鬼滅短編
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テーブルの上にはポコポコと丸い窪みが等間隔に並んだ電気調理器具。誰が見ても間違えようのない、たこ焼き器である。
「善逸ー粉溶いてくれた?」
「こっちはおっけー」
「はーい!じゃあキャベツ行くよー」
刻んだキャベツを乗せた薄いまな板ごと移動して、善逸が持つ大きめのボウルに投入していく。それを善逸に混ぜてもらってるうちに天かすの袋を開けて、それも投入。
「紅生姜は?」
「入れる」
「だよね」
短いやり取りをしながら手元の小さな赤い袋を開けて、中身を全部投入。そろそろ生地はいいかな?テーブルの上で待ち構えるたこ焼き器のスイッチを入れて、善逸と向かい合って席に着いた。
「じゃあ焼こう!わーいたこ焼きだー!」
「よーし!俺生地入れるからナオちゃんはたこ入れて!」
「まかせて!」
普段の料理とは違う、なんとなくパーティーなノリにテンションが上がる。二人でわいわい言いながら生地を入れて具材を入れて、焼ける香ばしいにおいがふわりと立ち上る。ちらと目を合わせてからお互いにたこ焼きピックを構えた。
「もう返せるかな?」
「どうだろ、ちょっとやってみよ……あ、」
ピックを差し込んでひっくり返そうとするけれど、上手く返らずに形が崩れてしまった。その間にもどんどん焼けていくから、善逸も私も失敗を悔いる暇もなく次々に返していく。数をこなす毎に少しずつ形がマシになるものの、お店で見るまあるいたこ焼きとは程遠い。
「い、意外と難しい……」
「俺ちょっとコツが掴めてきたかも」
第一弾をお皿に移して、第二弾をを焼き始める。それが焼けるのを待ちながら頬張った形の悪いたこ焼きは、味は普通に美味しかった。
コツが掴めてきた、という善逸がピックを刺してくるりと手を返すと、さっきよりはだいぶ綺麗な円形が天井をむく。小さく歓声を上げて私も真似をするけれど、同じように返したつもりなのにやっぱり形が崩れてしまう。
「違う違う、もっとくるっと回すようにすんの。ほら手ぇ貸して」
私のピックを善逸が手ごと掴んだ。たこ焼き器の熱に温められたのか熱い手にすっぽりと覆われてそのままたこ焼きを返すと、回すような動きに合わせてくるんとまあるい形になった。
「えっすごい私天才」
「俺ね、俺が返したの」
「善逸天才」
「そりゃどーも」
綺麗な形にできるようになってきて、焼くのが楽しい。生地がなくなる頃にはお月様のようにまんまるで、表面が上手くカリッと焼けたたこ焼きが出来ていた。
「やばい俺たこ焼き屋になれる……」
「まって私焼いたやつ超まんまる、善逸にあげる!」
「えっじゃあ俺の傑作と交換しよ」
「すご、善逸たこ焼き屋になれる……」
「でしょ」
最初の崩れたたこ焼きとは段違いの出来である。お互いのお皿に乗ったまんまるのたこ焼きを最後の最後に食べて、同時に手を合わせる。
「「ごちそうさまでした!」」
途中味変も楽しみながら食べたたこ焼きはあっというまになくなってしまった。けれどさすが粉もの、満腹感がすごい。腹八分目という感覚は遅れてやってくるものなのか、いつも通り過ぎてしまう。うーん苦しい、後悔後で立つ。
「あー……食べすぎた。お腹いっぱいだねぇ」
「ほんと……しばらくたこ焼きはいいや」
「俺やっぱたこ焼き屋はいいや、ならない」
さっき言ったばかりの将来プランを舌の根の乾かぬうちにひっくり返し、その体もひっくり返してごろんと後ろに転がった。私も真似して寝転がる。お腹がいっぱい過ぎて、すぐに片付けたり動いたりしたくないし、たまにはいいよね?
