満月の夜に。
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彼だ。
春風「あっ」
彼に会いたいと願っていたが、
実際に会うと混乱してしまう。
春風「こ、こんばんは」
ぎこちない様子で挨拶してみる。
京楽「やあ。暗い時間が好きだねえ。
女の子は夜道危ないから、
早く帰ったほうがいいよ。」
会ってすぐ、
前と同じ言葉を返される。
春風「まだ早い時間だから、大丈夫です。
…………この前はありがとう。」
彼は毎日ここに居るのだろうか。
春風「…今日はね、
貴方に会えないかなって思ってきた。」
恥ずかしくて、彼の方は見ることができない。
春風「この前、私すごく落ち込んでいて
…今もまだ落ち込んでは居るんだけど、
貴方と話せたお陰で、
少しずつ元気が戻ってきているんです。」
京楽は言葉を発さず、ゆっくり春風の方を見る。
春風「あの…だから、その…
あの時私に話かけてくれて、ありがとう」
慌てて言葉にして、そのまま京楽に頭を下げる。
ぽん
京楽の大きな手が、
春風の頭を撫でる。
京楽「君はいい子だねえ。
ボクだってお酒飲めたし、
すごく元気もらったよ♪
また逢えて嬉しいよ。」
変わらず優しい言葉をかけた。
京楽「ボクのためにきてくれたってのは、嬉しいなあ。
でもボクがいなかったら、
どうするつもりだったの〜?
ほんと来てよかったよ。
どう?今夜も乾杯するかい?」
春風「……考えてなかった…デス/////」
頭ポンや実際の京楽の破壊力に羞恥心がMAXの春風
京楽「でも今日、ボクも君に逢えたらって思ってきたんだ♪…ボク達運命かもね。参ったねえ。」
階段に座る春風の隣に腰を下ろし、
1人でに酒を注ぎ飲み始める。
春風「お酒好きなんですか?」
動揺してしまい、
どんな話をするのが良いか分からず、
非常にストレートな質問をしてしまった。
京楽「そうだねえ。
ボクが好きなのは、
君みたいな可愛い女の子と、お酒かなあ。
君は?何が好きなの?」
(…………か、可愛い?)
春風「…あんまり無いんですけど、
お花とか美味しいもの、読書が好きですね」
好きなものを思い浮かべた。
庭に植えている花、道に咲いている季節の花を思い浮かべ、表情を和らげた。
京楽「…そうなんだ。
お花はキミによく似合うと思うよ。
……はるちゃんって呼んでもいいのかな?」
コクン
少し頬が赤いのを誤魔化しながら、頷いた。
それからしばらく他愛もない話をし、
夜も深くなってきた頃。
京楽「…そんじゃそろそろお開きにしますか。
また送ってくよ。寒くないかい?」
春風「…ありがとうございます。
今日は余分に着てきたので…大丈夫です」
急に恥ずかしくなって、半歩離れる。
前回の羽織で恥ずかしい目にあったので、
今日は一枚多く羽織ってきた。
濃い紫色の紫陽花柄の着物に、
薄紫の帯を身につけていた。
京楽「え〜!ザンネン。
ボクの貸してあげたかったよ」
桃色の羽織を指さして、
揶揄うように笑いかける。
父以外の人との関わりが少なく、
ましてや京楽のような大人の男性とは話した経験がなく、
もはや春風の脳内はパンク寸前であった。
春風「…からかわないでください////」
2人でゆっくり家までの道のりを歩いていく。
また例のイチョウの木の前に来てしまった。
春風「(もう…着いちゃった)
送ってくれてありがとうございます。
気をつけて帰ってください。」
京楽に向かって軽くお辞儀をする。
今度こそいつ会えるのか分からない。
そんな言葉が頭をよぎる。
(また逢えたらいいな…)
去り際に彼がぽつりと溢す。
京楽「…春風ちゃんさえよければさ………」