黄色い隕石、ふたたび
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
別に自分からトラブルに巻き込まれに行くつもりはない。ていうかそんなやつ普通いなくない?だから私が今こういう状況なのは決して望んでそうなった訳じゃないし、私のせいじゃない。
「やーっぱこのガッコは可愛い子多いよなー!」
「ねえ君帰るんでしょ?なら俺たちと遊び行こうよ」
そう言いながら私を逃がさないように囲むのは、明らかに真面目とはかけ離れた雰囲気の、着崩してはいるけど他校の制服を着た男子が二人。こんなのに囲まれるのなんて知ってたら絶対に回避してる。
なんでこんな状況になったのかと言うと、話せば長く……はならない。単純に家の方角に近いからという理由で、人気のない学校の裏門から帰ろうとしたことが原因だ。自分のバカ。
私を通すまいと壁のように立ち塞がる男子たちは、数日前のあの状況を思い起こさせる。なんだ、またあれか。テイソウノキキとかいうやつ。そう思ったら急に怖くなってきて、後ずさりした私の背中にフェンスが当たりカシャンと意外に軽い音を立てた。
「ね?いいじゃん行こうよ」
「カラオケとかさ、俺らいつも行ってる店あるし」
下がった分以上に距離を詰められもう逃げ場がない。ああ、この間は黄色い隕石が落ちて助けてくれたっけ。でもここは人気のない裏門、助けてくれそうな人どころか通行人の姿もない。そうそう都合よく何度も助かったりは、
「ぅぅうお俺の前でナンパとかふざけてんじゃねえぞおおおおお!!!!」
……助かったりは、した。
咆哮と共に頭上から飛び降りてきたのは、やはり黄色の隕石。もとい、風紀委員の我妻くんだ。どうやら内側からフェンスを越えてきたみたいだ。飛び降りた勢いのまま私の前に立ち塞がっていた男子を踏みつけるから、踏まれた男子はその場に崩れて地面に伏せてしまった。もう一人の男子が反応するより先に、低い位置から斜めに蹴りあげられた足が腹に沈んでその男子が呻きよろける。攻撃され怯んだ隙にズボンの裾を我妻くんが掴んで持ち上げたので、こっちの男子も地面にびたんと倒れてしまった。
「俺の目の届くとこでナンパなんかさせるかよおおおおぉぉ……」
倒れ伏した男子をトドメとばかりに勢いよく踏みつけると、お腹の奥から響くような低い声で他校の男子を脅していた。
「はぁ……にしてもこんな人気のないとこ通ったら危ない……って、またきみ!?この短期間でまたなの!?」
「う……助けてくれてありがとう……」
「どういたしまして!!じゃなくて!!なんなのきみ不良ホイホイなの!?トラブル体質なのぉ!?」
なんだかすごく不名誉なことを言われているけれど、返す言葉もない。我妻くんは倒れた男子の上に乗ったまましゃがみこみ、はぁとため息をつく。
「あーもうこれ目を離さない方がいいの……?とりあえず、帰るんでしょ。送るよ」
「えっいいよ悪いし」
「もう変なのに絡まれないって約束できんの?」
「う、無理です……」
こっちだって好きで絡まれてるわけじゃないのにこの有様だから、絶対に絡まれないなんて言いきれない。
「おとなしく送られな」
「はい……」
私の返事に満足気に頷くとようやく他校の男子の上から降りた我妻くんは、おまけのように一人一回ずつ蹴り飛ばす。くぐもった呻き声が聞こえて、さすがにやりすぎなんじゃないかなとは思うけど、言わない。こっちは怖い思いをしたんだ。
「二度とナンパしてんじゃねえぞ……」
怨念すら感じる低い声で吐き捨ててから私に向き直る。
「じゃあ行こうか……ん?んあ!?これって放課後デート!?うわうわどうしよう手を繋ぐ!?ヒャアアア!!!!」
「えっ?デート?手!?」
急に賑やかになった我妻くんが、止める間もない素早い動きで私の手を握る。でれでれと笑うその姿は、とても不良を一瞬で叩きのめす強い人だとは思えない。まあこの目で見てるから信じるしかないんだけど。
「んへへ……ナオちゃん目が離せないからさ。いっそ俺と付き合わない?」
ほんのり赤く染った顔でそう言って笑う我妻くんに、少しときめいてしまったのは事実で。
「よ、よろしくお願いします……」
「ふぃ!?んええええいいのぉ!?やっっった彼女だ!!」
私の手を握ったまま踊るように歩き始めた我妻くんに引っ張られ、私もステップを踏むような軽い足取りでついて行く。こちらを振り返るとにこにこと笑顔を見せて弾んだ声で言う。
「俺がナオちゃんを守るからね!」
