君の歌が好きです。
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今思い返してみても、やっぱりあの日は人生の中で沢山起こる嫌な出来事の中で、きっと死ぬまで上位に食い込むであろう程に最悪な気分だった。
『あーあ、なんでこんなことに...』
全く知らない土地の小さな酒場、自棄になって頼んだ強いお酒を煽って重い溜息を吐き出す。
その時の酒の不味さと店に充満した苦い煙草の香りは今でも鮮明に覚えている。
ヤケ酒なんてしたことも無ければそこまでお酒に強いわけでもない私は見る見るうちに酔いが回って、数杯目のグラスをドンと強くテーブルに置いた。
そんな自分にも嫌気がさして書き上げた前髪をくしゃりと握った。
『...ついてない』
「運が悪かったのかな」
ホロリと呟くと、同じような声が隣から声が聞こえた。
ここで私は、同じように疲れ切った目をして項垂れてお酒をぐいぐい煽る君に出会ったのだった。
綺麗な顔立ちの男の人。
『君も不運なの?』
「まぁ...色々上手くいかなくて」
『私も』
突然声をかけられて驚いた顔をしていた君の横へ移動し、並々と注いだグラスを飲み干す。
急に話しかけるなんて普段なら絶対できないけれど、酔いと疲労感でまともな思考回路の停止した私は不気味な程饒舌だった。
にひ、と笑うと君は怪しむような、拗ねたような顔をした。
『君、名前は?』
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