バレンタインには真っ赤な薔薇を
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バレンタインには好きな男の子にチョコをあげる。誰が決めたのか知らないが、2月14日はそういう日だ。
付き合っている彼がいる私は、今までお父さんにあげていた市販の可愛いチョコから進化を遂げて、今年はなんと手作りだ。そんなにお菓子を作ったりした経験はないけど、わりと上手く出来たと思う。
錆兎の分と鱗滝さんの分、義勇と炭治郎の分。もちろん真菰にもあげる。去年までお父さんにだけあげてたのを考えると、今年はあげる人が随分増えた。
学校に持っていくバレンタインチョコの最終チェックをしていると、お母さんの呼ぶ声がした。
「ナオー支度できたー?錆兎くん来てるわよー!」
「はーい!今行く!」
入学式の日から付き合い始めた錆兎は、当然のように毎朝迎えに来てくれる。ちなみに帰りも送ってくれる。男ならこれくらい当たり前、だそうだ。
帰りも家まで来るのだから、バレンタインチョコを渡すのは帰りでも良さそうだけど、少しでも早く渡したいから朝のうちに渡しちゃおう。そう思いながら玄関を開けた。
「錆兎!おはよ、う……?」
「ああ、おはよう。これお前に」
そう挨拶と共に差し出されたのは、透明のフィルムに包まれ可愛くリボンをかけられた一輪の花。真っ赤なそれはたぶん薔薇。
赤い薔薇を差し出す錆兎がかっこよすぎて見惚れていると、ちょっと笑ってそれを手に持たせてくる。
「えっどうしたのこれ」
「今日はバレンタインだろ?」
「そうだけど……なんで薔薇?」
受け取った薔薇はほんのりいい匂いがして、生花だということがわかる。
「貰うのをただ待っているのは性にあわないからな。それに海外だと男から渡す方が普通らしいぞ?」
「そうなの?」
なんでそんなことを知ってるんだろう。でもまあ、花なんて貰うのは初めてで嬉しい。
それに薔薇を持つ錆兎はすごく似合ってた。
私の彼氏がこんなにもかっこいい。明日もきっとかっこいいぞ。
そうだ、忘れちゃいけない。私も錆兎に渡さなきゃ。
「錆兎、お花ありがと。これ私から」
「……ああ、ありがとう。ナオから貰えるとは思ってたが、やはり嬉しいな……」
「や、そんなしみじみ言われるとなんか恥ずかしいなぁ」
私の手からパステルカラーの紙袋を受け取ると、嬉しそうに笑う。そのすぐ後に、私がまだ持っている紙袋に目を止めて聞いてきた。
「それ、誰にやるんだ?」
「真菰と、鱗滝さんと義勇と炭治郎!あと予備!」
「よび……?」
首をことんと傾ける錆兎、こういうところは年相応の少年らしさが見える。あまり可愛いことをされるとまた姉弟子ぶりたくなるからやめてほしい。
「放課後渡しに行こうっと」
「俺も一緒に行くからな」
いつも一緒に帰っているから、まあそうなると思ってた。錆兎は存外嫉妬深い。そんな心配しなくても一番で唯一は錆兎なのに。
じゃ行くか、と錆兎が手を差し伸べるので、薔薇を持っていない方の手を重ねた。寒い時期だけれど、もともと手を繋ぐために手袋とかはしてない。繋いだ手から交換される体温が気持ちよかった。学校までの通学路で可愛い紙袋を持つ錆兎と真っ赤な薔薇を持つ私は、他の生徒達に散々冷やかされた。恥ずかしくもあるけど、錆兎とちゃんと恋人同士に見えているんだなと思ったら嬉しかった。
おまけ、予備の行き先。
「たんじろーバレンタインチョコだよ!」
「わぁ、ありがとう!」
「炭治郎おまえ中等部の子からも貰ってんのぉ!?ズルくない!?イケメン滅びろ!!」
「この人は姉弟子だったんだ」
「炭治郎のお友達?はいどうぞ」
「えっ俺にもくれんの?俺の事好きなの?結婚する?」
「やめろ善逸、錆兎に殺される」
「月夜の晩ばかりじゃないぞ」
「ヒェッ……」
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