前回と今回、既に二回は助けて貰っているけれど、きっとこれからも守ってくれるのだろう。クラスメイトには気をつけろと忠告された風紀委員の彼は、今この時から私にとっては頼もしい彼氏となったのだ。
「やーっぱこのガッコは可愛い子多いよなー!」
「ねえ君帰るんでしょ?なら俺たちと遊び行こうよ」
そう言いながら私を逃がさないように囲むのは、明らかに真面目とはかけ離れた雰囲気の、着崩してはいるけど他校の制服を着た男子が二人。こんなのに囲まれるのなんて知ってたら絶対に回避してる。
なんでこんな状況になったのかと言うと、話せば長く……はならない。単純に家の方角に近いからという理由で、人気のない学校の裏門から帰ろうとしたことが原因だ。自分のバカ。
私を通すまいと壁のように立ち塞がる男子たちは、数日前のあの状況を思い起こさせる。なんだ、またあれか。テイソウノキキとかいうやつ。そう思ったら急に怖くなってきて、後ずさりした私の背中にフェンスが当たりカシャンと意外に軽い音を立てた。
「ね?いいじゃん行こうよ」
「カラオケとかさ、俺らいつも行ってる店あるし」
下がった分以上に距離を詰められもう逃げ場がない。ああ、この間は黄色い隕石が落ちて助けてくれたっけ。でもここは人気のない裏門、助けてくれそうな人どころか通行人の姿もない。そうそう都合よく何度も助かったりは、
「ぅぅうお俺の前でナンパとかふざけてんじゃねえぞおおおおお!!!!」
……助かったりは、した。
咆哮と共に頭上から飛び降りてきたのは、やはり黄色の隕石。もとい、風紀委員の我妻くんだ。どうやら内側からフェンスを越えてきたみたいだ。飛び降りた勢いのまま私の前に立ち塞がっていた男子を踏みつけるから、踏まれた男子はその場に崩れて地面に伏せてしまった。もう一人の男子が反応するより先に、低い位置から斜めに蹴りあげられた足が腹に沈んでその男子が呻きよろける。攻撃され怯んだ隙にズボンの裾を我妻くんが掴んで持ち上げたので、こっちの男子も地面にびたんと倒れてしまった。
「俺の目の届くとこでナンパなんかさせるかよおおおおぉぉ……」
倒れ伏した男子をトドメとばかりに勢いよく踏みつけると、お腹の奥から響くような低い声で他校の男子を脅していた。
「はぁ……にしてもこんな人気のないとこ通ったら危ない……って、またきみ!?この短期間でまたなの!?」
「う……助けてくれてありがとう……」
「どういたしまして!!じゃなくて!!なんなのきみ不良ホイホイなの!?トラブル体質なのぉ!?」
なんだかすごく不名誉なことを言われているけれど、返す言葉もない。我妻くんは倒れた男子の上に乗ったまましゃがみこみ、はぁとため息をつく。
「あーもうこれ目を離さない方がいいの……?とりあえず、帰るんでしょ。送るよ」
「えっいいよ悪いし」
「もう変なのに絡まれないって約束できんの?」
「う、無理です……」
こっちだって好きで絡まれてるわけじゃないのにこの有様だから、絶対に絡まれないなんて言いきれない。
「おとなしく送られな」
「はい……」
私の返事に満足気に頷くとようやく他校の男子の上から降りた我妻くんは、おまけのように一人一回ずつ蹴り飛ばす。くぐもった呻き声が聞こえて、さすがにやりすぎなんじゃないかなとは思うけど、言わない。こっちは怖い思いをしたんだ。
「二度とナンパしてんじゃねえぞ……」
怨念すら感じる低い声で吐き捨ててから私に向き直る。
「じゃあ行こうか……ん?んあ!?これって放課後デート!?うわうわどうしよう手を繋ぐ!?ヒャアアア!!!!」
「えっ?デート?手!?」
急に賑やかになった我妻くんが、止める間もない素早い動きで私の手を握る。でれでれと笑うその姿は、とても不良を一瞬で叩きのめす強い人だとは思えない。まあこの目で見てるから信じるしかないんだけど。
「んへへ……ナオちゃん目が離せないからさ。いっそ俺と付き合わない?」
ほんのり赤く染った顔でそう言って笑う我妻くんに、少しときめいてしまったのは事実で。
「よ、よろしくお願いします……」
「ふぃ!?んええええいいのぉ!?やっっった彼女だ!!」
私の手を握ったまま踊るように歩き始めた我妻くんに引っ張られ、私もステップを踏むような軽い足取りでついて行く。こちらを振り返るとにこにこと笑顔を見せて弾んだ声で言う。
「俺がナオちゃんを守るからね!」
前回と今回、既に二回は助けて貰っているけれど、きっとこれからも守ってくれるのだろう。クラスメイトには気をつけろと忠告された風紀委員の彼は、今この時から私にとっては頼もしい彼氏となったのだ。