歌仙兼定
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私は歌仙兼定が好きだ。
何時からだろう、本丸運営を始めた時?初期刀選びで顕現させた時?審神者養成所で学習資料映像を見た時?どれも違う、きっと私は前世から歌仙兼定が好きだった。
「というわけで歌仙兼定!私を娶らない!?」
「さて主、今日の内番はどうするんだい?編成に変更があれば早めに伝えてくれ」
いつもの様に完全にスルー。最初こそ顔を真っ赤にさせたり、言葉の一つ一つにツッコミを入れてくれたりしたのだけれど、慣れてしまったらしい。これは由々しき事態である。私は私なりに本気で求婚してるのに、真剣に考えて貰えてないのだ。
さてどうしよう。歌仙は私の初期刀で、近侍で、本丸運営が数年を経た今もずっと傍に居てくれる。嫌がってる素振りはないし、私を見る目がたまに、心臓鷲掴みにされそうなくらい甘い。脈が無いわけではないと思うんだよね。押せばいけると思ったんだけど。
「いっそ恋の歌でも贈ったら応えてくれないかなー」
「おや、きみにそんなことができたのか」
「あえ、声に出てた?」
「さてどうしよう、辺りからずっとひとりで喋っていたよ」
「まじで」
割とほとんど聞かれてる。でもいつもの事だからまあいいか。
「で、贈ってくれるのかい?恋の歌」
「おう任せろやってやんよ」
「またきみはそんな言葉遣いで……ほんとに歌を贈るなんて雅なことできるのかい?」
「私の雅力は五十三万だぜ、なめんな」
「は?日本語を喋ってくれ」
ガチのトーンで軽蔑された。明石とかだと通じるのにな、漫画ネタ……まあそれはおいといて。こうなりゃ本当に和歌を詠むしかない。なんだかんだ楽しみにしているらしい歌仙は、ちょっとそわそわした様子で私を見ている。引用でもなんでも、詠めば好感度アップ間違いなしだ。やってやんよ。
「え、えーと……詠みます!」
「そう宣言するものでもないと思うけどね、どうぞ?」
にこりと笑って促す、その笑みは私の好きな蕩けるような笑みだ。ほらやっぱり、歌仙私の事好きでしょ?とっておきの歌を詠んでやろうじゃないの。
「えーと、世界中……?のカラスを殺し……?」
「っ、きみは……」
ばっ、と手で口元を覆った歌仙は、私がきょとんと見つめるその間にみるみる顔を染めていく。あれ?怒ってる?なにか間違ったことを言っただろうか。
「……かせーん?」
「今のは!三千世界の烏、だろう!?」
「ああ、それそれ」
「適当だな!確かに恋歌かもしれないね、だがこれは!夜の誘いだ!」
「へ?そうなの?」
「知らずに言ったのかい!?それに!そもそも和歌じゃない!」
「えーっ」
まったく!とぷりぷり怒る歌仙は、怒っていてもやっぱり綺麗だし、間違いを正して教えてくれるとこなんか優しくて好きだ。それに。
「夜のお誘いしたいのも間違いじゃないしね」
「きみ……!」
「歌仙と朝寝がしてみたい」
言葉に詰まった歌仙を見上げてにっこり笑うと、さっき口元を覆った手が今度は額を押さえる。そしてはぁ、と特大のため息を落とした。
「主」
「はぁい」
「……僕と寝るからには厨支度の時間には起きてもらうよ」
「えっ一緒に寝てくれんの?やっっっった!!!!」
両手で高々とガッツポーズを掲げると、いつもなら眉間に皺を寄せて窘める歌仙が、苦笑いで私を見ている。
「きみには負けたよ」
「勝負だったの?私完全勝利S?」
「勝利Cくらいかな」
「うわギリじゃん。もっと雅力上げなきゃ」
経験値を積まねば。世界中のカラスを殺してでも。そう言ったら額をぺしんとはたかれた。いたい。
「ところで。褥を共にするということはどういうことか、わかっているんだろうね?」
「当たり前じゃん。歌仙が手を出さないなら私が歌仙に手を出すから」
「こら。慎み」
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