最強の風紀委員
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何が起こったのか、一瞬で判断することはできなかった。
絵に描いたような不良に難癖付けられて、人気のない旧校舎に連れ込まれた。体格の良い男が数人でニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて私を囲む。これは、あれだ。テイソウノキキとかいうやつだ。
じわりと視界が滲んで、自分の目に涙が張ったことに気づく。けれど叫んだり、まして逃げたりなんて怖くて出来なくて、唯一出来そうなのは泣くことだった。そんな私の目から終に雫が落ちた時、急に目の前に黄色い隕石が落ちてきた。
いや、隕石だと言うのは比喩で、勢いに驚いたもののよく見ればそれは一人の制服姿の男子だった。金色の髪、腕に付けられた腕章は文字が書いてるみたいだけれど、よく見えない。その男子は飛び込んできた勢いで私の目の前にいた不良を一人、足元に敷いていた。
「もー……なんでこんなとこに女の子がいるわけぇ?」
ちらりと視線だけで振り返った彼は、べっこうあめみたいな瞳を私と同じように潤ませて、飛んできた虫を払うかのように隣にいた不良を殴り飛ばした。そのままの勢いで足を振り上げ、別の不良を体を捻って回るように蹴り倒す。ぽかんと見つめるしかできない私の前で、あんなに怖かった不良たちは綺麗に床に伸されていた。
「はぁぁ……もうめちゃくちゃ怖……えーっと、怪我ない?」
あんなに圧倒的な強さで不良を倒したのに、青ざめた顔で怖いと呟いた彼が向き直り、へたり込む私に目線を合わせるようにしゃがんだ。ようやくちゃんと見えた腕章の文字は、風紀。そういえばクラスの子に言われたっけ、風紀委員はヤバいから近づくなって。
「君、転校生だよね?」
柔らかい声音と、今まさに危ないところを助けてくれたこともあり、クラスメイトの忠告はすっかり頭の隅に追いやられる。ぼーっとしながらも小さく頷くと、彼は金色の髪を揺らしてはぁ、とため息をつく。
「誰かに言われなかった?旧校舎は危ないから近づくなって」
旧校舎、そういえば危ないって言われてたかもしれない。風紀委員とセットで。言い訳をさせてもらえば、自分から進んで近づいた訳では無いのだけれど。
私が答えられないでいると、彼は乱れたネクタイを乱雑にセーターの首元に突っ込んで立ち上がり私に手を差し出した。
「立てる?教室まで送るよ」
眉を下げて、安心させるためなのか少し笑った彼に、私はそっと手を伸ばした。その後、ヤバいと忠告したはずの風紀委員に送られて教室に戻った私はクラスメイトに問い詰められ、事情を説明したらめちゃくちゃ怒られた。解せぬ。
絵に描いたような不良に難癖付けられて、人気のない旧校舎に連れ込まれた。体格の良い男が数人でニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて私を囲む。これは、あれだ。テイソウノキキとかいうやつだ。
じわりと視界が滲んで、自分の目に涙が張ったことに気づく。けれど叫んだり、まして逃げたりなんて怖くて出来なくて、唯一出来そうなのは泣くことだった。そんな私の目から終に雫が落ちた時、急に目の前に黄色い隕石が落ちてきた。
いや、隕石だと言うのは比喩で、勢いに驚いたもののよく見ればそれは一人の制服姿の男子だった。金色の髪、腕に付けられた腕章は文字が書いてるみたいだけれど、よく見えない。その男子は飛び込んできた勢いで私の目の前にいた不良を一人、足元に敷いていた。
「もー……なんでこんなとこに女の子がいるわけぇ?」
ちらりと視線だけで振り返った彼は、べっこうあめみたいな瞳を私と同じように潤ませて、飛んできた虫を払うかのように隣にいた不良を殴り飛ばした。そのままの勢いで足を振り上げ、別の不良を体を捻って回るように蹴り倒す。ぽかんと見つめるしかできない私の前で、あんなに怖かった不良たちは綺麗に床に伸されていた。
「はぁぁ……もうめちゃくちゃ怖……えーっと、怪我ない?」
あんなに圧倒的な強さで不良を倒したのに、青ざめた顔で怖いと呟いた彼が向き直り、へたり込む私に目線を合わせるようにしゃがんだ。ようやくちゃんと見えた腕章の文字は、風紀。そういえばクラスの子に言われたっけ、風紀委員はヤバいから近づくなって。
「君、転校生だよね?」
柔らかい声音と、今まさに危ないところを助けてくれたこともあり、クラスメイトの忠告はすっかり頭の隅に追いやられる。ぼーっとしながらも小さく頷くと、彼は金色の髪を揺らしてはぁ、とため息をつく。
「誰かに言われなかった?旧校舎は危ないから近づくなって」
旧校舎、そういえば危ないって言われてたかもしれない。風紀委員とセットで。言い訳をさせてもらえば、自分から進んで近づいた訳では無いのだけれど。
私が答えられないでいると、彼は乱れたネクタイを乱雑にセーターの首元に突っ込んで立ち上がり私に手を差し出した。
「立てる?教室まで送るよ」
眉を下げて、安心させるためなのか少し笑った彼に、私はそっと手を伸ばした。その後、ヤバいと忠告したはずの風紀委員に送られて教室に戻った私はクラスメイトに問い詰められ、事情を説明したらめちゃくちゃ怒られた。解せぬ。
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