先輩の私と後輩の君
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ぼんやりと夜景を眺めながら煙草に火を着ける。
一口目を深く吸い込めば上せた思考回路まで冷静さを取り戻すようだった。
「………ふぅ…」
何度か繰り返し煙と共に溜め息を吐き出した所で後ろから声を掛けられる。
「先輩?」
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「んーいや…へーき。それより…」
「ん?」
ぎゅっと後ろから抱きしめられる。
そのまま私の肩の辺りにレノは顔を埋め、小さな声で呟く。
「俺、マジでやばい」
「ちょ…っ煙草危ない」
「先輩、マジで好き」
「わっ…」
「先輩、好き、大好き、愛してる」
「わかったから…っ!」
「体も心も全部欲しい、先輩の全部が欲しい。先輩の全部を俺のにしたい」
灰皿に煙草を置き、子どもの様に甘えてくるレノに向き直り強引に唇を重ねて言葉を止めさせる。
「あのね、さっきも言ったけど…私は…大変だと思うよ、レノがしんどい思いたくさんすると思う」
「しょーがねーよ、それも含めて先輩なんだから」
「私は…レノにしんどい思いして欲しくないよ」
「俺は今後先輩にこうやって触れられなくなる事以上にしんどい事なんて無い」
「な…っ、でも私は…っ」
今度はレノに強引に唇を奪われ、言葉を止められる。
「つーかシンプルに」
「?」
「先輩は俺の事アリ?ナシ?」
「…っ!」
ド直球なレノの質問に思わず言葉が詰まる。
「えっ…と……私は………レノの事………」
いつも飄々としたレノが珍しく緊張した面持ちで先の言葉を待っている。
それだけ真剣なんだと感じ取れる。
「レノの事は…っ、………………まだ分かんない…」
「はぁぁぁぁ〜!!!???」
「えっ…だって本当にまだ分かんないんだもん…」
レノにとって余程想定外の返答だったようでがっくりと肩を落としてしゃがみ込む彼を見て思わず笑みが溢れる。
「ふふ…っ」
しゃがみ込んだ彼と同じようにしゃがみ、ベランダの壁へ背中を預けてから、レノと視線を合わせて言い聞かせるように言葉を続ける。
「だから私の不安なんて忘れさせるくらい深く深く愛して溺れさせてくれたら…その時は良いよ、…付き合っても」
「っはは、超上から目線じゃん」
「いーよ、別にやめといても」
「いや、俄然燃えるし余裕で俺に溺れさせてやるよ」
「楽しみにしてる」
壁に背中を預けたまま挑発的な視線を送り続けていると再びレノに唇を奪われる。
お互いの気持ちを少しずつ重ね合わせるような、慈しむようなキスを繰り返す。
微かに煙草の苦味を感じるような、私達にぴったりのもどかしいキスだった。
「…それより」
「ん?」
「その格好エロ過ぎね」
「あ、忘れてた」
「前々から思ってたけど無意識にエロいの本当やめて、変な男が寄り付きまくって全員殺したくなる」
「えっ、私エロいつもり全くないけど!」
「無意識だからタチ悪いんだよ先輩は…」
こんな二人が付き合うのは、それ程遠くない未来のお話。
おわり