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小噺やネタもどき

なんちゃってIF

2018/04/22 22:14
「お願い。この子だけは助けて…!いや、やめてやめてやめ」
頬に飛び散った鮮血を拭う。ベタついた感触に眉間に皺を寄せていると、傍らにいた悪魔が徐にハンカチで頬を拭ってきた。
「相変わらず容赦ないねぇ、マスター」
手を払い除け、足元に転がる肉塊を踏み締める。あの人が待ってる。早く帰りたい。
絡み付く肉塊が邪魔で蹴り飛ばす。最短距離で戻らなければ怒られる。見捨てられてしまう。僕の最後の居場所なのに。
それなのに後ろから伸びてきた腕が、行く手を阻む。身体に絡み付く腕を振りほどこうとするのに、余計に強く抱き締められ、頭に血が上った。
手元に集めた魔力を思いきり叩き込もうとする。
「あんまりつれなくしないでよ。退屈だと、うっかりマスターを天界に戻しちゃうかもだから」
「は」
息が詰まる。冷や汗が滲んだ。
天界に戻る。あんなところに、戻るなんて。いや、何があった。なぜ僕は堕天した。嫌だ、思い出したくない思い出したくない思い出したくない思い出したくない思い出したくない。
息が上手く出来ない。
過呼吸を起こした僕を、悪魔が優しく抱き止める。
「大丈夫。大丈夫だよ。冥界にいれば絶対に守ってあげるから。俺も姫様も、絶対にマスターを見捨てたりしない。だからさ、もう少し俺のことも構ってよ」
怖ず怖ずと、抱き返せば柔らかく微笑まれた。
いい子だねと頭を撫でられる。
なんだか、昔、僕もこうして誰かの頭を撫でていた気がする。
息苦しくて、怖くて、けれど同時に安堵して、もうぐちゃぐちゃで何にも分からなくて笑う。僕の顔を見て、悪魔はもう一度「大丈夫だよ」と笑った。


「俺がずっとマスターの心を壊してあげる。そうすれば、此処がマスターにとっての楽園だ」



アダムを殺されて堕天したホウプのIF。
ホウプはルシファーにもヘルにも堕天したら楽になると唆されているので、アダム居なくなったらあり得た未来。
ルシファーは若干サイコみあるので、特に罪悪感とかなくホウプの心を壊し続けられる。洗脳ともいう。
ルシファー『このままじゃマスターが壊れちゃうよ。堕天させて冥界の管理者にしちゃおう』
ヘル『ええ、勿論よ。愚かな天界では私の駒鳥さんは上手く囀ずれないわ。私の隣でなら上手く歌わせてあげられる』
ルシファー『じゃあ、無理矢理冥界に突き落とすから、後は…。ふふっ、楽しみだね姫様』
……………こっちの方が幸せそうではある。

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