満月の夜に。
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京楽「団子?買ってきてくれたの?
嬉しいねえ。ボク、甘いもの大好きなんだ」
春風の手にある団子を袋から出し、広げる。
春風(甘いものすきなんだ。)
それから、以前訪れた橋まで歩いた。
欄干に腰掛け、京楽へ団子を差し出す。
京楽「ありがとう。いただくよ」
一本手に取り、口に入れる。
春風「…………」
自分も一本手に取るが、京楽の様子が気になる。
京楽「とってもおいしいよ。
はるちゃんも食べてごらん。
今日は雲が出てて、月は隠れちゃってるねえ。」
夕方からの曇天が続いており、
空を見ても、月は見当たらなかった。
春風「…美味しい。」
もぐもぐと食べ進める。
春風は甘いものに目がなく、自然と表情が和らいだ。
それからまた、
他愛のない話をした。
生まれ故郷の話、
好きな食べ物の話、
好きな季節の話…
京楽「…こんな時間に、
ボクみたいなのと会ってて、
親御さんは心配してないかい?」
ふと家族の話になった。
春風「……うん、大丈夫。
あなたは?」
少し背筋が伸ばし、京楽を見る。
京楽「…そっかあ。ボク独り身だし、
いつもその辺りで飲み歩いてるんだ」
京楽は、少し考えて家族の話題ではなく、
仕事の話を始めた。
京楽「…ってなわけで、
はるちゃんと会う時は、
こわーい七緒ちゃんって子から、
逃げてきてるんだ。
七緒ちゃんはね、
おっかないけど、美人なんだよ〜」
仕事をサボって切り上げてきている、と明言する。
死神
存在はもちろん知ってるけど、
話をするのは初めてだった。
春風「…京楽さんは、強いの?」
京楽「そりゃあもちろん。
ボクは強いよ。
はるちゃんを守ってあげられるくらいには、強いよ。」
(私を守る…)
団子を一本ずつ食べ終わり、
残り一本だけ。
春風「…もう一本食べますか?」
手に取るように促す。
京楽「ありがとう。頂くよ。
……でもはるちゃんが買ってきてくれたんだから、もっと食べなよ。」
団子をパクりと一口食べ、
春風の口元に向けて差し出す。
口を開けるか迷う。
春風「…//////(食べかけ…)」
京楽はさも気にしていない様子。
自分だけ動揺してることを隠すように、
小さく口を開ける。
パクッ
口に入る瞬間、
京楽と目が合う。
心臓が…
春風「…////…ありがとう////」
照れ臭くって、下を向いてしまう。
団子の味なんて、わからない。
京楽「美味しいでしょ?
ボクのためにありがとうね。」
春風の顔を見て、優しく微笑む。
春風「………町で見かけて、
あなたが好きかわからなかったけど
一緒に食べたいと思ったの。」
率直に気持ちを伝えた。
月は変わらず出ていないが、
初めて会ったあの日を思い出すくらい、
心臓の鼓動が高まっていった。
でも春風は気づいていない。
前回の緊張とは、また別の理由であることを。