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「ジュリオはさ、お嬢様のことが好きじゃないの?」
そう問うと、ジュリオはでっかいため息をついて頭をがしがしと乱暴にかいた。せっかくまとめられていた髪が乱れたけれど、本人は気にしていないようだ。
ぎろり、そんな効果音がつきそうな目つきでこっちを見る。乱れた髪と相まって、なんていうか……そう。治安が悪いビジュしてる。お嬢様に会う時のきちりと整えられ涼し気な顔したジュリオもいいけど、私はこっちの治安悪ジュリオの方が似合ってると思ってたりする。本人には言わないけれど。
「お嬢様にお仕えするのが俺の仕事です」
「そーいうんじゃなくってさぁ」
ふたりが一緒にいると、そりゃもうお似合いなのだ。お嬢様はお茶やお菓子に目を輝かせたり、旦那様にも言わないわがままを言ったり、とても楽しそうで可愛らしい。ジュリオだってお嬢様といる時は柔らかい笑顔を見せるし、優しい目をしてる。
きっと、ふたりは両思いだ。個性の事は聞いてるけど、それだけじゃないと思う。
「実際どーなの?もし旦那様が許してくれたらさ」
「有り得ませんね。俺がここに居るのは仕事で雇われただけですので」
「えー!」
なんて頑固なやつ。ジュリオだってお嬢様が好きなくせに。お互い好き同士なくせに。なんなら私がこっそり旦那様に伝えてみようかな、なんて思っていたら、ジュリオに呼び出しがかかった。お嬢様からだ。
短く返事をしたジュリオは、乱れていた髪をさっと整えて襟も正した。あっという間に治安悪ジュリオからお嬢様の執事の姿に早変わりだ。
すぐに歩き出した背中を止めるでもなく見送っていると、ふとジュリオが足を止めた。くるりと振り返り、そのままこちらに歩いてくる。なんだろ、忘れ物かな?と首を傾げていると、こつこつと靴を鳴らして距離を詰められた。あっという間に、目の前に、いる。
私より背の高いジュリオが、覗き込むように顔を近づけてきて、きっちり整えられた見た目の中で目つきだけがちょっと治安悪いままで、目がそらせないでいる私に、ジュリオが口を開いた。
「ナオ、あんた俺のことが好きだろ?」
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