鬼滅短編
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良家の令嬢、しかも一人娘というものをやっている私は、子供にたいそう甘い両親と行き過ぎなくらい世話焼きの使用人たちに囲まれ年頃と呼ばれる年齢まで育った。所謂結婚適齢期という年齢だ。
一人娘なのだから、良い殿方を見つけて家を継ぎ、両親を安心させなければ。そうは思うものの、今までに会ったことのある男性にはいまいちピンとこず、まして会ったことのない男性なんて論外。ならば、新たな出会いを求めるしか無いのである。
「……なにも、お前が行く必要は無いのではないかい?」
「大丈夫ですよお父様」
今日は会社の用事が外せない父の代わりに、融資を求める企業や団体の代表と会う。表向きは夕食会という事になっていた。
女の身ではあるけれど、いずれ役に立つだろうと仕事のことも学ばせてくれていた両親のお陰で、仕事はもちろん交渉事なんかもできる。相手が私を女だと侮るならばそれまでだし、もしかしたら。
「素敵な殿方がいらっしゃるかもしれませんもの」
「……まあ、無理をしてはいけないよ」
苦笑いの父に見送られながら、私は夕食会へと出立した。
結論から言えば、夕食会で出会いは無かった。珍しく女だ子供だと馬鹿にする人も居なかったのだが、既婚者ばかりだったのだ。まあ仕方ない。融資や支援は父の決定が必要だから、返事は保留にして資料を持ち帰る事にした。
その帰り道に、事件は起きたのだ。
人の形をした化け物に襲われた私は、家紋が入った髪飾りごと纏めていた髪を掴まれて、もう逃げられない。絶体絶命の状況だった。そんな時、なんとこのご時世に刀を差した人に助けられた。刀身なんて見えないくらい鮮やかに一息に、雷鳴のような音を聞いたと思った時には化け物の首は落ちてその身体は崩れ去っていった。
助けてくれたと思ったら倒れてしまったその人を覗き込むと、どうやら眠っているようだった。すぐに使用人たちが私を回収するようにその場から連れ去ったので髪飾りも拾えなかったしお礼も言えなかったけれど、一目見て忘れられない鮮烈な剣士。
「……お父様、見つけました!」
家に帰るなり叫んだ私に父は驚いていたけれど、構わずに喋り続けた。
「命を救ってくださった殿方、私はあの剣士様と結婚いたします!」
「まっ、待ちなさい!何があったんだい!?髪飾りはどうした!?」
「あっ落としてきました」
狼狽える父も、その影でぽかんとする母も、驚く使用人たちも置き去りにして私の脳内で計画は立てられていく。
化け物、それを狩る剣士、日本刀。今日聞いてきた援助を求める団体に、それと似た話があったはず。急いで資料を捲り探し当て、父に突きつける。
「この団体の支援をしましょう!」
突きつけた資料に書かれていたのは、鬼殺隊、の文字。話を聞いた時は眉唾物だと思ったけれど、化け物も剣士も実在したのだ。
落としてきた髪飾りの家紋を頼りに届けに来てくれるかもしれない。けれど、それがあの剣士様とは限らない。なら、こちらから接点を作って探し出すしかない。
外国の童話のように、王子様を待っているのは性にあわない。
「私、ガラスのシューズは似合いませんもの」
運命の相手ならば、きっと見つかる。それなら探し出すまで。あの輝く髪の剣士様を思い浮かべにこりと笑うと、驚いていた父も母も、少し呆れながらも笑ってくれた。
一人娘なのだから、良い殿方を見つけて家を継ぎ、両親を安心させなければ。そうは思うものの、今までに会ったことのある男性にはいまいちピンとこず、まして会ったことのない男性なんて論外。ならば、新たな出会いを求めるしか無いのである。
「……なにも、お前が行く必要は無いのではないかい?」
「大丈夫ですよお父様」
今日は会社の用事が外せない父の代わりに、融資を求める企業や団体の代表と会う。表向きは夕食会という事になっていた。
女の身ではあるけれど、いずれ役に立つだろうと仕事のことも学ばせてくれていた両親のお陰で、仕事はもちろん交渉事なんかもできる。相手が私を女だと侮るならばそれまでだし、もしかしたら。
「素敵な殿方がいらっしゃるかもしれませんもの」
「……まあ、無理をしてはいけないよ」
苦笑いの父に見送られながら、私は夕食会へと出立した。
結論から言えば、夕食会で出会いは無かった。珍しく女だ子供だと馬鹿にする人も居なかったのだが、既婚者ばかりだったのだ。まあ仕方ない。融資や支援は父の決定が必要だから、返事は保留にして資料を持ち帰る事にした。
その帰り道に、事件は起きたのだ。
人の形をした化け物に襲われた私は、家紋が入った髪飾りごと纏めていた髪を掴まれて、もう逃げられない。絶体絶命の状況だった。そんな時、なんとこのご時世に刀を差した人に助けられた。刀身なんて見えないくらい鮮やかに一息に、雷鳴のような音を聞いたと思った時には化け物の首は落ちてその身体は崩れ去っていった。
助けてくれたと思ったら倒れてしまったその人を覗き込むと、どうやら眠っているようだった。すぐに使用人たちが私を回収するようにその場から連れ去ったので髪飾りも拾えなかったしお礼も言えなかったけれど、一目見て忘れられない鮮烈な剣士。
「……お父様、見つけました!」
家に帰るなり叫んだ私に父は驚いていたけれど、構わずに喋り続けた。
「命を救ってくださった殿方、私はあの剣士様と結婚いたします!」
「まっ、待ちなさい!何があったんだい!?髪飾りはどうした!?」
「あっ落としてきました」
狼狽える父も、その影でぽかんとする母も、驚く使用人たちも置き去りにして私の脳内で計画は立てられていく。
化け物、それを狩る剣士、日本刀。今日聞いてきた援助を求める団体に、それと似た話があったはず。急いで資料を捲り探し当て、父に突きつける。
「この団体の支援をしましょう!」
突きつけた資料に書かれていたのは、鬼殺隊、の文字。話を聞いた時は眉唾物だと思ったけれど、化け物も剣士も実在したのだ。
落としてきた髪飾りの家紋を頼りに届けに来てくれるかもしれない。けれど、それがあの剣士様とは限らない。なら、こちらから接点を作って探し出すしかない。
外国の童話のように、王子様を待っているのは性にあわない。
「私、ガラスのシューズは似合いませんもの」
運命の相手ならば、きっと見つかる。それなら探し出すまで。あの輝く髪の剣士様を思い浮かべにこりと笑うと、驚いていた父も母も、少し呆れながらも笑ってくれた。
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