君とごはん
「届いた!」
宅配便から受け取った発泡スチロールの箱を持って、意気揚々と書斎の扉を開けた。
「何がとどいたの?」
いつもならノックするのにと、目をぱちくりさせて真吾が本から顔を上げる。
「待ってたんだよ、アイスバインが久々に食いたくてな」
「あぁ……」
間違えて買った豚足が妖虎によって台湾風煮込みになったのも記憶に新しい。
「そんなに食べたかったんだ」
「仕込みに十日とかかかるからなあ」
「へえ」
「いっそのこと出来合いのを通販してみたんだ」
箱に頬ずりしかねない勢いの二世に苦笑していると、
「こうしてられねえや、ちと買い物に行ってくる」
「うん、気をつけてね」
「昼飯は期待してろよ!」
ご機嫌で部屋を後にしたのを、
「よっぽど食べたかったんだね」
と、苦笑と微笑ましさを絶妙にブレンドして見送った。
◆◇◆
「真吾!昼めし!」
呼ばれて向かったダイニングのテーブルには大皿にカリッと焼かれた肉とレタスなどの生野菜、ザワークラウトとマッシュポテトがそれぞれ盛られていた。
「これをピタパンに挟んで食べるんだ」
「ソースは?」
「肉に味がしみ込んでるけど物足りなければマヨでもなんでも足せよ」
渡された薄いパン生地の間に肉や野菜を挟んでいると、
「ザワークラウト、せっかく作ったんだから入れろよ」
「えぇ、あれは苦手」
「そう言うと思って真吾向けに作ってあるから、ほれ」
フォークの先に引っかかった黄色のそれを口元に持ってこられて、しぶしぶ口を開いた。
「どうだ?」
もぐもぐと咀嚼して、
「ん!これ、おいしい!」
「スィートチリソースとカレー粉が入ってるからな」
「二世のは、違うの?」
「この前、仕込んでおいた塩とキャベツだけのだ」
そう言って白っぽいそれを肉やポテトとともに挟んで大口に放り込む。
「燻製されてたから軽く炙ったけど、悪かねえな」
真吾も真似をして具材を挟んで口に運ぶ。
軽く炙られた肉の香ばしさの奥からしっかりとしたハーブの味付けがして、それがマッシュポテトに合う。
甘辛く味付けされたザワークラフトもアクセントになってほかの野菜とともに口の中で消えていった。
「燻製になってるのも美味しいね」
にっこりと笑って告げると、反対に二世が口をへの字に曲げる。
「オレのはあくまで煮込みだからな」
「君が作ってくれるのはいつだって美味しいよ」
「なら、いいんだけど」
次のサンドを作りながら真吾が尋ねた。
「晩ご飯は何にするの?」
「骨も手に入ったし、残りの肉と野菜でポトフだな」
「やった!」
真吾が小さくバンザイをしたのを横目に、手元の肉を口へと放り込んだ。
宅配便から受け取った発泡スチロールの箱を持って、意気揚々と書斎の扉を開けた。
「何がとどいたの?」
いつもならノックするのにと、目をぱちくりさせて真吾が本から顔を上げる。
「待ってたんだよ、アイスバインが久々に食いたくてな」
「あぁ……」
間違えて買った豚足が妖虎によって台湾風煮込みになったのも記憶に新しい。
「そんなに食べたかったんだ」
「仕込みに十日とかかかるからなあ」
「へえ」
「いっそのこと出来合いのを通販してみたんだ」
箱に頬ずりしかねない勢いの二世に苦笑していると、
「こうしてられねえや、ちと買い物に行ってくる」
「うん、気をつけてね」
「昼飯は期待してろよ!」
ご機嫌で部屋を後にしたのを、
「よっぽど食べたかったんだね」
と、苦笑と微笑ましさを絶妙にブレンドして見送った。
◆◇◆
「真吾!昼めし!」
呼ばれて向かったダイニングのテーブルには大皿にカリッと焼かれた肉とレタスなどの生野菜、ザワークラウトとマッシュポテトがそれぞれ盛られていた。
「これをピタパンに挟んで食べるんだ」
「ソースは?」
「肉に味がしみ込んでるけど物足りなければマヨでもなんでも足せよ」
渡された薄いパン生地の間に肉や野菜を挟んでいると、
「ザワークラウト、せっかく作ったんだから入れろよ」
「えぇ、あれは苦手」
「そう言うと思って真吾向けに作ってあるから、ほれ」
フォークの先に引っかかった黄色のそれを口元に持ってこられて、しぶしぶ口を開いた。
「どうだ?」
もぐもぐと咀嚼して、
「ん!これ、おいしい!」
「スィートチリソースとカレー粉が入ってるからな」
「二世のは、違うの?」
「この前、仕込んでおいた塩とキャベツだけのだ」
そう言って白っぽいそれを肉やポテトとともに挟んで大口に放り込む。
「燻製されてたから軽く炙ったけど、悪かねえな」
真吾も真似をして具材を挟んで口に運ぶ。
軽く炙られた肉の香ばしさの奥からしっかりとしたハーブの味付けがして、それがマッシュポテトに合う。
甘辛く味付けされたザワークラフトもアクセントになってほかの野菜とともに口の中で消えていった。
「燻製になってるのも美味しいね」
にっこりと笑って告げると、反対に二世が口をへの字に曲げる。
「オレのはあくまで煮込みだからな」
「君が作ってくれるのはいつだって美味しいよ」
「なら、いいんだけど」
次のサンドを作りながら真吾が尋ねた。
「晩ご飯は何にするの?」
「骨も手に入ったし、残りの肉と野菜でポトフだな」
「やった!」
真吾が小さくバンザイをしたのを横目に、手元の肉を口へと放り込んだ。