満月の夜に。
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京楽「風邪ひいちゃいけないし、
そろそろお開きにしようか。」
くいっと飲み干すと、そう笑いかける。
春風「…ありがとうございます。
……わっ…私大丈夫です。
気にしないでください。」
京楽が桃色の着物を、春風の肩にかけた。
ぶわっと香る、
京楽の残り香にクラクラしそうになりながら、
羽織を脱ぐ仕草。
京楽「着ときなさいって、
風邪引かせたくない、
ボクの為だと思って。」
羽織の上から、
春風の両肩にポンっと手を置き、
「ね?」と目を合わせる。
春風「…////はい。ありがとうございます」
恥ずかしくて目をすぐに逸らすことしか出来なかった。
2人で家の方にゆっくりと歩き始めた。
15分程度経った頃、
大きなイチョウの木が見えてきた。
春風「…あ、ここで大丈夫です。
もうすぐそこなので。
…着物ありがとうございました。」
木を指差し、羽織をサッと脱いで京楽に渡す。
春風(あっという間だったな…)
京楽「ほんとに?わかったよ。
ちゃんと戸締りして寝るんだよ」
再度着物を羽織り、春風に声をかける。
春風(…たのしかったな。
もう会えないかもしれないな…)
どこの誰かも知らない京楽と、
次どこで会えるか分からず、
少し寂しくなった。
家に帰っても、当然1人。
父も帰ってこない。
しばし沈黙を挟んでから、
京楽「じゃあね、おやすみ」
京楽が背を向けて、歩き始めた。
春風w「………おやすみなさい」
背中がどんどん遠く離れていくが、
春風は目を離なすことができなかった。
背中が見えなくなって、
金縛りが解けたかのように、その場に座り込んだ。
春風「………京楽…春水…」
初めて会ったとは思えないほど、
居心地が良く、時間があっという間に過ぎた。
でももう去ってしまい、背中は見えない。
春風「…どこに住んでるのか、聞けばよかったかな……」
少しの後悔と共に帰路についた。
真っ暗な家に到着し、玄関に座る。
春風「なんだか慌ただしかったな。
……ゆっくり休もう」
父のことと、
今日の京楽のことを思い出しながら、
夢の世界へ旅立った。