満月の夜に。
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京楽「…そうだったのかい。
今日もし、はるちゃんが来てくれなかったら、
もう会えないんじゃないかって思って、
気が気じゃなかったよ。
来てくれて、ありがとうねえ」
腕の力を少し強める。
春風「……待たせて、ごめんなさい。
あの、腕…もう逃げないので…」
すると京楽は、
抱き締めていた身体を離して、
春風の方に向く。
京楽のいつになく真剣な顔が、目に映る。
京楽「…笑わないで聞いて欲しいんだけどさ、
ボク、春風の方が好きなんだ。」
え
好き………?
春風「………………」
大きく目を見開き、その場でフリーズしている。
好き………?
京楽「…初めて会ったあの日、
哀しそうな顔で月を見ていた君の横顔を見て、
強く惹かれていたんだ。
でも、明らかに落ち込んでいるようだったし、
ボクに対しても、ずっと緊張しているようだったから、
今まで…伝えられずにいた」
視線が絡まり、
言葉を発することができない。
京楽「…でも今日、浮竹のところで会って、
もし今後仮に、
君が誰かに取られたらどうしようって、
カッコ悪いけど、すごく焦ったよ
だから、もし、今日キミがきてくれたら、
伝えるって決めてたんだ。
…ねえ、春風、ボクは君が好きだ。
ボクと付き合ってくれないかい?」
真っ直ぐ春風を見て、
右手を差し出す。
春風「……////(付き合うって…つまり…
恋人ってことだよね。
そんな風に思ってくれてたなんて、
全然気づかなかった……)」
脳内で様々なことが駆け巡る。
しかし当然これまで誰かと付き合ったこともなく、
男性とのデートすら経験のない春風。
恋愛小説はたまに読むが、それ以上の知識はない。
京楽と一緒にいる、
この優しい穏やかな時間が、
自分にとって、恋なのか、それ以外なのか、
分からなかった。
春風(…わたしは、京楽さんのこと、
どう思ってるんだろう)
京楽「…いきなり、こんなこと言ってごめんね。
困らせちゃったかい?
すぐに返事をくれなくてもいいから、
ボクのことを少し意識してくれると嬉しいな」
言葉を詰まらせる春風に、
穏やかな顔で、優しく問いかけた。
すると春風は、
ガバッと頭を下げた。
春風「……ご、ごめんなさい。
私、これまで誰とも、
お付き合いとかしたことが無くて、
誰かを好きになったこともないの。
私が今、貴方にどんな感情を持っているのか、
うまく説明ができない
…………でも、」
心臓の鼓動が早くなって、
緊張と恥ずかしさで、顔が赤く、手も震えている。
それでも、
精一杯京楽の目を見て、気持ちを伝える。
春風「…私は、
この数ヶ月、貴方に会うのがすごく楽しみで、
毎晩空を見上げては、
次の満月のことを考えていました。
ずっと父と2人で生きてきて、
友人もろくに作れない私だったけど、
この期間、とても楽しくて、
居心地が良くって、
この時間が好きだった。
だから、自分の気持ちを整理して、
きちんと返事をしたいので、
もう少し、時間を頂けないでしょうか。」
これが今の春風にとっての、
精一杯の答えだった。
言い終えた後は、
急激な恥ずかしさで、
顔を両手で覆った。
春風(…失礼じゃなかったかな……)
少しだけ指の隙間を開けて、京楽の反応を伺う。
京楽「……//。(十分すぎる言葉だよね)
楽しみにしてくれてたんだね、
とっても嬉しいよ。ありがとうね。
困らせちゃって、ごめんね。
ボクにチャンスをくれてありがとう 」
少し照れ臭そうに頭を掻く。
そして春風の目を見て、言う。
京楽「…嫌じゃなかったら、なんだけどさ、
一回だけ、抱き締めてもいいかい?
(精一杯の言葉を伝えてくれるキミが愛しくて)」
既に茹で蛸になっている春風、
迷いながらも、コクンと小さく頷いた。
ギュウッ
今度は正面から、
京楽の身体、匂いに包まれた。
京楽「…これから、
春風に猛アプローチする予定なんだけど、
満月の時以外も、会ってくれるかい?
昼間に出かけるとか…さ」
至近距離の京楽に、
少々パンク気味の春風。
そして、口を開く。