満月の夜に。
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はっとしてお辞儀していた顔を上げる。
京楽「また会いたいんだけど、いいかな?」
真っ直ぐ春風の方を見ている。
コクン
春風「……わたしで良ければ」
内心はもうパニックで、
鼓動が徐々に速くなっている。
春風(また、会えるんだ)
言葉にすると、真実味を帯びてきた。
京楽「やったね。嬉しいよ、ありがとうね。
……そうだね、次の満月の日に、
この場所でどうだい?」
ボク、迎えに来るよと付け足した。
次の満月…
春風「…はい、大丈夫です。」
文字には現れていないが、
内心は嬉しい気持ちでいっぱいだった。
(なんで私と会ってくれるんだろ)
そんな相手を不思議に思いながらも、
いまは会える喜びを噛み締めた。
そして彼女は、
来る日も来る日も月を見続けた。
(あと3日…)
満月を待ちながら、
これからのことを考えた。
今までは家事だけをして、
たまに父の診療所や往診を手伝っていた春風
春風(外で働いたこと、ないなあ。)
満月の夜
昼間に買い物で町に出ると、
そこらじゅうに人が多く、
久しぶりの人混みに、歩くのを少し躊躇う。
だけど皆忙しそうに、
どこか楽しそうに、歩いている。
雑貨屋さんで装飾品を選ぶ若い女性、
甘味処の窓側の席でだんごを頬張る老夫婦、
本を片手に忙しなく歩いている人…
それぞれみんなにやりたいことや、
帰る場所、家族、友達がいるのかな。
そんなことを思いながら、
歩いていく。
?「お嬢ちゃん!
おだんごどうだい?
今日は夜天気が良さそうだから、
月が綺麗に見えるよ」
甘味処の店主が声をかける。
お団子…
ふと京楽とふたりで団子を食べる様子が思い浮かぶ。
(いや好みかどうか、わからないしな)
考えていくと、
彼のことをあまり知らないことに気づいた。
お酒と女の子って言ってたなあ。
春風「…2本ください」
そう言ってお金を渡す。
甘味処店主「あいよ!まいど〜!
お嬢ちゃん美人だから、
1本サービスしとくね!」
3本の団子を渡される。
夕方になると、
ぽつりぽつりと雨が降ってきた。
春風「月、見えるかな。」
薄暗くなってきて、
雨も少しおさまってきた。
約束の時間の少し前に、
イチョウの木の下にいく。
春風 (だんご食べてくれるかな)
手に持っている団子に少し力が入る。
そして約束の時間ちょうどに、彼は現れた。
京楽「…おまたせ、ごめんよ。
中々仕事が抜けられなくてね。
寒くなかったかい?」
春風「大丈夫。
お仕事おつかれさまでした。」
京楽「ははっ。固いよ〜!
はるちゃん、今日も可愛いねえ。」
春風の方を軽く抱く。
春風 (距離……//////)
近くに来るとむわっと香る、京楽の匂い。
厚い胸板、太い腕、大きな掌。
その全てが、
春風にとっては新鮮で、
刺激的に感じた。
春風(男の人ってこんな感じなのか)
父以外の男性とは、
あまり関わってこなかったこともあり、
春風は京楽をじっとみてしまう。
京楽「見つめられると、照れるなあ。
ボクの顔になにかついてるかい??」
京楽は腰をかがめ、
至近距離で、目が合う。
春風「//////…いや、その、違くて…
あのー、えっと、、あ!団子!!」
それは、
とうに春風のキャパシティを超えていた。
慌てて団子を取り出し、京楽に見せる。