄な言葉を並べる、これはもしやナンパだろうか。
改めて男を見る。金髪、羽織、詰襟、刀……刀?あれ、廃刀令っていつだっけ?思ったより昔の時代に飛んだのかな。まあいっか。刀を持ってるということはこの時代には危険があって、この男は戦う術を持ってるっていうことだ。うん、この人にしよう。
「結婚はしませんが、路頭に迷ってるのでしばらく同行させて貰えますか?結婚はしませんが」
「結婚してくれないのぉ!?」
「しませんよー」
「なんで!?」
その場に膝から崩れ落ちた男の目に、あっという間に涙が溢れた。必死の形相で私に縋ってくるけど、まって私今ミニスカートなんだからちょっとは遠慮して欲しい。そもそも結婚云々より路頭に迷ってるって事を気にして欲しい。頼る人間違えたかな。
「ちょっと!ちょっとだけでいいから!俺と結婚しよ!?」
「ちょっとだけ結婚ってなに……?」
「既成事実!既成事実だけ作ろ!?」
「うわやばい人だったごめんなさいさようなら」
「俺を捨てないでぇええええ!!」
後ずさろうとしても、既に縋り付かれている私は全然動けない。けれど逃げようとした動きに反応して縋り付く力が強くなった。太ももに直で涙に濡れた頬が密着してる。いや、よくよくみたら涙だけじゃなくて鼻水も出てるじゃんこの人。
「すみません汚いんで離してもらえませんか?」
「ひどい!なら汚した責任取るから、ね?ねっ!?置いていかないでくれよぉぉおお!!」
汚いわうるさいわ、なんて面倒くさい人なんだ。完全に頼る相手を間違えた、間違えたけれどもうどうしようも無い。
「わかりました、置いていかないのでとりあえず立ってください」
腕を引き上げると意外と素直に立ち上がった。それどころかさっきまで泣いていたくせに、濡れた頬も垂れた鼻水もそのままにえへえへと笑ってる。
「……変な人」
「え、えへへ……そう?」
「褒めてませんからね」
変な人、だけど悪い人では無さそうだ。どうせ元の時代に戻るまでの短い付き合いだし、袖振り合うも多生の縁って言うし?すこし……いや、だいぶ騒がしいけど、たまにはこんな人と過ごすのもいいかもしれない。
「……またかぁ」
さしたる驚きもなく呟いた私の眼前に広がるのは、おおよそ令和とは思えないレトロな町並みだ。高い建物もなければ、道は舗装されてない。そういう時代を再現したテーマパークとかもある事は知ってるけど、これは多分本当に「昔の光景」なんだろう。
また、なのだ。前にもあった。何回もあった。扉を開けたら源平の合戦、なんてこともあった。玄関開けたらレンジでチンするごはんじゃあるまいしやめてほしい。まあ今回は出た場所が長閑な町中だし、そんなに年代も離れてなさそうだからそんなに苦労しないかも。狼狽えもせず、時代を超えたと理解する。そう冷静に判断できるくらいには慣れっこだった。だって私はタイムトラベラーだから。
さてこれからどうしよう。経験上、時間が経てばそのうち元の時代に戻れるだろうけれど、それがいつになるかはわからない。見たところ明治か大正か、ここが何時代かはまだわからないけど、どの時代だとしてもこの時代の協力者が必要なのだ。この時代の常識もなければお金もない、素性のしれない少女を庇護してくれるようなお人好しで都合のいい……もとい、有難い存在が。
「ねえきみ、そこのお嬢さぁぁん!」
かけられた声に振り向くと、周りの景色にそぐわない派手な髪色の男の人。いや、男の子?
「ねぇねぇひとり?こんな所でなにしてるの?俺と結婚しない?」
眉も目尻も下げただらしない表情で軽薄な言葉を並べる、これはもしやナンパだろうか。
改めて男を見る。金髪、羽織、詰襟、刀……刀?あれ、廃刀令っていつだっけ?思ったより昔の時代に飛んだのかな。まあいっか。刀を持ってるということはこの時代には危険があって、この男は戦う術を持ってるっていうことだ。うん、この人にしよう。
「結婚はしませんが、路頭に迷ってるのでしばらく同行させて貰えますか?結婚はしませんが」
「結婚してくれないのぉ!?」
「しませんよー」
「なんで!?」
その場に膝から崩れ落ちた男の目に、あっという間に涙が溢れた。必死の形相で私に縋ってくるけど、まって私今ミニスカートなんだからちょっとは遠慮して欲しい。そもそも結婚云々より路頭に迷ってるって事を気にして欲しい。頼る人間違えたかな。
「ちょっと!ちょっとだけでいいから!俺と結婚しよ!?」
「ちょっとだけ結婚ってなに……?」
「既成事実!既成事実だけ作ろ!?」
「うわやばい人だったごめんなさいさようなら」
「俺を捨てないでぇええええ!!」
後ずさろうとしても、既に縋り付かれている私は全然動けない。けれど逃げようとした動きに反応して縋り付く力が強くなった。太ももに直で涙に濡れた頬が密着してる。いや、よくよくみたら涙だけじゃなくて鼻水も出てるじゃんこの人。
「すみません汚いんで離してもらえませんか?」
「ひどい!なら汚した責任取るから、ね?ねっ!?置いていかないでくれよぉぉおお!!」
汚いわうるさいわ、なんて面倒くさい人なんだ。完全に頼る相手を間違えた、間違えたけれどもうどうしようも無い。
「わかりました、置いていかないのでとりあえず立ってください」
腕を引き上げると意外と素直に立ち上がった。それどころかさっきまで泣いていたくせに、濡れた頬も垂れた鼻水もそのままにえへえへと笑ってる。
「……変な人」
「え、えへへ……そう?」
「褒めてませんからね」
変な人、だけど悪い人では無さそうだ。どうせ元の時代に戻るまでの短い付き合いだし、袖振り合うも多生の縁って言うし?すこし……いや、だいぶ騒がしいけど、たまにはこんな人と過ごすのもいいかもしれない。
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