満月の夜に。
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春風「…私でよければ…
そう言えば…お仕事は大丈夫なんですか?」
浮竹の話を思い出した。
京楽にすっぽり包まれていたが、
春風は、身体を捩って抜け出した。
京楽「あらら〜抜けられちゃった。
お仕事?ああ。大丈夫だよー」
春風「…サボると困る人がいるって、
浮竹さんが言ってました。」
じとーっとした目で京楽を見て言う。
京楽「あれ、参ったねえ。
春風にカッコ悪いとこ見せられないし、
もう少し仕事頑張っちゃおうかな」
でも、きっと、
サボっちゃうんだろう……
そして夜遅くなる前に、
2人は次に会う約束をして、帰路についた。
春風(…いろいろと疲れた……)
今日1日であった出来事を思い出しながら、
玄関の鍵を開けて、家の中に入る。
もうかなり冷え込んでおり、
冬本番ももうすぐ、訪れるだろう。
今まで狭い世界で生きてきた春風は、
浮竹や京楽との出会いにより、
新鮮なことが多く、とても嬉しかった。
自分の生活を維持するためには、
父が残してくれた僅かな貯金と、
数年後には貯金も尽き、
自分が働いたお金だけで生きていく必要がある。
そのためにはまず、外の世界を知り、
自分自身が何をできるのか、何がしたいのかを考える必要があった。
春風は、知らないことが多すぎた。
翌々日、花屋さんへ出勤すると、
すぐに店主が飛んできて、至急の配達を頼まれた。
店主「十三番隊様から、配達をあなたご指名で、
花束の依頼が入ってるんだけど、
この前何かあった?大丈夫?」
浮竹隊長……
体調大丈夫なのかな。
どこが悪いんだろう。
春風「いえ!特に問題なかったです。
庭を案内していただいて、花の名前を教えていただきました。」
マツユキソウをまた見れるのか。
まだ咲くには早すぎるけど…
店主「そう?よかった。
安心して頼めるわね。
じゃ、よろしくね!」
そう言われてすぐ十三番隊へ向かった。
〜十三番隊にて。
門の前から声をかけると、
「橘様、お待ちしておりました。」と返答が来た。
そのまま以前と同じく、
浮竹のもとに向かう。
しばらく歩いていくと、
縁側でニコニコした浮竹と目が合った。
春風「ご注文ありがとうございます。
花束をお届けに上がりました」
浮竹「ありがとう!助かるよ。
一昨日も来てくれたのに、すまなかったね。」
渡した花束を満足そうに受け取ってくれた。
春風「いえ!仕事ですので…
この前は挨拶せず帰ってしまって、
ごめんなさい」
浮竹「京楽から聞いたよ。顔見知りなんだってね。
随分君を気にかけているようだった。」
春風「はい。最近知り合いました。
京楽さんとはご友人なんですか?」
浮竹「ああ。もう長い付き合いでね。
この前の菓子もあいつがくれたんだ。
俺の体のことも随分気にかけてくれている。」
昔を思い出すような穏やかな顔をしている。
春風(そうだったんだ…)
春風「浮竹さんはどこが悪いんですか?
今日も顔色が良さそうで、安心しました。」
浮竹「俺は幼い頃に肺を患っていてね、
今もずっと続いているんだ。
隊長をしているのに、
部下に任せきりになってしまって、情けない…」
春風「肺…私も幼い頃からずっと喘息があって、
ここ数年は落ち着いているんですが、
年数回はやっぱり体調を崩してしまいます」
浮竹「そうだったのか。
少し待ってなさい」
雨乾堂に戻り、
小さな小袋を手に持って春風へ手渡す。
浮竹「気休め程度だが、
呼吸器の異常時に飲むと良い薬膳茶だ。
俺には合っていて、かなりマシになる」
春風「ありがとうございます。」
今日はこのあと仕事がまだ残っていることを思い出した。
春風「あ、まだ仕事が残っておりますので、
私はこちらで失礼します。
お茶ありがとうございます!」
浮竹「引き止めてしまってすまなかった。
体に気をつけるんだぞ。
また、時間のある時、
話し相手になってくれ。」
穏やかに手を振って見送ってくれる浮竹。
春風「ありがとうございます。では、また」
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