満月の夜に。
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春風「ハァ、ハァ、……」
門を出て、家の方向に向いて、
一度足を止める。
春風「…逃げちゃった」
息を整えて、ゆっくりと歩き出す。
(だってあんなところで会うと思わなかったし、
デートとか言ってたし、、、、)
早い鼓動を走ったことのせいにして、
平静を装う。
京楽さんは本当はどんな人なんだろう
わたしと会う時とは、
全然表情や雰囲気が違ってた。
私と会っている時は、無理させてたのかな。
気を遣ってくれてたのかも。。
色々なことが頭に巡り、
家に着く頃には、
京楽との約束の時間がすぐそこに迫っていた。
春風「…ど、どうしよう……
どんな顔していけばいいんだろう…」
出かける準備をしてから、
玄関にしゃがみ込み、頭を抱える。
春風「ごめんなさいって言わないと…
あーーもう……なんで逃げちゃったんだろ」
悩んでる間に、
約束の時間はとうにすぎてしまっていた。
より顔を合わせ辛くなってしまい、
さらに頭を抱える。
春風「……もう、帰っちゃったかな。」
待ち合わせから30分近く過ぎた頃、
次は行かなかったことに後悔し始める。
玄関に手をかけ、
衝動的に待ち合わせ場所まで走り出した。
葉がすっかり落ちた、
寂しそうなイチョウの木がいた。
付近には人影はない。
春風「ああ……」
イチョウの木を見て、
落胆の声を漏らす。
春風(私のせいだ)
春風「…逃げてごめんなさい。
約束守れなくてごめんなさい。
……………会いたかっ…ひゃっ」
背中から温もりそして、
私をクラクラさせる彼の匂いがした。
春風が驚いていると、
太い腕が自分の体の前で交差していた。
春風「…えっ」
気づけば彼に、
後ろから抱き締められていた。
今までよりもずっと近く、
彼の息遣いまで聞こえてくる。
春風(…なになになに!?)
恥ずかしいやら驚きやらで、
うまく言葉が出てこない。
京楽「…………今日、来てくれないかと思ったよ。」
耳の近くで、京楽の低い声が聞こえる。
京楽「……浮竹のところで会うなんて、
すーごくびっくりしたんだからね。
なんで急に帰っちゃったの?」
春風「……ごめん、なさい。
あの、手を…離してください…」
両手で京楽の腕を持つ。
京楽「だーめ。また逃げちゃうじゃないか。
せっかく来てくれたんだから、
もう少しボクと話をしないかい?」
腕は固く、春風の力では外せそうにない。
冬の肌寒い空気の中で、
徐々に背中から温まってくる。
春風「……もう、逃げません。
今日はその…驚いてしまって。
急に会ってしまって、
貴方も普段と少し様子が違っていて、
……どうしていいかわからなくて、
逃げちゃった……ごめんなさい」
心臓が怖いくらいに鳴っている。
京楽に会うたび、
胸板と腕に目を奪われていた。
こんな風に包み込まれるとは、
全く思っていなかったけど。
父は比較的痩身で、
力もそう強くはなかったし、
抱き締められるなんてこと、
ここ数年はなかった。
春風(男の人なんだな…)
しばらくの沈黙の後、京楽が口を開く。