「ふふ、たこ焼き屋さんだって別に毎日食べてるわけじゃないでしょ」
「まあそうだよねぇ」
「また今度作る時に開店してよ、たこ焼き屋善逸」
「ん、ひひ……いいよぉ」
寝転がる私の横まで善逸がずるずると移動してきたから、腕を持ち上げて手を伸ばすとぎゅうと握られた。そのまま他愛ない話をしながらしばらく寝転がっていると、満腹感からか眠くなってきた。まだ片付けもしてないのに、このままじゃ寝てしまう。
「ナオちゃん眠い?」
「んー……」
「ちょっとお昼寝しよっか」
「うん……」
もう降りかけている瞼に善逸が唇を寄せてキスをするから、閉じてしまった瞼はもう持ち上がらない。ぴたりとくっついた体温に擦り寄って、そのまま幸福感に任せて眠りに落ちていった。
「善逸ー粉溶いてくれた?」
「こっちはおっけー」
「はーい!じゃあキャベツ行くよー」
刻んだキャベツを乗せた薄いまな板ごと移動して、善逸が持つ大きめのボウルに投入していく。それを善逸に混ぜてもらってるうちに天かすの袋を開けて、それも投入。
「紅生姜は?」
「入れる」
「だよね」
短いやり取りをしながら手元の小さな赤い袋を開けて、中身を全部投入。そろそろ生地はいいかな?テーブルの上で待ち構えるたこ焼き器のスイッチを入れて、善逸と向かい合って席に着いた。
「じゃあ焼こう!わーいたこ焼きだー!」
「よーし!俺生地入れるからナオちゃんはたこ入れて!」
「まかせて!」
普段の料理とは違う、なんとなくパーティーなノリにテンションが上がる。二人でわいわい言いながら生地を入れて具材を入れて、焼ける香ばしいにおいがふわりと立ち上る。ちらと目を合わせてからお互いにたこ焼きピックを構えた。
「もう返せるかな?」
「どうだろ、ちょっとやってみよ……あ、」
ピックを差し込んでひっくり返そうとするけれど、上手く返らずに形が崩れてしまった。その間にもどんどん焼けていくから、善逸も私も失敗を悔いる暇もなく次々に返していく。数をこなす毎に少しずつ形がマシになるものの、お店で見るまあるいたこ焼きとは程遠い。
「い、意外と難しい……」
「俺ちょっとコツが掴めてきたかも」
第一弾をお皿に移して、第二弾をを焼き始める。それが焼けるのを待ちながら頬張った形の悪いたこ焼きは、味は普通に美味しかった。
コツが掴めてきた、という善逸がピックを刺してくるりと手を返すと、さっきよりはだいぶ綺麗な円形が天井をむく。小さく歓声を上げて私も真似をするけれど、同じように返したつもりなのにやっぱり形が崩れてしまう。
「違う違う、もっとくるっと回すようにすんの。ほら手ぇ貸して」
私のピックを善逸が手ごと掴んだ。たこ焼き器の熱に温められたのか熱い手にすっぽりと覆われてそのままたこ焼きを返すと、回すような動きに合わせてくるんとまあるい形になった。
「えっすごい私天才」
「俺ね、俺が返したの」
「善逸天才」
「そりゃどーも」
綺麗な形にできるようになってきて、焼くのが楽しい。生地がなくなる頃にはお月様のようにまんまるで、表面が上手くカリッと焼けたたこ焼きが出来ていた。
「やばい俺たこ焼き屋になれる……」
「まって私焼いたやつ超まんまる、善逸にあげる!」
「えっじゃあ俺の傑作と交換しよ」
「すご、善逸たこ焼き屋になれる……」
「でしょ」
最初の崩れたたこ焼きとは段違いの出来である。お互いのお皿に乗ったまんまるのたこ焼きを最後の最後に食べて、同時に手を合わせる。
「「ごちそうさまでした!」」
途中味変も楽しみながら食べたたこ焼きはあっというまになくなってしまった。けれどさすが粉もの、満腹感がすごい。腹八分目という感覚は遅れてやってくるものなのか、いつも通り過ぎてしまう。うーん苦しい、後悔後で立つ。
「あー……食べすぎた。お腹いっぱいだねぇ」
「ほんと……しばらくたこ焼きはいいや」
「俺やっぱたこ焼き屋はいいや、ならない」
さっき言ったばかりの将来プランを舌の根の乾かぬうちにひっくり返し、その体もひっくり返してごろんと後ろに転がった。私も真似して寝転がる。お腹がいっぱい過ぎて、すぐに片付けたり動いたりしたくないし、たまにはいいよね?
「ふふ、たこ焼き屋さんだって別に毎日食べてるわけじゃないでしょ」
「まあそうだよねぇ」
「また今度作る時に開店してよ、たこ焼き屋善逸」
「ん、ひひ……いいよぉ」
寝転がる私の横まで善逸がずるずると移動してきたから、腕を持ち上げて手を伸ばすとぎゅうと握られた。そのまま他愛ない話をしながらしばらく寝転がっていると、満腹感からか眠くなってきた。まだ片付けもしてないのに、このままじゃ寝てしまう。
「ナオちゃん眠い?」
「んー……」
「ちょっとお昼寝しよっか」
「うん……」
もう降りかけている瞼に善逸が唇を寄せてキスをするから、閉じてしまった瞼はもう持ち上がらない。ぴたりとくっついた体温に擦り寄って、そのまま幸福感に任せて眠りに落ちていった。
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