ツイステ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
アイスが食べたい。夜中に何かが食べたいって思った時はもうダメだ、食べたい気持ちが強すぎて無視して寝ることも出来ないし、別のことに意識を逸らすことも出来ない。私は今、無性にアイスが食べたい。
幸いなことに寮内に自販機があるけれど、自販機まで行くのがめんどくさい。というか、夜中の寮内をひとりで歩くのが嫌すぎる。イグニハイド寮は寮生の性質的にこの時間でも起きてる奴が多いけど、だからといって隣室の生徒に「アイス買いに行こうぜ!」なんて言っても拒否られるのは目に見えてる。ドアすら開かないかも知れないし、なんならシカトされるかも。となれば誘うはただ一人。
「イデア」
「……ハァ、嫌な予感しかしないけど、なに?」
同室の同級生は、私のことをよく分かってきたようで既に警戒してる。
「アイス買いに行こ」
「あ〜拙者急に眠くなってきたでござるおふとんが熱烈に呼んでますわ!おやすみなさいルームメイト氏!」
そう言ってもそもそ布団に潜り込んで行くイデアだけど、その手には携帯ゲーム機。寝る気なんて無いのは分かってるけどあからさま過ぎて笑ってしまった。
「いいじゃん行こうよ。イデアの分も買ったげるし」
「いや別に拙者は今アイス食べたくないもん……暑くもないし……」
イデアの言う通り今日は暑くない。けど、食べたい気持ちと気温は時に連動しないものなのだ。真冬にアイス食べたくなることあるじゃん?真夏にホットコーヒー飲みたいことあるじゃん?つまりそういうことだ。
布団の塊となったイデアに寄りかかると、ぐえ、と思ってたより苦しそうな声がした。それがなんだか面白くてさらに体重をかける。
「んぐ、ちょっ、ルームメイト氏っ」
「イデアーアイスー」
「せ、拙者はアイスじゃありません〜っ!」
なおもぎゅうぎゅう押してると、急に押し返されてベッドの上に倒れてしまった。見上げる視界には、うんざりとした様子のイデアが深く長くため息をついてる。
「わかったよ行けばいいんだろ行けば……」
「やった、イデア優しーね」
「はぁああ?これ以上ウザ絡みされたら嫌だから付き合うだけですけど?力づくで言う事聞かすとかとんだ蛮族っすわ……」
「蛮族万歳」
「意味不」
イデアが苦々しい顔をしながら手を差し出してきた。未だベッドに転がる私を起こしてくれるらしい。やっぱ優しいじゃんイデア。気が変わらないうちにさっさと行こう。
「じゃあ行きますか!」
「夜中なんだから静かにしなよ、近所迷惑」
部屋のドアを開けると、普段より濃い闇が広がっている。隣から聞こえる愚痴と文句をBGMに、財布を握りしめて。私たちは深夜の寮を歩き出した。