転生者達の青春謳歌
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生まれてからずっと、前世の記憶があった。小さな頃は夢かと思っていたくらい朧気だったそれは、成長と共にだんだんハッキリとしていき、年齢が二桁になる頃には全てを思い出していた。
前の人生、剣や呼吸法を学んで鬼を倒そうとしていたこと。
死んでからの事、魂だけになり帰った狭霧山で錆兎と恋人になったこと。
こんなにはっきりと覚えている。錆兎とは来世での約束もたくさんした。きっと彼も生まれ変わってるはず。そう信じてきたけど、前世での知り合いには全く会えないまま小学校を卒業した。
だから中学の入学式の日に彼に会えた時、お互い目が合った瞬間に走り出した。向こうも走ってきたので覚えてると確信して飛び込んだ。
「ナオ!」
「錆兎!会いたかった!」
「やっと会えたな!」
ぽかんとする両親や他の生徒たちを置き去りにして、私たちは少し大きめの新品の制服に包まれたお互いをぎゅうぎゅうに抱きしめた。暖かい。生きてる。
「ふたりとも。入学式始まるよ?」
「わあ真菰!会いたかったよ」
錆兎の後ろから真菰がひょっこり出てきた。手を伸ばすときゅっと握ってくれる。ふんわり柔らかく笑う所は前世のままだ。あ、厄除の面の髪飾り可愛い。そんなのあるんだ。私も欲しい。売ってるのかな?後で聞いてみよう。
今世では同い年なんだ、懐かしい。まるで死んでた時みたい。そう言ったら錆兎と真菰に両脇から小突かれた。
「今は生きてるんだから、そういうこと言うのはダメだよ」
「ごめんごめん」
「懐かしむのもいいが、俺達にはこれからがあるだろ」
これから、生きて先に進める未来。しかも今度は錆兎も真菰も同い年だ。一緒に未来へ行ける。
「それじゃあ、今世でもよろしく!」