怪8
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亜白隊長に憧れて、何年も何年もかけて伸ばした長い黒髪。私の自信の源であり自慢でもあった。それを、任務中に切られてしまった。正確にはちぎれた。怪獣の攻撃が靡く髪を捉えたのだ。私の憧れも、髪にかけていた情熱も手間暇も怪獣如きに分かるわけはない。狙ってやってたとしたらほんとこうかはばつぐんだ、って感じ。もちろんその怪獣は討伐され死んだけど、だからといって気持ちが晴れるわけもなく。
「はぁ……」
なってしまったものは、もうどうにもならない。けれどやっぱりショックなものはショックで、ため息と共に俯いた。その動きに合わせて髪が垂れて視界を塞ぐ。目に映る自分の毛先がボサボサで、余計に鬱だ。
「なに辛気臭い顔してるんだ」
「……鳴海隊長」
急にかけられた声に視線だけ向けると、私の上司でもある鳴海隊長が居た。いつもは戦いが終わるとすぐ部屋に引っ込むのに珍しい。まさか傷心の部下を気遣って声をかけてくれている……わけないか、鳴海隊長だし。正直今はほっといて欲しい。適当にあしらってしまおう、とか上司に対して有るまじき事を考えていると、急に鳴海隊長の手がこちらに伸びてきた。身を引く間もなく私の髪を捉えたその手に、バラバラの髪がすくい上げるようにして後ろへと流され、髪で塞がれていた視界が開ける。目の前には、戦闘後で髪を上げたままの鳴海隊長。
「短いのも似合うじゃないか」
そう言って、少しだけ口の端を上げた。ただそれだけ。たったそれだけの事で、短くなってしまった髪も悪くないんじゃないか、そう思えてきた。
「鳴海隊長」
「なんだ」
「髪触るとかセクハラですよ」
「は?ふざけるなよ」
パッと手を離して苦々しい顔をする鳴海隊長を見て、自然と笑えた。うん、もう大丈夫。短い髪でも平気だ。
「おいナオ!気を使ってやったボクの優しさを返せ!」
「いやでーす!」
まだ何か文句を言っている鳴海隊長から逃げるようにその場を離れる。鬱々とした気持ちはもう無くなっていて晴れやかだ。
髪を整えに行こう。短く、いっそショートカットにしよう。それで、今度の出撃の時は前髪を上げてみようかな。我らが隊長のように。
「はぁ……」
なってしまったものは、もうどうにもならない。けれどやっぱりショックなものはショックで、ため息と共に俯いた。その動きに合わせて髪が垂れて視界を塞ぐ。目に映る自分の毛先がボサボサで、余計に鬱だ。
「なに辛気臭い顔してるんだ」
「……鳴海隊長」
急にかけられた声に視線だけ向けると、私の上司でもある鳴海隊長が居た。いつもは戦いが終わるとすぐ部屋に引っ込むのに珍しい。まさか傷心の部下を気遣って声をかけてくれている……わけないか、鳴海隊長だし。正直今はほっといて欲しい。適当にあしらってしまおう、とか上司に対して有るまじき事を考えていると、急に鳴海隊長の手がこちらに伸びてきた。身を引く間もなく私の髪を捉えたその手に、バラバラの髪がすくい上げるようにして後ろへと流され、髪で塞がれていた視界が開ける。目の前には、戦闘後で髪を上げたままの鳴海隊長。
「短いのも似合うじゃないか」
そう言って、少しだけ口の端を上げた。ただそれだけ。たったそれだけの事で、短くなってしまった髪も悪くないんじゃないか、そう思えてきた。
「鳴海隊長」
「なんだ」
「髪触るとかセクハラですよ」
「は?ふざけるなよ」
パッと手を離して苦々しい顔をする鳴海隊長を見て、自然と笑えた。うん、もう大丈夫。短い髪でも平気だ。
「おいナオ!気を使ってやったボクの優しさを返せ!」
「いやでーす!」
まだ何か文句を言っている鳴海隊長から逃げるようにその場を離れる。鬱々とした気持ちはもう無くなっていて晴れやかだ。
髪を整えに行こう。短く、いっそショートカットにしよう。それで、今度の出撃の時は前髪を上げてみようかな。我らが隊長のように。
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